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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2020年9月2日にオーストラリアの個人デベロッパーDanstarr13氏が、Steam上でPC向けに無料プレイタイトルとして早期アクセスを開始した『SCP: The Foundation』について、生の内容をお届けしたいと思います。
『SCP: The Foundation』とは
本作は架空の組織「SCP財団」の研究施設を舞台にした一人称視点のサバイバルホラーです。プレイヤーは使い捨て職員「Dクラス」として連れこられた主人公として、通称「SCP」と呼ばれる超常現象や未知の存在・物品が跳梁跋扈する収容施設から脱出を目指します。
「SCP財団」とは、共通の世界設定を背景とした大規模な共同創作のサイト。「確保(Secure)」「収容(Contain)」「保護(Protect)」を三大理念とする架空の組織であり、その目的は「特別収容プロトコル(Special Containment Procedures)」が必要とされる、現代の常識では計り知れない超常現象や未知の生命体・物品など通称「SCP」と呼ばれる存在を秘密裏に収容して管理することです。こうした壮大な設定のもと、非常に多岐にわたるSCPが創造されており、同サイト上の「報告書」に記載されているSCPの数は数千以上に及びます。
同サイトをモデルに制作された作品としては、2012年の『SCP - Containment Breach』が実況プレイ動画などで広く知られているでしょう。筆者もあまりに不可解なSCPたちが喚起する恐怖とおぞましさに身震いをしながら、実況動画を視聴したのをよく覚えています。むしろ、このゲームをきっかけに「SCP財団」を知って「報告書」を読み始め、その独特な世界観と膨大な設定量にハマった方もいるのでは。Steamの作品紹介によるとDanstarr13氏もその一人とのことで、先行作へのリスペクトから生まれた作品のようです。
『SCP: The Foundation』の実内容に迫る!
◆有名SCPたちが登場!
物語は死刑囚として収監中の主人公のもとに仮面をつけた男が現れ、SCPについて知っているかと問いかけるところからスタートします。いくつかの選択肢をうまく選んでいくと、晴れて(?)Dクラス職員として採用されます。Dクラス職員とは死刑囚などの重罪人で構成される「使い捨て」用の職員。非常に危険な職務を強いられる財団職員の中でも、実験に使われたり危険地帯への先行突入を強要される存在です。また、使い捨てのため、命令に背けば躊躇なく射殺されます。
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公開されている設定によれば、主人公は死刑囚として収監されていたようですが、それも主人公の御しやすい性格を都合よく利用できると考えた財団によるでっちあげという、理不尽極まりない設定です。しかし、理不尽さはむしろSCPの代名詞。それを楽しむのが醍醐味と言えるでしょう。
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このプロローグシーンですが、とにかく画面が暗いです。全体を通して非常に暗く感じますが、この冒頭シーンは特に顕著です。ゲーム内設定で明るさを調整できないため、筆者の環境だと開始直後はほとんど何も見えず、モニターの明るさを調整してようやくプレイできました。
おざなりな面接を済ませて財団の施設へと到着し、「ギアーズ博士の人事ファイル」に登場するギアーズ博士によるオリエンテーションが始まったのも束の間、大きな地鳴りと揺れとともに照明が落ち、気がつくと隣の部屋はすでに死屍累々。なんと、本来は適切に「収容」されなければならない危険なSCPたちが脱走し、職員たちに次々と襲いかかったのです。ここからゲーム本編が始まります。
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サバイバルホラーである本作の最終目的は「施設からの脱出」です。マップはおおまかに「区画A:シメリアン棟」「区画B:アンボロー棟」「区画C:クレフ棟」の三つに分かれていますが、マップ全体はプレイごとにランダム生成されます。それらを探索し「カードキー」を手に入れ、ロックを開けて進んでいくという流れです。
ただしマップ機能はなく、毎回ランダム生成される無数の通路を、自力でマッピングして覚えなければなりません。筆者は極度の方向音痴でこの部分が全く追いつかず、常に迷子になっています。
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現在実装されているSCPは以下の5種類です。
やはり注目すべきは、もはやSCP界隈のマスコットと言っても過言ではない「SCP-173」、通称「イナミ」ちゃんでしょう。冒頭から登場し、プレイヤーに襲いかかります。
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◆SCPの追撃をかわしつつ、ランダムマップを駆け巡る恐怖と緊張感
現段階での主な敵は、SCP-173「彫刻」とSCP-106「オールドマン」。SCP-173は誰かの視界に入っていれば動けないため、専用HUDである画面下部の瞬きゲージに注意を払いつつ追跡をかわします。SCP-106はあらゆるものを腐食させ、壁・天井・床などの障害物を無視してすり抜けて追いかけてきます。設置されている電気床で妨害できるとのことですが、筆者はまだ成功していません。プレイヤーから攻撃はできず(できたところで彼らに効果はないでしょうが)、ランダムマップをとにかく走って逃げ回っていくことになります。
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得体の知れない怪物たちに追い回されながらの探索は緊張感があって楽しいのですが、ランダムマップという性質上、袋小路で行き場がなかったり、一直線の通路で両側から挟み撃ちにあったりという詰み状態になる瞬間がありました。なお、ランダムマップと言ってもひたすら廊下が続くだけで、部屋のような空間はSCPが収容されているものを除いて、ほぼ存在しません。
そして本作には、SCPの他に最強の敵が存在します。それがランダムに複数配置されている小銃を持った財団職員です。前述のSCP-173やSCP-106も強敵ではあるのですが、接近されなければ逃げ切れる相手です。しかし財団職員は、何も遮蔽物もない通路で飛び道具を使って攻撃してきて、あまつさえドアを開けて追いかけてくるという容赦のなさ。しばしばホラーもので描かれる、もっとも恐ろしいのは人間だという皮肉なメッセージなのでしょうか。
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なお、序盤から財団職員たちのポップ数がわりと多く、SCPたちから逃げている最中に出くわすとかなり絶望感があり、ややストレスを感じます。また、彼らの攻撃でインターフェイス左下のヘルスバーにダメージを受けるのですが、これを回復する手段が「包帯」のみ。このアイテムは道中の箱やキャビネットから入手できるものの、それ以外の用途が今のところない上に、入手数が少ないので欲しいときに足りない瞬間が多く、難しさを感じます。
◆便利な身代わりNPCたち
本作はシングルプレイながら、ゲーム開始時点でNPC二人がパーティメンバーとして同行します。NPCは基本的にプレイヤーに追従しかしませんが、「身代わり」としてとても役に立ってくれます。SCP-173もSCP-106も基本的には接触してしまったが最後、一撃でやられてしまうのですが(後者は例外も存在しますが)、彼らがいるとプレイヤーの代わりに犠牲になってくれます。死角からの唐突な襲撃もあるため、実質プレイヤーの残機二つ分となってくれる彼らは非常に心強い存在です。
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なお、彼らにもインベントリがあり、持ちきれないアイテムを持たせることも可能。ただし死ぬと回収不可能になるため、おすすめはしません。この二人のNPC枠を使ってマルチプレイができるようになれば、友人たちとわいわい楽しく遊べるのではないかと思うのですが、今のところそうした予定はアナウンスされていません。
せっかくですので読者のみなさまのために、最後にちょっとだけ役に立つ攻略情報を特別にお教えします。スタート地点の講堂舞台上に並べてある椅子の上に「レベル2カードキー」が確定で落ちています。開始直後にここで素早く拾っておくと、その後ロックのかかった場所へのアクセスが楽に。SCP-914「ぜんまい仕掛け」を見つけられたら、さらなるレベルのカードキーへとアップグレードもできちゃいます。
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総評
全体として、SCPモノが好きな方は楽しめる内容となっているでしょう。ただし肝心のSCPのデザインには、プラスチック感のある安っぽい光沢があり、いま一つ不気味さには欠けているかも。作中での遭遇回数が多いこともあるかもしれませんが、特にSCP-173とSCP-106にはこの特徴が顕著です。ゲームの基本的な流れも『SCP - Containment Breach』を踏襲していて、良く言えばとっつきやすく、悪く言えば二番煎じの域を出ていません。
早期アクセスということで不十分な部分も多く、またシステム面の影響もあり、プレイ難易度は決して低くありません。特にゲーム内の設定で変更できる項目が非常に少なく、暗さの調節機能や感度調節、キーバインド設定の項目は記事執筆時点では未実装。デフォルトでは感度がかなり高めに設定されており、試しにゲームパッドでもプレイしてみましたが、少しスティックを倒しただけで画面が大きく動いてしまいました。高感度に慣れている人でないと、設定が追加されるまで操作に苦戦するかもしれません。
しかし、アップデートやバグ修正はとても頻繁に行われています。筆者がプレイ中の数時間の間にも、プロローグのスキップ機能やクイックセーブ機能が実装されるなど、随時改善のためのアップデートが行われていました。また、今後は他のSCPも更に追加予定とのことです。なお現在のところ、日本語には未対応です。
タイトル:『SCP: The Foundation』
対応機種:PC(Windows)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2020年9月2日
記事執筆時の著者プレイ時間:4時間
価格:無料