気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、OMOCAT開発、PC/Mac向けに2020年12月25日に正式リリースされたサイコホラーRPG『OMORI』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、ひきこもりが主人公のサイコホラーRPG。プレイヤーは2つの世界を行き来しながら、様々なキャラクターたちや自分自身と向き合います。奇妙で夢のような精神世界を描く独特のビジュアルや、「死」や「うつ病」をテーマとしたストーリーが特徴です。記事執筆時点では日本語未対応。
『OMORI』は、1,980円で配信中。

――まずは自己紹介をお願いします。OMOCATこんにちは。アーティストのOMOCATです!本作のディレクターで、チームと一緒に本作を作りました。2010年の学生の頃にオンラインブログを始めたのですが、それが次第に大きくなり、ファッションやグッズ販売を始め、最終的にOMOCATという会社になりました。現在OMOCATは、アメリカを中心とする出不精な人たちによる、小さいながらも真面目なチームとなっています。――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?OMOCAT本作の開発は2014年にスタートしました。当初、本作はKickstarterのキャンペーンとして始まり、小さな一年限りのプロジェクトになる予定だったのです。しかし時が経つにつれ規模が大きくなり、完成させるにはより多くの人の助けが必要になりました。
この間、私たちは多くの困難、開発環境の変化、予期せぬ事態に直面して数人の開発メンバーがチームを離れてしまい、開発終了時には8人の開発者と7人のゲームテスターがフルタイムで働いているという状況になりました。困難を乗り越えてきたこともあり、本作が高く評価されているということがとても嬉しいです!――本作の特徴を教えてください。OMOCATゲームプレイ面だと、本作は少しひねりが加えられた普通のJRPGです。しかし、様々な影響を受けているとは言え、そのビジュアルと音楽は特徴的だと言えるでしょう。他のゲームとの差別化という意味では、ストーリーの描き方と、多くのゲームが扱わない題材を採用しているという点があると思います。また、本作は『RPGツクール』を使って作られたにも関わらず、ボリュームがある作品となっています。

私たちは、もちろん『マザー』シリーズから多大な影響を受けていますが、他にも大好きなゲームから影響を受けています。『ゆめにっき』『ポケットモンスター』シリーズ、『Ib』『ドラゴンクエスト』シリーズ、『逆転裁判』シリーズ、『どうぶつの森』シリーズ、『ゼルダの伝説』シリーズ(特に『ふしぎの木の実』)、『キングダムハーツ』シリーズ、『ファイアーエムブレム』シリーズ、『ペーパーマリオ』シリーズ、『クロノ・トリガー』と『クロノ・クロス』、『ダーククラウド』『ファイナルファンタジータクティクス』…たくさんあります!
ゲーム以外にも、私たちが子供の頃大好きだったものから影響を受けています。「鋼の錬金術師」「さよなら絶望先生」「ひぐらしのなく頃に」と言ったアニメや、「20世紀少年」「おやすみプンプン」「よつばと!」と言ったマンガ、そして松本大洋氏の作品です。それからボーカロイドのプロデューサーの皆さんや彼らの作品、カゲロウプロジェクト、nekobolo氏、きくお私、Neru氏…こちらもたくさんです!
――本作の日本語対応予定はありますか?OMOCATはい、現在PLAYISMと一緒に日本語版の開発を行っています。ご期待ください!――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?OMOCAT多くのメンバーが開発開始当初からリモートで作業をしていました。しかしパンデミックが始まるとより状況は深刻になり、それまでオフィスで作業をしていたメンバーもテレワークを始めなければなりませんでした。最初は慣れるまで時間がかかりましたが、開発自体はコンピュータの中だけで行われるので、開発進行はそれほど影響を受けませんでした。最終的にすべて上手くいったのは、ありがたいことです!――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?OMOCATはい、もちろんです!本作はプレイヤーが他の人たちと体験を共有できるゲームとして作りました。――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。OMOCATこんにちは。本作は日本のアニメーションとポップカルチャーから多大な影響を受けたゲームです。私たちはアメリカ人、メキシコ人、イタリア人による開発チームですが、子供の頃、日本の様々なものが私たちに衝撃を与え、特別な意味を持つものになりました。この気持ちが本作を通して皆さんに伝わると嬉しいです。まだ日本語訳は完成していませんが、完成した暁には、皆さんにも本作を楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございました。――ありがとうございました。

本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に300を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。