気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Trylight Game Studio開発、PC/iOS/海外スイッチ向けに3月19日にリリースされたデジタルコミックパズル『Fate of Kai』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、漫画を読み進めるように物語を進めていくパズルゲーム。プレイヤーは吹き出しの中の単語を手に入れ、別の吹き出しにその単語を入れたりし、キャラクターの行動と物語の展開に影響を与えていきます。700コマ以上もの手描きによるカラフルなイラストも特徴。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Fate of Kai』は、1,220円(iOS版は490円)で配信中(Steam/iOS)。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Tomas Lacerra氏(以下Tomas)アルゼンチン・ブエノスアイレスに住むゲームデザイナー、Tomas Lacerraです。過去には他のスタジオでいくつかのプロジェクトに参加し、自分でもTrylight Game Studioというゲーム開発スタジオを設立しました。本作は私たちのデビュー作となります。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Tomas本作の開発は2018年に始まりました。以来、世界中で16のアワードを受賞し、他にも数々の賞にノミネートされてきています(Game Connection San Francisco、BIG Festival、Awesome Game Awards、EVAなど)。また、2019年10月にはその月のHumble Originalに選ばれました。2021年3月19日、TheGamePublisher.comの協力のもと、本作をついにリリースすることができたのです。
――本作の特徴を教えてください。
Tomas一目見ていただければ、本作がユニークなゲームであることに気づくでしょうか。本作はすべてが魔法の本の中で展開するので、とても特徴的な演出となっています。プレイヤーはページを読み進めることで、Kaiをお城へと導くのです。本作はかなり細かいところまでとても丁寧に作られており、最高のゲーム体験をお届けします。
本作のメインシステムとなる、キャラクターの考えを操作したり、タイムトラベルしたり、異なるタイムラインにズームインしたりするという体験は、これまでに経験したことがないものでしょう。
また、本作において時間経過やゲームのテンポは、100%プレイヤーに委ねられていますので、各プレイヤーの状況に合わせて進めることができます。
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――本作が影響を受けた作品はありますか?
Tomas私たちは自分たちが経験してきた様々なことによって、自分たちという人間が形作られていると考えています。そのため、これまでにしてきたあらゆること、遭遇したあらゆる出来事の影響が、本作にも現れていると言えるでしょう。一つ例を挙げるとすれば、第5章は『ゼルダの伝説』に出てくる迷いの森から影響を受けています(私は『ゼルダの伝説』と任天堂の大ファンです)。
私はジョナサン・ブロウ氏(『The Witness』や『Braid』)とダニエル・ベンメルギ氏(『Fidel』)の大ファンでもありますので、両氏の作品も私の作るゲームに影響を与えています。また、本作は私が実際に経験したことから直接的に影響を受けています。本作のアートスタイルは、タイラー・カーター氏からインスピレーションを受けました。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能でしょうか?
Tomas日本語には現在対応していませんが、ぜひ対応させたいとは思っています。私たちはわずか3人の開発チームなので、手伝っていただける方がいれば大歓迎です。まずはメールでご連絡ください。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Tomas本作は私たちのデビュー作ということもあり、開発に携わった人の多くは別に本業とする仕事がありました。自宅で過ごす時間が長くなったこともあり、本作にかけられる時間も増え、早く完成させることができたのです。しかし同時に、チームで実際に集まって作業をすることは難しくなり、これは大変でした。また、他の人たちと同様、新型コロナによる不安は開発に影響を与えたと言えるでしょう。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Tomasはい、私たちのゲームを配信する姿をぜひ見てみたいです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Tomas日本のプレイヤーの方には本作に興味を持っていただき、とても嬉しく思っています!皆さんのサポートに感謝いたします。私たちはとても小さなスタジオですので、皆さんの声はゲーム開発を続ける大きな力になります。
今後も私たちは信念を持ちながら、たくさんのゲームを作っていきたいと思います。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に400を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。