2011年、2018年そして2021年も何かと話題に上がる仮想通貨。ビットコインの価格高騰など興味のないゲーマーでも耳にすることは多いと思いますが、そんな仮想通貨を題材にしたシミュレーターゲーム『Crypto Mining Simulator』がSteam向けに4月25日にリリースされました。本稿ではデベロッパーStanislaw Devが手掛けるホットなシミュレーターのプレイレポをお届けします。
リアルシミュレーターということで専門用語が多数登場するため簡単に解説していきましょう。まず「Crypto」とは「暗号」の意味で、「Crypto Currency」で暗号通貨と訳されます。日本では「仮想通貨」の名前で知られていますが、「仮想」と訳すのは日本だけで世界的には「暗号」通貨と呼ばれています。
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そして「Mining(マイニング)」とは言葉の通り「採掘」の意味で仕組みを簡単に説明すると、基本的に仮想通貨には法定通貨(日本円や米ドル)のように中央で管理する国や銀行のようなものは存在しません。通貨の管理は、第三者コンピュータのネットワークを利用し、相互又は第三者が自由に監視できることで取引に対しての信用を築いています。
売買などの取引のチェックには「マイニングPC」が使用され、膨大な言わば暗号の様な「関数」を解く必要があります。それを一番最初に解いた人には報酬として新規発行の通貨が与えられるというわけです。そのシステムが金貨を掘り当てる行為に似ていることから「マイニング」と呼ばれ、その作業をする人達を「マイナー」と呼びます。全ての仮想通貨がこうした仕組みで運用されているわけではありませんが、さらに詳しく知りたい場合は、「仮想通貨・マイニング」で調べてみて下さい。※この後、仮想通貨取引のチャートなどが出てきますが、本稿は仮想通貨投資を勧めるものではなく、あくまで『Crypto Mining Simulator』の解説のために載せております。仮想通貨投資を推奨するものではありません。
『Crypto Mining Simulator』とは
本作は、マイナーとなり自作PCを組み立て、マイニング作業を体験できるリアルシミュレーターです。実在する多彩なPCパーツと現実的なアルゴリズムによって、どんなPCを作れば効率的にマイニングできるかをシミュレートすることができます。
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ゲームモードは、所持金2,500ドルを元手にスタートするモードと、1千万ドルの資金から始めるカスタムモードが遊べます。仮想通貨と聞くと「ビットコイン」を連想する方は多いかと思いますが、実は既に何千という膨大な数の仮想通貨が存在しています。頂点をビットコインとし、その他の信用度と取引量が多い上位を「アルトコイン」、更にそれ以下の「シットコイン」が存在します。
本作ではビットコインの次に取引されている「イーサリアム」をマイニングして、資金源として使い、マイニングPCを改造、増設していくことになります。他にも、マイニングPCを作って小遣い稼ぎをしたり、トレードで資金を得ることも可能です。そして、資金に余裕ができたら内装をカスタマイズして、自分らしいマイニング工場を作っていきましょう!
『Crypto Mining Simulator』の実内容に迫る!
それでは名前を決めてニューゲームで開始!すると、ノートPCと機械が置かれた無機質な部屋が目の前に現れます。本作のチュートリアルは「Tasks」として右上に目的が表示されるのみで、特に操作方法や詳しい説明はないため、ゲーム開始直後はまるで異世界に放り投げられたかの様に右往左往することに。
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とりあえず「Go to Shop」とタスクにあるので、部屋に設置された扉に進むと「どこでもドア」かのごとくお店に到着します。PCショップの内装は、秋葉原にありそうな店内をイメージしてか所々に何処で手に入れた?と思うようなポスターがチラホラ......。
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様々PCパーツが棚に並ぶ店内で、元手となる2500ドルを使いパーツを購入していきます。どれを買おうかと悩む感覚は、本当にお店に来ているようで意外と楽しめます。とりあえず、右上のタスク通りにPCパーツを組む為のフレーム「Rig」とパーツを購入。買い方はパーツ名が表示されたら、マウス左クリックで選択し購入を押せば、パーツが部屋に届きます。
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ここで注意点があります。本作ではしばしばバグが発生します。そのひとつがチュートリアルが進行不能になる不具合です。どの状態でなるかは不明ですが、右上のタスクを上から順番に達成していくことでバグは回避できます。
初のマイニングPC制作だったこともあり、ゲームPCを作る感覚でパーツを買ったため後に失敗することに……。購入したパーツは、CPUがi7-9700K、GPUは予算ギリギリのRTX2080 8GBを1枚、残りのお金で電源、メモリー、HDDを購入しました。無人のレジをあとに、出口を通ると無機質な部屋の中央に召喚されます。そして、先ほど購入したパーツが剥き出しの状態で足元に……。
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PCの組み立ては、パーツをドラッグ・アンド・ドロップで組みます。次に、パーツにマウスポインターを合わせて「右クリック」で、ケーブルと電源を接続。地味にアナログな作業が再現されておりGPUの接続数が増えると意外と手間なのがリアルですね。CPUのファンを忘れずに取り付け、マザーボードを右クリックしてOSを起動させれば準備完了!近くのノートPCからマイニングソフトを起動させ、今作ったPCが画面に表示されたら選択し「Start」を押せば稼働です。あとは、マイニングされるのを待つだけ。「ESC」のオプションから、10倍速を有効にすれば時の流れを早くできます。
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マイニングPCはハッシュレートが命!
マイニングは冒頭で説明した通り、「取引の承認」と「新しい通貨の発行」の役割があります。取引の承認とは、例えば送金などで行われた「取引」を書き換えられないように検証していく作業です。膨大な値の中から特定の条件を満たす値を探す作業のため、性能の高いパソコンを使う必要があります。
その目安となるのがハッシュレート「hash/s」で、この数値が高いほどより早く取引の承認ができ、報酬として新規発行通貨を得られます。また、CPUよりもGPUの性能が、ハッシュレート向上に大きく影響します。
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昨今ゲーム用GPUが市場から消えるというニュースを、しばしば見かけますがこうした理由が原因です。ただし、予算が余りない時は高いGPUを1枚使うより、1枚当たりを安く抑えて複数枚使った方が合計値でのハッシュレートが上がるので、試行錯誤を繰り返していきましょう。
はじめて作ったマイニングPCは、CPU:i7-9700K、GPU:RTX2080 8GB×1枚、メモリー8GBで、ハッシュレートが「約50.77 Mh/s」という結果に……正直早いのかどうが分かりませんでした。他の人達はどんなPCを組んだのか気になり、Steamの掲示板を見てみると、CPU、メモリー、は安い物を使いGPUに予算を多く割当て、安いGPUを複数枚買った方が効率が良いと発覚!早速ニューゲームでやり直します。
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新しく組んだPCは、CPU:i3-8100、GPU:RX470 8GB×6枚、メモリー8G。前回と同じ予算で作ったマイニングPCですが、こちらのハッシュレートは「約143.4Mh/s」と一気に約3倍に……。さらにノートPCのGPUの項目から「OC」をクリックすることで、「オーバークロック」も可能。「Core」「Memory」「Fan速度」の3つを変更できます。実際のマイニングサイトを調べて分かったのは、コアクロックを上げるよりも、メモリーのクロックを上げた方がハッシュレートの向上に繋がるということです。ただし、あまりオーバークロックし過ぎると、摩耗度「Wear」が上がり早く壊れてしまうので注意しましょう。
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マイニングの待ち時間で稼ぐ!
本作では、マイニングの合間に稼ぐ方法が2つあります。1つ目は、マイニングPCの販売です。「ESC」を押すと表示されるオプション画面の左側には、マイニングPCの制作依頼が表示され、お客様の要望に合ったPCを作って売ることが可能。作ったPCは、出入口付近の特定の場所に置くことで売買が成立します。
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依頼は、1,500ドル以内でハッシュレートが50Mh/s出るPCを作るといった内容で、パーツショップに行き予算内でその性能が出るPCを作らなくてはなりません。ただし、ここでもう1つバグが発生してしまいました。というのも依頼条件を満たすPCを作って出入口付近の場所に置いても「ハッシュレートが足りません」と出て売買が成立しないのです。このバグを回避するにはPCを組み終えたあとに、ノートPCで依頼品のPCを稼働させ、ハッシュレートが表示された状態のまま、PCをドアの隣に置く必要がありました。
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隙間時間に稼ぐ2つ目の方法は、仮想通貨なだけにトレードです。オプション画面を表示させると中央に「Trade」とあるのでクリックすると画面が切り替わります。トレードはあくまで簡易的で、チャートはリアルタイム表示しかなく、15分足や4時間足といった時間足に切り替えはできません。
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しかし、表示されるチャートは世界的にも有名な「バイナンス」の取引情報を取得しているので、リアルなトレードを体験可能です。また、トレードできる銘柄もビットコインやイーサリアムのほか、今年イーロン・マスクによって話題になり高騰した柴犬がトレードマークの「DOGE」コインなど5種類の通貨で取引できます。
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ここまで紹介してきた『Crypto Mining Simulator』ですが、細かいバグが散見されるのと、電力の数値は表示されるものの、電気代が発生しないためリアルなマイナー生活を再現!というほど高いクオリティではありません。あくまでPCパーツを買って組み、マイニングさせて時が過ぎるのを待ちつつ、トレードと検証を繰り返しながら日々を送るゲームとなっています。
ソフトを立ち上げたまま、他の作業ができるのでマイニング中ただ画面を見ているという必要がないのはいい点です。しかしながら、実際のマイニング結果と同じかは検証してはいないため、本稿はそれを保証するものではありません。仮想通貨の理解を深めるとともに、マイニングの仕組みを体験する最初の教材としてはちょうどいいかもしれませんね。
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日: 2021年4月25日
記事執筆時の著者プレイ時間:2.5時間
価格:1,010円
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