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「デジボで遊ぼ!」ではボードゲーム要素やカードゲーム要素、テーブルトークRPG(TRPG)要素のある魅力のデジタルボードゲームを特集。今回は多数の兵士たち一人ひとりを細かくカスタマイズ・育成できるJRPGリスペクトなストラテジーRPG『姫子ストーリー』のプレイレポートをお届けします。
本作はアメリカ・バージニア州のインディーデベロッパーRockwell Studiosによって、早期アクセス版が2019年1月30日に、正式版が2021年2月1日にSteamで配信されました。英語のタイトルは『Himeko Sutori』とローマ字っぽい表記になっています。
ちなみに主人公の名前は姫子……ではなく、「アヤメ(Ayame)(アヤ(Aya)と呼ばれることが多い)」です。「姫子」という言葉がどこから来たかについてですが、開発者のNathaniel氏にお聞きしたところ、「アヤメは若いプリンセス(young princess)なので、タイトルを『姫子ストーリー』にしました」とのこと。もともと「Princess Child Story」というタイトルで、これをそのまま翻訳すると「姫子ストーリー」になります。「Sutori」にしたのは、昔のJRPGの英語ローカライズが酷かった事への皮肉も含まれているようです。
本作の内容ですが、ヘクスマップ上で戦闘を行うターン制のストラテジーRPGです。ゲームの特徴としては、多数登場する味方ユニットの一人ひとりを細かくカスタマイズ・育成ができる自由度の高さ。いったいどんなゲームなのか、さっそくプレイしていきましょう。
3人のプリンセス
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ゲームには、通常プレイの「ニューゲーム」と、自作ストーリーをプレイできる「キャンペーン」があります。本作では、キャンペーンエディタを使ってオリジナルの世界を構築できるので、ある意味無限の可能性を秘めた作品とも言えます。今回は「ニューゲーム」でプレイ。ゲーム開始時に映画のような演出のムービーが入ります。
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ゲームが始まりました。邪馬台国・古河家には3人の若いプリンセス(姫子)がいて、長女は由美、次女は詠美、そして三女は綾と言います。この三女の綾が主人公です。有志翻訳者の尽力により、現在は公式で日本語サポートされることとなりました。
本作は、一般のRPGのように綾を操作してマップを探索したり人と会話するRPGパートと、ヘクスマップで戦闘を行うストラテジーパートがあります。RPGパートにおいてはWASDキーで移動、QRキーでマップの回転、スペースキーで他のキャラクターに話しかけられます。
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タスクとして、大学内のクリスタルタワーへ行くよう言われたので、さっそく移動。入り口が光っている建物は中に入れます。タワー内ではクリスタルの点検を行いました。これらクリスタルの力によって、城が外敵から保護されているようです。
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次に市場の様子を見に行くタスクですが、広場の真ん中でスライムが発生していました。ここから戦闘開始ですね。本作のストラテジーパートですが、一般のSRPGのように1人1ユニットではなく、ユニットを組み合わせてランス(部隊)を作ることになります(もちろん1ランス1人でも構いません)。
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ランス編成画面。最初に配置したユニットがそのランスのリーダーとなります。リーダーキャラの統率ポイントにより、ランスに配置できるユニット数の上限が決まります。今回の戦闘では2ランスしか出せないので、綾と由美をリーダーにしたランスを作成しました。
ランスには「近接」「遠距離」の2つの攻撃力があり、これらはランス内のユニットの能力の合計値で決まります。他にも属性や物理防御・魔法防御などもユニットごとにあるため、遠距離攻撃に強いユニットばかりを集めたランスや近接専門の壁役ランスなど、上手く組み合わせてランスの特徴を出すことができます。
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ランスの設定が終わったら、今度はマップに配置。最初の戦闘なのでマップはかなり狭いですね。とりあえず適当に並べて配置しておきましょう。スライムぐらいなら楽に勝てるとは思います(多分)。
戦闘開始!
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戦闘開始。行動はターン制となっています。一般のターン制SRPGと同じで、「移動」して「攻撃」という流れですね。攻撃方法は「近接」「遠距離」の2つから選択が可能。なお本作の特徴としては、ランス内のユニットが攻撃時にそれぞれの能力を活かした行動を自動的に取ってくれるというものがあります。
例えばHPが低くなったら、ランス内にヒーラーがいれば自動的に回復してくれます。筆者はユニットを一つひとつ操作するよりも、大まかな命令を与えてあとはキャラクターたちが自分の判断で動くという戦略ゲームの方が好きなので、本作は筆者的には「当たり」ですね。
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由美・詠美のランスは、近接は全然ダメですが遠距離攻撃に優れています。綾のランスが壁になっているので、後ろから攻撃してやりましょう。スライム側もランスを作っていますので、結構攻撃に耐えてきますね。ブロックするスライムもいます。
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壁役となっている綾のランスは、ユニットがダメージを受けても綾がヒーリングポーションで回復してくれます。スナップドラゴンという味方の妖精が死にかけていましたが、敵に近接攻撃を仕掛けた時に綾が回復してくれました(ヒーリングポーションは無限に使えます)。
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スライムのランスを一掃し、戦闘終了。それぞれのユニットが能力を活かして戦っているのを見ているだけでも結構楽しいです。このランスシステムの良い所は、やはりどんなユニットでも活躍できることでしょう。
「1人1ユニット制」だと、弱いユニットは戦場に出さなくなる(出せなくなる)のですが、本作だとランスの総合能力で戦いますので、どんなユニットでもランスに組み込んで活躍の場を与えられます。
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戦闘後、ピーターという人物から報酬として、お金やパン、チーズなどをもらいました。食料は軍隊の維持に必要で(後述)、食料の種類が多いと経験値にボーナスが入ります。またピーターから物資を買うこともできます。
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綾のキャラクターシート。属性や各種武器に対する能力値など、ステータスが細かく設定されています。キャライラストの下の「ノート」という欄には、自分で自由に書き込みが可能。キャラのプロフィールや育成メモなど、どう使うかはプレイヤー次第です。
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それぞれのキャラクターは、「クラス」を設定できます。綾のクラスは「学生」で元素は「ブロンズ」、属性は「知性」、先程戦闘で披露していた「ヒーリング」のスキルを持っています。他のクラスに変更したり、クラスのレベルを上げて上位クラスにチェンジしたりも可能です。どう育てるのかを考えるのが本作の楽しみの一つですね。上位クラスの「パラディン」「クレリック」を目指せる「アコライト」に、綾をクラスチェンジしておきましょう。
軍隊を率いて冒険の旅へ!
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タスク終了の報告をした後、父親の元へ行くと、報酬として武器やら防具やらを大量にもらいました。ちなみにこの世界での領主は「大名」と呼ばれており、トップにいるのが「天皇」です。
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城外へ遠征することになりましたが、現在のままだと戦力不足です。酒場で仲間を増やせるようなので、さっそく行ってみましょう。傭兵団長から傭兵を雇えますが、一人2,000Gとなかなか高価。手持ちのお金は3,000Gしかないので一人しか雇えませんね。
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そばにいるダンヤという女性に話しかけてみたところ、5人の冒険者が冒険を求めているといいます。無料なのでさっそく仲間に加えました。宿の2階でも3人の学生を、訓練と称して味方に引き込みました。
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合計8人の新規メンバーを加えたことで大所帯に!これで先程得た装備を振り分けられますね。新メンバーのクラスは「学生」か「冒険者」なので、状況に応じて適宜クラスチェンジさせておくのが良いでしょう。
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フィールドに出ました。ヘクスマップ上で移動が行われ、それに伴って時間も進みます。ずっと進軍を続けると疲れてしまうので、夜になったら休憩を取るのがいいでしょう。食料も消費されるので、遠征する時は買い込んでおきましょう。
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紋章が表示されているヘクスには敵勢力がいます。ぶつかると戦闘開始。戦う前に相手との戦力差が画面下に表示されますので、互角以上でない場合は戦うのを控えたほうがいいでしょう(互角に近くてもかなり厳しいです)。本作ではユニットが死んだ場合、そのままロストとなってしまうので注意が必要です。
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マップ上には敵だけでなく、妖精の森や洞窟なども散在しています。そのヘクスに止まると、画面が切り替わって探索モードに。妖精の森は宝箱が落ちていますが、洞窟だと戦闘が始まる場合もあります。
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仲間が増えたのでランスを3つに分けます。平均的な能力にするより専門性があった方が強いので、近接専用のランスを2つと、遠距離専用を1つ作っておきました。遠距離専用ランスはクリティカル率が高く、我が軍のメインアタッカーとなっています。
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ゴブリンやスライムを相手しつつ、レベル上げに励みます。本作は経験値稼ぎがいくらでも出来ますので、強い敵に挑む前にはしっかりレベル上げをしておきましょう。
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本作のレベルアップですが、レベルアップ時にランダムで3枚のカードが提示され、その内の1枚を選びます(これを3回繰り返す)。新たなクラスやアビリティを獲得できたり攻撃力や防御力を上げたりなど、いろいろな効果があります。引きが悪いと、いつまで経っても新しいクラスが獲得できないということも。
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新たな町に到着。鍛冶屋ではレシピと材料があれば、武器や防具をクラフトできます。材料は敵を倒したり洞窟などを探索して獲得が可能。レシピは店で販売されています。
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町の長老から盗賊退治を頼まれました。盗賊たちは農場や鉱山を襲撃しているようです。直行してもいいのですがユニットのロストが怖いので、もう少し軍隊を強くしておきましょう。果たして綾たちは勝てるのか、続きは自身の手でプレイしてみてください。
自分だけの軍隊が作れる自由度の高いSRPG
本作はユニット単位ではなく、ランスという部隊単位で行動します。ユニットの組み合わせによってランスの戦力や特徴が決まりますので、どのようなランスを作るかを考えるのが本作の楽しみ方とも言えます。攻撃属性を魔法で特化してみたり、物理攻撃に強い壁ランスを作ったりなど、自分の考える最強の軍隊を目指してみてください。
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また本作では、自分でキャンペーンの作成が可能です。開発用ツールが付属していますので、これを使用することで新たな『姫子ストーリー』を生み出せます。また本作をベースとして、まったく新しいゲームの開発も出来るようです(使いこなせるまで時間が掛かりそうですが)。自由度の高いSRPGを求めている方は、ぜひ本作をプレイしてみてください。
製品情報
『姫子ストーリー』
開発・販売:Rockwell Studios
対象OS:Windows
通常価格:2,570円
サポート言語:日本語、英語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/669500/_/
開発・販売:Rockwell Studios
対象OS:Windows
通常価格:2,570円
サポート言語:日本語、英語
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/669500/_/
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter、「マイナーゲーム.com」Twitter。