Sharkmobが開発中の『VAMPIRE:THE MASQUERADE - BLOODHUNT』は、TRPG「ワールドオブダークネス」の世界観の中でも特に人気の高い「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」を下敷きにしたオンラインバトルロイヤルです。
タイトル発表に先立って、メディア向けに先行テストプレイが開催されました。プレアルファ版での試遊でしたが、そのプレイレポートをお届けします。
「仮面舞踏会」の崩壊?プラハのど真ん中で巻き起こった掟破りの大抗争
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「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」の世界には、ヴァンパイアとなったものは人間に決して正体を知られてはならない「仮面舞踏会」の掟が存在します。人間社会へ巧妙に溶け込みながら、吸血行為の隠蔽のために様々な組織的工作を行っています。
しかし、本作では吸血鬼の殲滅を狙う組織「エンティティ」の襲撃を受けています。そして吸血鬼の会合「コンクラーヴェ」で何らかの決裂が生じたらしく、血族同士でなりふり構わず抗争が起きています。プレイヤーは吸血鬼の一員となって、超人的な身体能力、特殊な魔力を駆使して戦いに身を投じることになるのです。
舞台となったのは古典建築の聖地プラハ。趣のある建物から高級ブティック、建築途中のショッピングモールなど、バラエティに富んだ区画が存在します。その周囲から吸血鬼に有毒な「レッドガス」が散布されており、プレイヤーは狭まる安全地帯の中で生き残りを図ります。
ステージの中にはフレーバーテキストを獲得できるアイテムが設置してあり、プレイを重ねて収集していくことで世界をより深く知ることができます。
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「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」 に登場する13血族のうち、今回使用できたのは美貌を武器にしたトレアドール、索敵とステルスが得意なノスフェラトゥ、身体能力が高いブルハーの3つ。それぞれ男女ごとに使えるアビリティが異なる「アーキタイプ」が用意されています。
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基本的なルールは、出現地点を選び、武器や回復アイテムを集めて、最後の一人になるまで戦い抜く、一般的なバトルロイヤルと同じです。本作ではここに吸血など独自のシステムが加わります。
まず、吸血鬼の身体能力は非常に高く、素手で壁面を登る、高所から無傷で着地することが可能です。地上と屋上の行き来が自在で、他のバトルロイヤルと比べて縦の動きを大きく使えます。
そして知覚能力によって人間の居場所、アイテムのありかを壁越しに見ることができます。武器やアイテムの取得に向かうべき場所がすぐに確認できるので、身体能力と合わせて道に迷うことはほとんどないでしょう。
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プレイヤーがダメージを受けたときの回復はアイテムの血液袋を使うか、市街地にいる人間から直接血を吸い取ります。人間からの場合、数種類の強化バフを受けられます。血族の能力に合わせて吸う人間を選ぶと有利です。
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街のあちこちには、吸血鬼に攻撃を仕掛けてくる武装組織「エンティティ」が陣を構えています。かなり強力な装備を携えており、丸腰で近づいたならすぐさま蜂の巣にされます。その代わりにアーマーなどの武器を強奪できるので、チーム戦で装備を調えれば十分に対抗できるでしょう。彼らも人間なので当然血を吸って回復もできます。
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通常はお互いに感知できない吸血鬼同士ですが、目立つ行動を取ると「仮面舞踏会」の掟を破った「Break the Masquarade」状態になります。全てのプレイヤーに知覚される危険な状態です。かなり遠くからでも赤くハイライトされるので、多くの敵から標的にされるリスクを負います。
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体力が尽きてダウンした場合、一定時間逃げ延びるか、チーム戦で味方に蘇生してもらえば復帰できます。しかし、ダウン状態では吸血の対象になってしまうので、敵に近づかれると血を吸い尽くされてゲームオーバーです。もちろん全回復するので、激しくやり合った後には積極的に狙うのも良いでしょう。
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ロビーになるのは「エリジウム」と呼ばれる地下神殿。ここでは各血族のリーダーとの会話や、使える装備の確認ができます。
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着せ替えられる衣装はベーシックなTシャツからぼろ切れ、高級ブランド風まで幅広く、現代が舞台のバトルロイヤルでも、防具に頼らない吸血鬼だけにファッションには手を抜けません。
いざ戦場へ、美しい夜霧のプラハで観光気分?
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今回のテストプレイではチーム戦とソロ戦を試遊できました。3血族の中から選択したのは、人前には決して出られないような醜い風貌のノスフェラトゥ。姿を消して接近、闘争したり、コウモリを放って索敵ができる奇襲タイプのクラスです。普段は地下世界に身を潜める彼らが大胆に地上に出るのはよっぽどの大事なのでしょうか。
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まず目を見張るのが、丁寧に作り込まれたプラハの光景です。雨が降りしきり夜霧の煙る暗闇で、外灯の明かりを受けて路面がギラギラと光ります。そしていかにも古風な建造物群の屋根を、吸血鬼達が縦横無尽に駆け巡る。現代社会の闇に潜む「ワールドオブダークネス」の雰囲気は十分に出ています。
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建物の壁を自在に上り下りができるのはなかなか爽快で、屋根の上を渡り歩くだけでも存分に夜景を楽しめます。アイテム類も地上と屋上問わず配置されているので、様子見がてらにとりあえず登ってみるのもいいでしょう。
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入り組んだ地上と遠くまで見渡せる屋上、言わば2つのマップが重なり合っている状態です。地上にはエンティティが待ち構えていますし、上から銃撃する方が有利ではありますが、物資の豊富さでは圧倒的に地上が勝っています。
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前述の血を吸える人間は当然ですが地上にしかいませんし、点在する薬局やブランドショップには吸血鬼のための物資が隠されています。十分な補給をするためにはどうしても地上に降りる必要があります。
また、BLOODHUNT状態になった場合、屋上に留まるのは危険です。周りのプレイヤーから確実に補足され、スナイパーライフルの狙撃を全方位から受ける可能性があります。プレイヤーが熟達すれば、BLOODHUNT狩りのスナイパーをプレイすることもあるかもしれませんね。
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チーム戦になると互いにカバーし合えるので、役割分担をきちんと行えばエンティティ拠点の襲撃も十分可能。かなり激しい戦いにはなるものの、それを以てしても余りある物資を入手できます。もちろん血を吸って回復するのも忘れずに。
釘バットや斧、剣などの近接武器も多数用意されていますが、今回のプレイではスキルの扱いに慣れていないせいかほとんど銃撃戦になっていました。使い方を熟知すれば素早く近づいて斬り付けることもできるでしょうが、リアルスケールで戦うとなると射撃の方がやりやすく感じます。
せっかく吸血鬼が題材なのですから、もっと狭いレンジで「アンダーワールド」や「ブレイド」のようにスタイリッシュな戦いを見たいと思いました。この点については、より積極的に近接戦闘を行えるよう、今後の開発にて改善を図るとのことです。
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今回のテストプレイに併せて、SharkmobのディレクターCraig Hubbard氏にメールインタビューを行いました。
――吸血鬼達は何故危険を冒してまで、街中での戦いを起こすことになったのでしょうか? このような状況に至った経緯を教えてください。
Craig Hubbard氏(以下敬称略):「仮面舞踏会」の掟を敷いたヴァンパイア達の最大派閥「カマリリャ(The Camarilla)」と、その体制に異を唱える派閥「叛徒(Anarch)」は長年闘争状態が続いており、停戦のための会合が行われることになりました。しかしその場へ現代武装の吸血鬼ハンター軍「エンティティ」の襲撃があり、プラハ旧市街が封鎖されてしまいました。
カマリリャ側は叛徒側が手引きしたと考え、事態が悪化する前に叛徒を排除しようとしています。それでもなお戦いの最中にあっても「仮面舞踏会」の掟は守らなければならないのです。
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――用意されている多数のフレーバーテキストを集めるにはどのような手段がありますか?
Craig Hubbard:ロケーション、NPCとの会話、アイテム収集など様々な方法で解放されます。当初は「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」の世界観や物語を知るリファレンスの予定でしたが、探索、収集を通じて学んでいく方がやりがいがあると考えました。
――テストプレイでは13血族のうち3つを選択できました。追加する予定はありますか?
Craig Hubbard:はい、いずれは他の血族も登場させたいですね。しかし、新しいアーキタイプを追加するにあたり、ゲーム体験とうまく噛み合うことも重要です。鍋へ材料を一度に投入するよりも、少しずつ味を調えていった方がきっと美味しく仕上がるでしょう。
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――都市を包むレッドガスや、エンティティについて詳細を教えてください。
Craig Hubbard:「エンティティ」は高度に訓練された重武装の吸血鬼ハンターです。現時点では旧市街各所に検問を敷いており、まだ積極的な攻勢には出ていない様子です。何らかの大規模作戦を準備しているようですが、その具体的な手段や目的などは不明です。
レッドガスは普通の人間には無色透明で無害ですが、吸血鬼にとっては致命的な毒です。エンティティは封鎖区画で吸血鬼を押さえ込み、逃さないためにレッドガスを散布しています。他のバトルロイヤルのリングとは異なり、レッドガスの動きは不規則で予測が付かないので、常に動きに気を払わなければいけません。
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――ブルハー、トレアドール、ノスフェラトゥ、各血族の特徴とプレイスタイルを教えてください。
Craig Hubbard: ブルハーは最も好戦的な血族です。空中で高くジャンプすることができる「Soaring Leap」アビリティを持っており、闘争や接近に役立ちます。地上では建物の上に素早く上がることができ、空中ではより長い距離をジャンプできます。
「Brute」のアーキタイプは防御が得意です。「Shockwave Punch」で弾を防ぎ、敵を後退させることができます。また、ダメージを受けた後の再生には限界があります。
「Vandal」のアーキタイプは好戦的で、地面に叩きつける「Earthshock」で敵を空中に叩きつけ、ダメージと同時にスタンさせます。慣れるとEarthshockに続いて銃撃、近接攻撃に繋げられます。Vandalsは敵に近づくと防御力が上がるので接近戦向けですね。
トレアドールはテクニカルなクラスです。「Projection Dash」のアビリティで任意の場所にテレポートできます。「Siren」のアーキタイプは「Blinding Beauty」で限られた範囲内の敵を一時的に混乱させることができます。また、近くにいる人間を魅了すれば仮面舞踏会の掟を破らずに吸血が可能です。
「Muse」のアーキタイプはヒーラーです。「Rejuvenating Voice」は自分だけでなく範囲内にいるチームの味方も同時に回復します。また、「Final Act」の効果でダウン中であってもアビリティが使えるので、ピンチの局面でもチームの回復や脱出もできます。
ノスフェラトゥは最も狡猾な血族で、「Vanish」のアビリティで姿を隠しながら素早く移動できます。「Saboteur」のアーキタイプは初心者向けで、「Sewer Bomb」を使えば煙幕を張り、数秒間かがめば姿を消すことができます。
最後の「Prowler」は私のお気に入りのアーキタイプです。「Scouting Famulus」で一定範囲の敵を察知し、負傷した敵を追跡するパッシブアビリティも備えています。
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――プラハの街並みは現代とゴシックの美しさが混ざり合いとても気に入っています。アートワークのこだわりは何ですか?
Craig Hubbard: まさにこのコントラストが重要です。歴史的建造物と現代建築が混在する中でそれぞれをより古典的に、モダン的に強調し、ランドマークの移動や変更を施しました。美観的な面もありますが、プレイヤーが自発的に目的地を決めたり、エリアごとに変化を感じられるようにするためです。
――プラハ以外のステージはどのようなものを予定していますか? また、昼間のステージはあるのでしょうか。レッドガスの代わりに日光によってエリアが狭まるのも面白そうです。
Craig Hubbard:ひとまずプラハのエリアに集中し、新しいエリアやチャレンジを追加していきます。いずれ新しいマップを増やしますが、その前に現在のマップでフィードバックを得ることが重要です。それによってうまくいっている部分を伸ばし、改善が必要な部分を修正していきます。
昼間のマップはこの世界観では難しいですが、日光を使ったギミックはこれまでも検討してきました。私が入社する前にテストプレイがあったと聞いていますが、そのときは上手くいかなかったようです。今のところ具体案はありませんが、将来的にはもう少し可能性を探ってみるかもしれません。
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――現代の吸血鬼というと「アンダーワールド」や「ブレイド」などのスタイリッシュなショートレンジの戦いをイメージします。テストプレイではライフルでの撃ち合いが多くなりましたが、近接武器を生かすにはどんな戦い方がありますか?
Craig Hubbard:私たちがゲーム開発において心がけているのは、プレイヤーが何を好み、何を嫌うかを、テストプレイを通して確かめることです。近接攻撃のアイデア自体は多くのプレイヤーは気に入っていますが、実際のプレイではほとんど、あるいは全く使われなかったのです。
近接の改善はこれまでも繰り返してきました。私がSharkmobに加入してから近接を強化したものの、それでもなお遠隔攻撃には及びませんでした。テストで多少オーバー気味にしても、使ったのは一部だけで、大半のプレイヤーの気を悪くするだけで終わりました。
特定の状況下だけでは活躍しますが、今はまだほとんどの場面で近接攻撃は不利なままです。木刀は素手相手には十分ですが、薙刀には手が出せませんよね。もし敵がライフルを持っていれば――木刀だろうと薙刀だろうと、近づけなければどうにもなりません。
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退廃的で美しい世界が広がる「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」という強力なフランチャイズで、競合の多いバトルロイヤルでどう差別化を図るのか、今後の発展に期待です。なお、7月2日よりクローズドアルファテストを実施予定で、現在プレイヤーを募集中です。奮ってご参加ください。