最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。私もプレイするまで正体が掴み切れず泣いています。そこで“なるべく早く”をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」。
今回はインディーデベロッパであるMaxim Karpenko氏が、2021年12月3日にSteamにて、PC(Windows/Mac/Linux)向けに早期アクセスリリースした神々の遊びシム『WorldBox - God Simulator』について生の内容をお届けしたいと思います。またスマートフォン向けにiOS/Androidでも配信中です。
『WorldBox - God Simulator』とは?
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常日頃から「この世を滅ぼしたい」と思っている方に朗報です。まさにそんなゲームが出ました。しかもSteamストアではリリース直後にもかかわらず「非常に好評」を記録する盛り上がりぶり。エンターテイメントはその時代を映す鏡とはよく言ったもので、本作のようなゲームが世間で人気を博しているということは、割とマジで世も末なのかもしれません(暴論)。
冗談はともかく、本作は中世ファンタジーをモチーフにした箱庭サンドボックスゲーム。プレイヤーは自由に海を割って大地を作り、人を、動物を、植物を、魔物を、有象無象までをも住まわせ文化を築くことができます。それだけに飽き足らず気候変動、天変地異も思いのままとまさに神の御業……ゴッドシミュレーターを名乗るのは伊達ではありません。早速紹介してまいりましょう。
操作・設定・言語
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操作はキーボード&マウスに対応。一応Xbox Oneコントローラーも接続自体はできましたが、前者の方が圧倒的に快適なプレイ体験でした。その他設定も画面モードや音声についての切り替え程度と、いたってシンプルですね。
言語については日本語にばっちり対応。丁寧な翻訳のおかげで、問題なくプレイできます。
必要最小限のチュートリアルが良い
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ゲームを始めるとこのようにドラゴンが背を丸めたような形をした島々が現れます。ここはチュートリアル(?)的な場所ですが、このまま自分好みの世界に塗り替えていっても問題ありません。以降は起動のたびにランダムな初期マップが表示されるので、自分の世界を続行したい場合は保存したデータをロードすると良いでしょう。
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本作のチュートリアルは現時点で必要最小限で、個人的にとても好感度が高いです。というのも手探りでゲームを始めて、あれこれいじった結果引き起こされる惨状に大笑いするというプレイ体験に非常にマッチしていたからです。
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画面下部には地形、文化、動物、気象、破壊などにカテゴライズされたタブが並び、それぞれのタブの下にはさらに細かいアイコンが連なります。習うより慣れろとはチュートリアルで学んだ言葉、とりあえず困ったときは適当なアイコンを触ってから世界をクリックすると良いでしょう。
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……結果的に落雷ボタンを押して大変な状況になっている様子。
天地創造
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なかったことにして世界を最初から作り直すことにしました。ここではそもそもの規模、島の数、地形のランダム加減に水位の高さなどを設定してベースとなる世界を造ることができます。プリセットでもいくつかパターンが用意されていますが、特に深く考える必要はなく、好きなように選ぶと良いでしょう。
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さあ始まりです。海がやさしくさざめき、雲が穏やかに流れゆくだけの何もない世界。ここからまずは大地を造らねばなりません。
ありがたいのは世界を造る材料(?)に一切の制約がなく、無尽蔵に使用可能であること。アンロック要素が一切ないのはストレスフリーで良いですね。上限を気にせず、マウスクリック・ドラッグで絵を描くように土地を生みだしましょう。
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はい、できました。スパくん島です。生前ネットで悪さをした魂が死後にたどり着くここは地獄の一丁目……という設定で天地創造。
文明開化(?)の音がする
茶色い大地は土、灰色は岩盤で構成されているスパくん島。大地を造ったらそれら種族をばらまいて世界に文明を灯しましょう。
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まずはサムズアップめいた指先に種族「人間」を数十匹(?)生み出して発展を見守ります。これら動植物たちは、ルール設定などである程度はこちらからコントロールできますが、基本的には時間経過とともに好きに生きて理不尽に死んでいきます。
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ゲーム内には年月単位で進む時間があり、5倍速までスピードアップが可能です。ものすごい速さで文明ができあがっていく。
ちなみに同じ種族は2人以上いるとその人口が増えていくのですが、この時やや気になるのは、どう見ても男性にしか見えない2人組から始めた場合でも、数か月後には3人に増えてることなんですよね……。衆道が盛んな世界なのでしょうか。
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ともあれ次はスパくん頭部にエルフ族を並べていきます。エルフは賢そうだから頭脳に据える、という極めて頭の悪い発想で極地に飛ばされた長命族。でも良いんです、どうせ彼らも生前はネットで悪さをした罪人という設定ですから(鬼の所業)。
種族の相性に注意
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モンスターにも人型だったり知性を持った存在もいますが、文明を築くことができる種族は「人間」「エルフ」「ドワーフ」「オーク」の4種類のみです。ただし一部種族は互いに反目しあって戦争、植民地化という事態に発展することもあるので要注意。
ナメクジに塩、幼馴染にチャラ男、個人事業主に確定申告……そんな具合でエルフとオークは字面的にも相性が悪く、何よりオーク自体が他種族に対して特に好戦的です。そのため彼らはどの種族からも離れた、尻尾の先っぽに住まわせます。鉱物くらいしか取り柄のない過酷な環境なので、絶滅してもまあそれはそれで良いでしょう(非道)。
そういった視点からみるとこの島、ふざけた形ではありますが、身体の各部位に違う種族を住まわせることで無意味な争いを避ける合理的な地形であると言えるかもしれません。
大地を豊かにしよう
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今の土くれと鉱物しかない大地では、生物が暮らすにはあまりにも過酷で貧しいので、手指の先から少しずつ草木をはやして手を加えていきます。今回は「温暖な植物の種」で緑豊かにしていく算段。一度まくとそこから時間経過でじわじわと範囲が広がっていきます。
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植生はサバンナだったり湿原だったりと他にも種類があり、草花や木もそれぞれの環境に対応して変化します。
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ここで面白いのは温暖とサバンナなど極端に異なる環境を隣り合わせにすると、互いに侵食しあって拮抗するんですよね。うまいこと調整すれば砂漠の中のオアシス的な土地も作れたりするかもしれません。
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スパくんの口元が寂しかったので溶岩を垂らしてみたところ、その近隣にあった住居に住まう人間たちがどこかに蒸発してしまいました。
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そして「スパくんといえば白い身体だよね」という、極めて貧しい発想で気温を下げられる頭部。急に極寒地帯となる異常気象に見舞われるエルフ族はたまったものではありません。
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その後もいろいろと手を加えて最終的にこんな形になったスパくん島。溶岩によって掘られた「炎上」の文字が、ここが流刑地であることを主張します。
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人口もかなり増えたおかげで、島内には様々な社会が並ぶようになりました。当初の狙い通り、各部位それぞれに種族のすみわけができていますね。
暇を持て余した神々の遊び
世界がある程度の形になったら、あとは放置してその成り行きを見守るが本作の楽しみ方の一つ。しかしあまりにも何も起こらなければ、それはそれで暇を持て余し始めるのが人情というもの。
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ここはひとつ雨でも降らせて作物を実らせてやるかの、と親切の心で雨雲を作り出す神様。
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結果的に雷雨に襲われ家が次々と燃えるスパくん島の足回り。
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そして「なんだこれ?」とカニをクリックしてしまったのが運の尽き。
………………………………。
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世界に静寂が訪れた。
おわりに
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自分が創造神だと思っていたら実は破壊神だったでござるの巻。ともあれ本作の楽しみ方は自分で好きな箱庭世界を造って、その中で起きる種族の栄枯盛衰を眺めながら、時には破壊によってちょっかいをかけることにありましょう。
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ストーリーとか、タスクをこなすというったことはなく、すべて自分で決めて、偶然発生したイベントに自分なりの物語を見出すという本作。早期アクセス時点でかなり遊べるので、今後のアップデートでどのように磨かれていくのが期待が持てます。
対応機種:PC(Windows/Mac/Linux)/iOS/Android
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2021年12月03日
記事執筆時の著者プレイ時間:2時間
価格:2,050円