最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となりm……いや今回は、筆者の諸事情で記事掲載がリリースから10日ほど経過してしまっているので「微速プレイレポ」と言いましょうか。遅くなってしまい申し訳ありませんでした。
さて今回は、Studio Fizbinがデベロッパーを、Thunderful Publishingがパブリッシャーを担当し、2021年04月09日にSteamにてPC(Windows/Mac)向け、他にはニンテンドースイッチならびにiOSアプリ向けでリリースした風刺コメディADV『Say No! More』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Say No! More』とは?
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本作は、とある企業の新人インターンである主人公を操作して、周囲の無理難題すべてに対して「NO!」を突き付けるアドベンチャーゲーム。言語は日本語対応(他キャラクターの会話は英語音声)で、操作はキーボードと至って簡単です。
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今回の執筆にあたり筆者は全チャプタークリア済みです。じっくりプレイしても2時間弱で最後まで遊べるため、ちょっとした気分転換としてカジュアルに楽しめました。ゲームはプレイヤーによる操作で進行するものの、プレイ体験はどちらかと言えば受け身。全体を例えるなら、ひとつのドラマを、ボタン操作によるページ送りで観ている感覚でした。
個人的には、現在新しい環境でちょっとしんどい思いをしている方こそ、本作をプレイすることで何か気分転換のキッカケになれば良いなと感じます。さっそくやってまいりましょう。
キャラクターを作ろう
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今回採用されたのは、そこら中で無茶ぶりとハラスメントがチークダンスを踊っている会社。そんな場所で自分が強いと思っている相手に「NO」と断ってやりたい人、絶対にノーとしか言わないトリーズナーな人、右ですか左ですかに対してNONONOしたい人も、何はともあれまずは主人公のキャラクリです。
タイトル画面からゲームスタートを選択すると、16種類のプリセットキャラクターを選べます。もちろんそれをたたき台に、自分のオリジナルも作成が可能。せっかくバリエーション豊かなことですし、今回は新規に作成してみましょう。
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ということでこちらのプリセット男性をベースにします。
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ご覧くださいこの既にキマりきっている目。小さな瞳孔にどこまでも深い闇をたたえているのがチャームポイント。
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それがこうなりました。
怒髪天を衝き、全身の血管が怒りに震えています。もう限界極まって、目の前にいる相手の顔に歯を立てんばかりの迫力が抑えきれていません。なんでこんな男を採用した。
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こちらは「ノーの言い方」選択画面。本作は多言語に対応しており、一つの言語に対して男女両方のボイスが与えられています。今回は日本語男性Verを選択。NOの代わりに「いやです」という文字がセットで浮かび上がります。これは実際に聞いてみると想像よりもずいぶんマイルドな「いやです」でした。てっきり「絶対に許さんぞ虫けらども」というフリーザ様レベルを想像していたのですが……。
出社しよう
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公園のベンチで携帯電話のゲームをしていた主人公。そこへ現れるのはロン毛の友人。
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主人公の正式採用を祝いつつ、可愛らしい手作りベントーを用意してくれました。
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その流れで繰り出される家賃立て替えの相談。聞けばこのロン毛、就活中とは言うものの、実際は口ばかりで毎日遊び惚けています。こんな甘ったれたやつに優しくする必要はありません。早速きっぱりはっきりNO!「いやです!」を叩きつけてやりましょう。
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しかし言葉が出ません。代わりに口から漏れるのは「えー」だの「うー」だの。そうなんです、この時点で主人公はシャイ状態。はっきりと断ることができないのです。
仕事場に慣れよう
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そんなこんなで初出社。自分のほかにインターンは2人。上司の前に並び訓示を頂戴します。
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突然の脅し。
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なんだ冗談でしたか。
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!?
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……オーケー、今のやり取りでこの会社の方針が分かりました。心身を壊す前にとっとと退職しましょう。
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とはいえせっかく就職したのにすぐ辞めては色々と申し訳が立ちません。雲行きが既に怪しいというかハリケーン吹いてますが先に進みます。
覚醒せよ
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インターンに割り当てられた小部屋で仕事をしていると先ほどの上司が現れました。話を聞いていると、昼食を忘れて困っているとのこと。その視線は主人公のベントーに熱く注がれています。
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そして彼はあれよあれよと流れるようにベントーを奪い取って走り去っていきました。あまりのことに絶句して突っ伏す主人公。なんなんだこの会社。モラルと品性は忘れ物センターに届けられた後に保管期限が過ぎて処分されています。
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そんなところへ現れるカセットテープ。そのラベルには「NO!」の文字。誘われるようにしてヘッドセットを頭にのせると……、
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突然精神世界に連れていかれ、タンクトップのマッチョが喝を入れてきました。
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怒れ、NOと言え、やれ、お前ならできる。そんな言葉を繰り返し浴びせられていくうちになんだか力が湧いてきました。Spaceキーを押してSay NO!
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言えました!
ただしNO!というには、気力が必要です。その気力ゲージは、画面左上にあるブチギレ状態な顔の周囲に表示されます。NOを言うたびにゲージが消費されるので、回復のためには相手を挑発する必要があります。
これらNO!や挑発のスタイルはそれぞれ4種類ずつあり、物語の進行に合わせて解放されていきます。それぞれがなかなかに憎たらしい態度で煽るので、筆者はモニターの前で笑いながら上司に対して挑発を続けてしまいました。
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ともあれ今回体得したのは「高笑い」。相手の心を動揺させたその隙をついてNO!と言ってやりましょう。
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ご覧ください。見事、相手のプライドをへし折ってやりました。
怒涛の快進撃
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NO!を体得した主人公に向かうところ敵なし。オフィスを駆けまわり目の前に現れる他従業員に罵声を浴びせて蹴散らします。
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冷静に考えると、それまで机に突っ伏していた新人が突然奇声を上げながら手当たり次第に暴力を振るうという、どう考えても主人公が狂人判定。
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しかしそれがどうしたというのか。ストレス社会においては、誰しもが導火線に火のついた爆弾抱えて生きているんですよ。
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ところが敵(上司)の中には、今のNO!と挑発では倒せない相手も出てくることでしょう。
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しかしそんな時も大丈夫。先ほどのタンクトップが次々と技を伝授してくれます。
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止まらない、主人公の進撃が止まらない。
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逃げ惑う上司を屋上まで追い詰めて、
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水底に叩き落しました。犬神家!
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上司を倒し、そしてついに社長とも戦うことになった主人公。
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果たしてこのパワータイプの女性をNOで張り倒すことができるのでしょうか。
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ネタバレ:できます。
おわりに
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ウォーモンガーな主人公を中心に巻き起こったNOによる戦い。それは、いつの間にか周囲でYESを強要され同じように苦しんでいた他の同僚たちにも伝播していきます。
ここからの物語展開は、シラフの状態ではやや気恥ずかしい部分があるかもしれません。ただし、実際に追い込まれて辛い思いをしている時に見るとまた違ったものがあるかもしれない……とも感じます。
その意味においては繰り返しになりますが、4月も終わりに差し掛かり、そろそろ新しい環境に慣れてきたものの「何かしっくりこない、何かがおかしい」という感情を抱いている方に本作は刺さるものがあるかもしれません。
対応機種:PC(Windows/Mac), ニンテンドースイッチ, iOS
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2021年04月09日
記事執筆時の著者プレイ時間:2時間
価格:1,980円