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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2020年10月14日にPlayWayよりPC(Steam)向けにリリースされた『Accident』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Accident』とは
車両事故を専門とするジャーナリストとなり、過去に起きた事件を実際に検証するシミュレーションゲーム。舞台となるのは今よりも少し未来で、VR技術が大きく発展している世界です。主人公は提供される「過去の事故データをVRで再現して実際に現場を体験できる技術」を基に、今一度データを整理して事件をまとめなければいけません。
プレイヤーはVRで再現された事故現場に立ち会い、事故を起こした車両を調査し、怪我人を助けながら手がかりを集めて「この事故はどのように起こったのか」を検証してまとめることが目的。VRという設定を生かした時代や国、シチュエーションが大きく異なるケースを楽しめます。
『Accident』の実内容に迫る!
ゲーム開始直後、主人公は編集者からVRを使用した新技術についてのメールを受け取り、技術に慣れるためのチュートリアルを受けることに。チュートリアルステージでは基礎的なゲームの操作を学ぶことができます。なお、本作の主人公の立場は「事故を起こした立場」ではなく「事故を見つけた立場」になります。
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事故現場でやることは主に「救急隊員への連絡」「事故現場の安全確保」「被害者の状況確認と応急処置」です。安全確保のためには三角表示灯の設置、火災の消火や事故車のエンジン停止などの作業が必要です。被害者の状況確認のために肩を揺すって意識チェックをしたり気道確保後の呼吸確認をしたり、現実と同じ流れで確認を繰り返し状況に応じた適切な治療を施さねばなりません。
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本作で対応するケースはあくまで「過去に起こったことをVRで再現したもの」であるため、実際には生きていた人物を救えなかった場合などはミッション失敗になります。しかし、VRである利点としてプレイヤーはいつでも時間を巻き戻すことが可能です。適切な行動を起こすための最適解を何度も失敗しながら模索できます。
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治療後は現場に落ちている手がかりを収集し、「何が原因でどういった事故が起こったか」を順序立てて推理してチュートリアルは終了。次回以降は、事故のデータを基にした「現場」での検証活動が始まります。
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最初はイタリア!丸太が落下した凄惨な事故現場
最初のケースは2012年9月夕方のイタリア、データによると被害者は4人。選択するシナリオのファイルには最低限の時間と事故に関与した人名などがまとめられています。データディスクをPCに入れ、VRゴーグルを装着することでいよいよ検証スタートです。
山道を運転中、道路を塞いでいる丸太と事故を起こした3台の車を見つけたプレイヤー。携帯電話で「112(ヨーロッパ共通の緊急ダイヤル)」に連絡し、現場の安全確保を行います。今回の現場で事故を起こしているのは「丸太に押しつぶされている緑の車」「緑の車に後ろからぶつかっている白い車」「対向車線でガードレールを突き破り木にぶつかっている赤い車」の3台です。
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車にはそれぞれ運転席に男性ドライバー、緑の車の助手席には女性が乗っていました。それぞれの状況を確認後、プレイヤーはこの中で被害が大きい怪我人への応急処置を施す必要があります。今回のケースでは、衝突した木の枝が体に刺さっている赤い車に乗っている男性が対象です。木の枝をどうやって外すか、傷口をどうするかなど適切な応急処置をすることでシナリオは進み、当着した救急隊員に被害者を引き渡すことができました。なお、一番損傷が大きい緑の車に乗っている2人は見つけた時点で体力が0のため、救うことはできませんでした……。
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その後は現場を検証し、事故を起こした手がかりを見つけ出します。見つけたのは「赤い車のスリップ痕」「木材会社のラベルが貼られた丸太」「丸太に潰された緑の車」「枝が挟まり操作不能になった白い車のタイヤ」の4つ。これを適切に組み合わせることで検証は終了、シナリオクリアになります。
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本作の基本的な流れはこの繰り返しです。ただし、事故の状況や現場のコンディションなどにより、やるべき作業は大きく異なっていきます。
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現場のシチュエーションはさまざま!
本作の事故現場は先述の通り「過去の事故データをVRで再現したもの」であるため、事件によってそれぞれ国や時代が異なります。早期アクセスでは8種類のケースが用意されていますが、それだけでもバラエティに富んだ現場が用意されています。
例えば2021年3月のロシアマップでは豪雪のために視界が極端に悪く、走行車が見づらい危険なマップ。また、被害者が寒さで凍えないような処置を施す必要もあります。そのほか、深夜の高速道路のため車から降りた途端に轢かれる可能性があるケース、スマートフォン登場以前のため救急隊への連絡がしづらいケースなども用意されており、それぞれの時代や場所に応じた適切な振る舞いが求められるのです。
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もちろん事故内容も異なるため、プレイヤーの現場対応もそれぞれ異なります。車両火災が発生している場合、事故で開かなくなったドアへの対応のほか、助ける順番によって失敗するケースなどもさまざま。予想外の状況に遭遇しながら何度も失敗し、時間を戻してこの時現場に何が起こったかをしっかりと検証しながらプレイするのが非常に楽しいゲームです。
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本編で大切な「善きサマリア人の法」
開発チームは本作のジャンルをゲームであることだけでなく、「教育」の側面があることを表明しています。ローディング画面には「事故車のエンジンをかけたままだと発火の危険性がある」などゲーム内のTIPS以外に、「善きサマリア人の法(Good Samaritan law)」というルールについて書かれた文章が登場することがあります。
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これは簡単に言うと「災害や事故で窮地に陥っている人物に対しては一般人も救助行為を行う必要があり、万が一重大な結果を招いても法的責任に問われない」というもの。このルールは欧米いくつかの国で法律に組み込まれているほか、裁判で材料として採用されることもあります。日本では刑法37条や民法第698条で緊急時の善意による応急処置に対する決まりはあるのですが、「善きサマリア人の法」に相当するものではないという見方が一般的です。もちろん事故の当事者(加害者・被害者問わず、自転車での事故も同様)になってしまった場合は、道路交通法で被害者の救護やその他適切な措置をしなければならないことが定められており、もし違反すれば懲役刑や罰金刑に処されることになります。
本作の主人公の立場はあくまで「事故現場に立ち会った人物」でありますが、自分たちにも起こり得る状況であることを忘れてはいけません。本作で行う「肩を揺すった被害者の意識確認」人工呼吸、胸骨圧迫などの「心肺蘇生法」は学校の授業や運転免許取得時に筆者も学んだことがあります。もちろん三角表示灯や発煙筒の使用方法なども勉強になります。
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ちなみに現場の検証が終了後、被害者の「その後」についての報告が入ります。助けた人物が長年トラウマとなって車に乗れなくなることや、入院後すぐに亡くなってしまうケースもあるため思うことはさまざまです。しかし、懸命に救助した人物が「3日後退院した」などのケースもあるので、VRでの架空だとしても「ああ、救えたんだなあ」と少し嬉しくゲームとしてのストーリーの補完が非常に嬉しい部分です。
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ここまで紹介してきた『Accident』ですが、シミュレーターとしてのゲーム性の高さと教育面が見事に融合している作品という印象です。VRという材料のおかげか、勉強として決して堅苦しいわけでなく、(不謹慎ではありますが)現場を検証するゲームとしての楽しさにあふれています。
本作をプレイして思うことは、当たり前の話なのですが心肺蘇生法などさまざまな医療行為は世界共通なんだなという点。全編英語の作品ですが、「どこかで見たことがある行動」が多いため、プレイは馴染みやすく感じるのではないでしょうか。
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本作の早期アクセスは2021年Q1の終了を目指しており、製品版では新たなミッションやコンテンツが追加される予定。早期アクセスプレイヤーのフィードバックによるゲームプレイの積極的な改善を行うほか、リクエストに応じた新たな言語の追加も予定しているようです。なお、VR世界でさまざまな作業を行う設定のゲームですが、VRには非対応です。
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タイトル:Accident
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2020年10月14日
記事執筆時の著者プレイ時間:4時間
価格:1,520円