気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Pawley Games開発、PC向けに9月2日に正式リリースされたターン制宇宙ストラテジー『Star Dynasties』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、地球滅亡後の宇宙を舞台にしたターン制ストラテジー。プレイヤーは家臣を集め、同盟を結び、様々な政的な陰謀の網をくぐり抜けながら、自らの帝国の領土を拡大し、銀河にその圧倒的な支配力を見せつけます。宇宙が舞台でありながら、人間同士の生々しい駆け引きが特徴。記事執筆時点では日本語未対応です。
『Star Dynasties』は、2,570円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Glen Pawley氏(以下Glen)本作を開発したGlen Pawleyです。ターン制ストラテジーゲームの大ファンで、一番好きなゲームは『シヴィライゼーション』シリーズです。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Glen数えられないぐらい何度も『シヴィライゼーション』や他のストラテジーゲームをプレイした後にふと気がついたのですが、実際の歴史(特に古代と中世)における出来事と、これらのゲームの中での出来事には、大きな乖離があります。王や皇帝にとって、技術や行政能力よりも、実際は社会的・政治的能力の方がより重要でした。そして政治力が1人や一族に集中する社会では、経済力や軍事力がない国と同様、人間の愚かさや人間ドラマが原因で国が滅亡したのです。同盟関係は個人のカリスマ性や友情によって築かれ、戦争は恋人をめぐって勃発したりし、玉座は社会が不安定になると奪われたり、反乱は君主とその友人との間での確執により起こったり、などと言った感じです。
このような「個人的なこと」が、歴史、ファンタジー、そして近未来SFを魅力的なものにするのです。中世やフィクションの王国のようなストーリーから飾りを取っ払えば、そこにあるのは私たちにも馴染みのあるような人間臭い物語です。跡継ぎに悩む王は、自分の子供に立派になってもらいたいと願う父親と同じです。国を滅亡させる裏切りや軽率な行動は、私たちからしたら規模が大き過ぎるように感じるかもしれませんが、根本的には人間が人生の中で経験するものと繋がるものがあるのです。
本作において、プレイヤーには「人と人との個人的な関係」というものがまだ政治の力を持っているという舞台で、超特大規模のロールプレイ体験を提供したいと思いました。
――本作の特徴を教えてください。
Glen本作は、これまでのシミュレーションゲームというものの限界を押し上げようと挑戦する、ランダムキャラクターシミュレーションです。
キャラクターたちは、互いに影響し合います。例えば、味方が反乱の鎮圧に成功すると喜びますし、敵が同じようなシチュエーションで失敗することでも喜ぶのです。
モラルシステムというものがあります(とは言うものの、原始的で報酬ベースのものです)。本作における原始的な社会においては、特定の行動が高く評価されたり、見下されたりしています。ゲームデザインとして、味方に戦争を仕掛けるような非道徳的な選択は可能であるものの、ゲーム内の社会から圧力がかかるようになっているのです。
キャラクターたちは、親切にされたことや恨みをしっかりと覚えています。そして、これがモラルシステムと面白い相乗効果をもたらします。例えば、戦争することは不名誉なことですが、殺された父の復讐のための戦争であれば許されるのです。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Glen本作はターン制ストラテジーゲームのファンで、暗黒時代SFが舞台の人間ドラマというストーリーに興味がある方には、気に入っていただけるでしょう。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Glen直接的に影響を受けたわけではありませんが、本作は『Crusader Kings』に似ています。この作品のファンであれば、本作でも似たようなシステムに気がつくでしょう。SFであったりターン制であったりすることはさておき、本作は『Crusader Kings』以上にキャラクター同士の関係性や政治に焦点を当てています。
――本作の日本語対応予定はありますか?
Glen残念ながらありません。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Glen良い意味でありました!私たちは小さい開発チームですので、以前からリモートで作業をしていましたので、新型コロナにより開発環境が変わってしまうようなことはありませんでした。しかし、私のパートナーがここ一年半、自宅から仕事をするようになり、彼女と一緒にいられることは嬉しいですね。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Glenもちろんです。配信者の方に本作を遊んでいただいている姿を見るのは楽しいです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Glen本作に関するインタビューを読んでいただき、ありがとうございます。興味を持っていただけると大変ありがたいですし、ぜひ楽しんでいただけると嬉しいです。ありがとうございました!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。