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今回は2020年4月29日にPicklefeet GamesよりPC向けに早期アクセスでリリースされた『The Wind and Wilting Blossom』について生の内容をお届けしたいと思います。
『The Wind and Wilting Blossom』とは
本作は、架空の平安時代を舞台にした妖怪退治のストラテジーゲーム。製作者が『FTL: Faster Than Light』スタイルゲームと名付けているとおり、マップから次に赴く場所を選択しながら進み、イベントや戦闘などを行っていきます。『FTL』との大きな違いは戦闘がターンベース制の戦術ストラテジーになっている部分です。
本作の主人公は「大宅太郎光国(おおやたろうみつくに)」という武将。彼が平将門公の遺児である「滝夜叉姫」との戦いで呼び出しされた妖怪「がしゃどくろ」に破れて九州へと逃げのびたところからゲームは開始されます。
本編の物語は山東京伝の読本「善知鳥安方忠義伝」と、それをモチーフにした歌川国芳の錦絵「相馬の古内裏」をベースとして採用。本来であれば勝利しているはずの光国が妖怪に破れており、日本中が征服されかけている状況からのスタートとなっています。
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『The Wind and Wilting Blossom』の実内容に迫る!
九州地方からさらに南、屋久島へと逃げのびていた光国はある日、平安京に置かれている平将門公の首が喋っているという噂を耳にしました。「滝夜叉姫の父親以上に彼女を倒す方法を知っている者がいるか?」そう考えた光国は再び立ち上がります。かつて彼女に破れ、逃げ落ちるしかなかったあの日の借りを返すべく、九州の最南端から都への妖怪退治の旅が始まります。
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日本はすでに多くの場所が妖怪に支配されており、荒廃しきった大地では食べるものに困った人たちもたくさんいる状況です。光国は多くの土地を訪れ、妖怪を退治するだけでなく人々を助ける、あるいは見捨てるなどの選択肢を選びながら壮大な目的を果たすために進軍していくことになります。
本作のマップは日本地図が九州や中部地方などエリアごとに分かれているもので、各エリア内を移動しながらイベントや戦闘で物資を集めて自らを強化していくスタイル。移動できる地点は固定されているものの、プレイごとに発生するイベントが異なるローグライク風のシステムが採用されています。ゴール地点に設定されている場所までたどり着けば次のエリアに進むことが可能です。
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余談ですが「がしゃどくろ」は後年の誕生で平安時代には名前がありません。
ルート選択は慎重に!プレイヤーの選択が生死を分ける
プレイヤーはマップから次に進むコマを選択し、目的地でさまざまなイベントに対処する必要があります。単純な妖怪との戦闘だけでなく、物資が購入できるショップ、こちらの選択肢で結果が変わるイベントなどがあります。また、いくつかの工程を経て報酬が発生する「クエスト」コマや滝夜叉姫を倒すための物語が発生する「ストーリー」コマなどもありますが、プレイヤーはどのルートを選んでも自由です。
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コマを移動するためには「食料」が必要になります。食料はショップで購入可能なほか、戦闘やイベント報酬でも獲得可能。リソースは消費しますが道を戻ることも可能なため、余裕があるときは行ってないコマを目指すのもおすすめです。ただし、ある程度ターンが経過するとマップ後方から妖怪雲が登場し、追いつかれると強力な妖怪との戦闘になってしまいます。ギリギリまでは部隊を強化しつつ、追いつかれないルート構築も大切なポイントです。
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ショップでは「食料」「弾薬」などのリソース、武器、特別な効果を発生させるチャーム、武士や農民などの人材など、さまざまなものが購入できます。また、ユニットの体力を回復させることも可能です。ただし店ごとに置いてある品目は異なるため、食料を買いたいのに武器しか売っていなかったりすることも。
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イベントマスでは「飢えた人がいるから食糧をわけるかどうか」「野党の根城を見つけたから攻撃するか」「旅の僧侶にお布施を渡すか」など、さまざまな状況が発生します。プレイヤーの選択によって結果は異なるほか、特定のユニットがいる場合のみ利用できる選択肢も存在します。「エリア内のコマの詳細がわかる」「部隊全体の体力が回復する」などの嬉しい結果もあるので、なるべく多くのコマを回ってイベントを発生させたいところです。
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もちろん同じ選択肢で別の結果になることも。
妖怪退治はダメコンが重要!戦略性の高い戦闘
本作の戦闘はターン制で行われ「敵を全滅させる」「マップ上の人を救い出す」などの目標を達成する必要があります。ユニットにはそれぞれ「アーマー」「体力」が設定されており、体力が0になると死亡になります。ダメージは基本的に「アーマー」から消費されますが、戦闘後に回復するため、いかに体力を減らさないで戦闘を行うかが重要な戦略になります。
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敵ユニットは基本的に「一番近い敵を狙う」「並んだ場合主人公を優先して狙う」AIのため、地形を利用すればある程度はダメージコントロールも可能。初期主人公の光国はアーマーが高いため、システムの基本を覚えやすいキャラクターです。
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農民もダメージソースになるので重要な存在です。
敵によっては「出血(ターンごとに体力ダメージ)」「攻撃不可」などの状態異常が発生してしまうため注意が必要です。特に「出血」は凶悪で、どれだけアーマーがあっても一般兵士なら簡単に死んでしまいます。敵ユニットをクリックすることで攻撃の詳細は確認できるため、危険な攻撃を持つ相手は早めの対処が必要です。
プレイヤーの部隊はイベントやショップなどで人員の追加ができます。特徴はないが使いやすい「戦士」や、安価なもののアーマーがない「農民」、遠距離攻撃可能な「弓兵」などさまざまな兵種が用意されています。また、獲得できるアイテム「スクロール」を使用することでユニットをレベルアップさせることができ、追加のアーマーなどを手に入れることが可能です。
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腕の見せ所です
解放される要素多数!プレイすればするほど遊びやすくなる!
本作ではゲーム内の行動に応じて実績があり、達成することで新しい「ヒーロー」「武器」「チャーム」「兵種」が増えていきます。「ヒーロー」はスタート画面で光国以外のキャラクターで開始することが可能になるもの。アイテムや兵種はゲーム中で獲得できる種類が増えていくシステムです。強力な効果を持つチャームや兵種によってはゲーム自体が大幅に楽になるため、プレイしていくほどにゲームは遊びやすくなります。
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ヒーローはそれぞれ大きく異なる能力を持っています。スクロールを100獲得することで解放されるヒーロー「紫式部」は、初期状態で2つのチャームを持っている強力なキャラクター。「ダメージを与えた敵が次回2倍ダメージを受ける」効果の短刀を持ち、行動終了したユニットを再移動させる能力を持つ「歌人」が初期の仲間にいる反面、光国に比べて攻撃力やアーマーが低いという少々テクニカルな性能です。
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あくまで移動のみで再攻撃はできないことに注意。
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なんで紫式部が前線で戦ってるのだろう。
ここまで紹介してきた『The Wind and Wilting Blossom』ですが、たしかに製作者のいう「FTLスタイル」という表現がぴったり来る戦略性の高い作品です。ランダム要素の高いイベントやマップと、プレイヤー自身である程度コントロールできるストラテジー戦闘のバランスは非常に良好。実績解除で獲得できる新要素とプレイヤー自身の成長により、プレイするごと新しい発見を得ることができるのが魅力的です。
日本語は実装されていない本作ですが、妖怪退治というテーマや日本地図上を移動するマップ、「牛鬼」や「ぬっぺふほふ」など有名な妖怪が登場するなど、日本人には親しみやすい題材の作品です。イベントシーンは多少テキストが多めですが、基本的には善行そうな選択肢を選べば悪い事はあまり起きないと思います。
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ゲーム自体の展開も早く、遊んでいてストレスは溜まりづらくなっています。もちろんこちらの強化が足りない場合は、あっという間に消耗してゲームオーバーになるくらいの難易度なのでやりごたえも抜群。『FTL: Faster Than Light』のようにランダムイベントの楽しさと、対応するプレイヤーの選択肢が重要です。先の展開を予想しながら、じっくり遊べるゲームが好きな人にはおすすめです。
早期アクセスはおよそ半年ほどを予定しており、リーダーや武器、イベントや地域など現在遊べるコンテンツを大きく強化した内容になるようです。また、製品版になることで価格が上がることも予告されています。
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タイトル:The Wind and Wilting Blossom
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2020年4月29日
記事執筆時の著者プレイ時間:4時間
価格: 1,420円