最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は、PolyAmorousが開発、All in! Gamesがパブリッシャーを担当して、2021年03月24日に、Windows PC(SteamまたはGOG.com)/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けにリリースしたポストアポカリプス探索FPS『Paradise Lost』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Paradise Lost』とは?
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本作は、我々と異なる歴史で勃発した第二次大戦により滅んだ欧州世界で、ナチスの地底都市を舞台に、主人公である少年Szymonを操り探索していくゲーム。地下の奥底に広がるのは、ひとっこひとりいない、かつての文明の残り香。
本作の言語は、音声を除き日本語対応しており、その翻訳レベルも個人的にしっかりしていると感じました。おかげで各キャラクターの言動にブレはなく、道中で入手する手記なども、作品世界へのさらなる没入感を与えるものになっています。また操作系については、キーボード&マウス、そして部分的にコントローラが対応。筆者は、手触りの良さから今回はキーボード&マウスでプレイしています。地下深く潜る先に少年は一体何を見るのか。さっそくやってまいりましょう。
本作の魅力
プレイヤーがエリアのあちこちを調べて進むほどに、おぼろげながらも世界の全貌が明らかになっていく……という物語の展開に、本作最大の楽しみがあるといっても過言ではありません。そのため、本記事においては、極力ネタバレにならないよう注意してまいりますが、もし「1ミクロンもネタバレを知りたくないですぞ」という方がいらっしゃいましたら、ここでブラウザバック等して頂けると幸いです。
本編開始
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タイトルから新しいゲームを選択したところ、古びたパソコンモニタの砂嵐が表示されました。どことなく『Falloutシリーズ』を彷彿させる画面作りが良いですね。
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何やら現時点では想像の及ばない演出が続きます。身元不明の女性の音声ログが流れますが、「ありがとう。」とはどういう意味なのでしょうか。いまこの記事を書いている筆者は、一通りクリアした後なのですが、ここで初めて「もしかしてアレがソレでそーゆーこと?」と、演出の意図を想像できました。
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ムービーが始まり、この世界における出来事のあらましを想像できる映像が流れていきます。凍てつく大地、吹雪、戦争の痕、埋もれる文明。ここについてはSteamストアページの説明文を読むと、世界観の補足になるかと思います。この世界では第二次大戦が20年以上続き、最終的にナチスによる核の炎が欧州を焼き払ったおかげで、永遠の冬が訪れてしまい、大地が生命の一切を拒絶するに至りました。
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第一章「否認」……まったく別の話題ですが、友人間で宇宙人狼『Among US』をプレイしていた際、不審極まりない言動のひとりが「みんな聞いてくれ……俺はぁ……ヤってなぁい……」と容疑を否認したのが、むしろトドメで追放された一幕を思い出します。ちなみに奴はインポスターでした。
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閑話休題。場面は切り替わって、少年と思しき両腕が扉を重そうに押し開き、廃墟に入り込みました。歯の根が合わないような息遣いからも、この建物内も外と同様に寒いのでしょう。彼の名前はSzymon。スジモンではありません、欧州版『龍が如く7』めいたものが始まってしまいます。筆者は、何故かサイモンと認識していましたが、本編中での正しい読み方は「シモン」。
シモンの生い立ち
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Steamストアの説明によれば、シモンは写真に母と一緒に写っていた男を探しているようです。ただし、不毛の大地で生き延びてきた彼が、どうやってこの建物を見つけて、中に入れたのかについては直接の描写が無いため不明。また、彼の生い立ちについては、ゲームの進行に合わせて徐々に明らかになっていきます。
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暗闇を照らすライターを見て、母親の記憶を思い出すシモン。ここのセリフから、外で荒れ狂う冬の猛威は、ずいぶん長いこと続いているという描写が補強されます。ライターがあれば暗闇も怖くないからと勇気づけてくれたママンの記憶。回想が終わり、今こうして廃墟に孤独なシモンに、筆者は自分の心を重ねて同情してしまいます。
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ライターがあればどんな暗闇も心強く、ママンの記憶は寒い心を温めてくれます。さらに景気づけに歌でも歌いながら、闇への恐怖を吹き飛ばして、どんどん先に進んでまいりましょう。
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♪ロスティンペリダイ……ナイタンデイ……フィデンアウッ……(及び腰)
探索するほどに理解が深まる世界観
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アホなことをやりながら闇を進むと、とある部屋にたどり着きました。画像のようにエリア内には、記号でハイライトされるオブジェクトが配置されていることがあります。ドアの開閉といった、進行に直接関わりのあるものもありますが、たいていは手記だったり録音テープといった記録媒体。
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これらは、この世界でいったい何が起きたのかを知る手掛かりになります。本作はほぼ一本道で進行するため、もし途中で取りこぼしがあると、おおよそは想像できても、深く理解はできないままエンディングまでキョトン顔で進んでしまうかもしれません。エリアをくまなく探索すると良いでしょう。
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また、エリア自体の作りこみも巧みで、「ここで何が起きたのか」といった興味や疑問が尽きません。それらは最初、あちこちに点在するだけですが、先に挙げた記録媒体などのおかげで、ある瞬間に像となって結ばれるため、なかなかカタルシスめいたものを感じます。
深く広がる地下世界
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いくつか装置を動かしたところ、電源がまだ生きていたらしく、施設が再起動しました。下に降りると、打ち捨てられた列車がちらほら。
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ここは駅なのでしょうか?または階層を示しているのか。ともあれ、ママンの写真と見比べると、数字的な意味でまだまだ目的地は先のようです。
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そもそも、荒れ果てているとはいえ、それなりの規模の施設のはずなのに、ここまでの探索で人間の気配を残り香すら感じないのは異様です。ここでいったい何が起きたのでしょうか?
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思案を巡らせながら、手当たり次第にレバーを引いたり操作したりを繰り返したところ、先ほどの地下からさらに下層へ移動することができました。いろいろ台無しなコメントをすると、ジャブロー地下。ジム・ライトアーマーで駆け抜けたアーケード『機動戦士ガンダム 戦場の絆』の記憶が蘇ります。
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ここが地底とは思えないほど広々とした空間に、豪奢な作りの建物が見えます。
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とりあえずそこを目指して移動すると、なるほど目的地には近づいているようですねママン。
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また話題が脱線しますが(列車だけに)、すごく個人的にキュンキュンきたオブジェクトの表現は、この床すらも凍り付いている部分です。この独特な光沢はまさにそれ。
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さてさて、この駅と思しき建物に入っていきましょう。ちなみに左側へ抜けていくと荷捌き場につながるのですが、後戻りできるルートなのか否か確認できなかったので、今回はこのまま正面ゲートを突破していきます。
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ここでもし別のセーブデータスロットがあれば、クイックセーブして確認後に再ロードとかできるのですが……おそらくゲームが意図するプレイ体験がぶち壊しになると思うのでやめておきます。
仲間の登場
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探索を続けて先に進んでいると、妙にタイミングよくエレベータが来たり、扉のロックが解除されたりします。画像からだとわかりませんが、シモンも「フムン」と声を漏らして疑問符を浮かべています。
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そんな時にたまたま見つけたマイクスタンド。そこにマイクがあるなら歌いたくなるのが人情というもの。それでは早速、♪ロスティンペリd……
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まさかの反応あり。なんとこのナチス地下帝国(?)には、他にも人間がいました。
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彼女はどこか遠く離れた制御室にいて、様々な情報をモニターできるようですが、どうやらその部屋に閉じ込められているようです。シモンの道中を助けるので、代わりにそこから出してほしいとお願いしてきました。
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シモン……いや筆者は、地底で出会ってすぐにお願いしてくる相手を信用しないとプラスミドに誓っています。「恐縮だが……」とか言ってくる相手は特に。当然彼女への返事はNOです。
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とはいえ、彼女の助けなしでは、袋小路に直面するのもまた事実なので、結局は協力関係を結んで進むことになります。果たしてこの先いったいどんな展開が待っているのか。
おわりに
本作における唯一の惜しい点を挙げるとするなら、足が遅いの一言に尽きます。このおかげで、隅々までエリア探索をする際に、時間がかかってしまうためやや面倒。これは筆者の勝手な想像ですが、おそらく操作するキャラクターがシモン少年であることと、エリア探索の没入感を増やすために、歩行速度は遅めに設定されているのかもしれません。
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ともあれこの後は、画像のように端末にアクセスして、施設のログを洗いながら、過去に起きた出来事を明らかにしていく……というのが主な流れになります。当時の最先端技術で作り上げられた地下施設、人間のコミュニティ、土着信仰……これらが徐々に混ざり合い、グラデーションのように色を変えながら展開していく物語とエリアの様子に、プレイしながらどんどん引き込まれていきますね。ただしそこをつっこんで紹介すると、もうどうあがいても避けられない重大なネタバレなので、興味のある方は、ここから先については是非遊んでみてください……!
対応機種:Windows PC(SteamまたはGOG.com)/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2021年03月24日
記事執筆時の著者プレイ時間:4.5時間
価格:通常価格 1,520円、セール価格 1,003円(21年04月01日まで)