来ましたシリーズファン待望の『ファークライ6』DLC第3弾「ジョセフの崩壊」! 本DLCは『ファークライ5』および正式な続編である『ファークライ ニュードーン』を踏まえたDLCとなっており、ヴィランだった「ジョセフ・シード」こと「ファーザー」の贖罪が描かれます。オープニングシーケンスでは「導きの声」が聞こえてきて戦いをうながされます。
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神は見守られておられる! それでは最終DLCプレイレポートいきますよっ!
『ファークライ5』と『ファークライ ニュードーン』のおさらい
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本作もまたこれまでのDLC通りローグライクFPSを採用しており、武器種こそ違えど根本的なゲームプレイは今までのDLCと変わりません。ただし毎回マップとミッションが違うのでゲームプレイの体験は異なってきます。なにより違うのは毎回異なったヴィランを採用している点にあり、今回は『ファークライ5』のヴィラン「ジョセフ・シード」が主人公となっています。
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ジョセフは『ファークライ5』において劇的なイントロダクションで登場しました。世界は滅ぶと唱えるカルト宗教の主である彼が、その危険性から連行されるときヘリが墜落し、彼はこちらを向いてアメイジグ・グレイスを歌う、そして「神は見守っておられる」と言い去って行く……強烈なインパクトがありました。
そんな彼ののちを描いた、シリーズでも特殊な作品なのが『ファークライ ニュードーン』。これはシリーズ初の正統続編であり『ファークライ5』の後日譚となっています。この後日譚では世界は滅んでおり……つまり『ファークライ5』の結末も、プレイヤーに対しそのような一種の裏切りを描くものでした。
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『ファークライ ニュードーン』ではジョセフのもとにコミュニティができているのにも関わらず、正しいことをしたのだろうかと悔恨しており、息子がコミュニティのあとを継ぐことに対して異を唱えていました。息子との関係に思い悩むジョセフ、そんな背景が本DLCにも反映されています。
「啓示」ミッションは濃厚な後味の悪さ
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「啓示」と呼ばれるミッションで存在する「偶像」は巨大なジョセフ像を修復するというもの。像の節々に肉のこぶができており、それを破壊することで進行します。現れる敵は『ファークライ ニュードーン』で登場した「ジャッジ」、彼もまたジョセフの犠牲者だったなと思い返されます。そのほかにもシード家長女であり『ファークライ5』で中ボスとして登場した「フェイス」の声が聞こえ、彼女の怨嗟の言葉が響きます。そして像を修復しきればクリアですが、後味は悪いです。
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「ジョセフの書」では「私の一生は過ちの連続だった。すべてを顧みたその先に、贖罪のあらんことを」というミッションメッセージが表示され、空中にある巨大な聖書への階段を上り、その先にある扉を開いて侵入、シード家の兄弟と話しながら裏切り者たちを殺していく、という内容になっています。『ファークライ5』の中ボスで三男の「ジョン・シード」と話しながら、フェイスと対話しながら、『ファークライ5』の中ボスであった長男の「ジェイコブ・シード」を守りながら、戦っていきます。戦い終われば「わかっただろう、皆、お前が生き延びるために死んだのだ」と導きの声に言われ、これまた後味の悪い結末!
「メモリー」ミッションは罪との戦い
メインミッションとなる「メモリー」ミッションは3つあります。どれも高難易度かつ、クリア後に得られる十字架の欠片を集めきって最終戦に向かうのです。
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「神の正義」ミッションでは『ファークライ5』を彷彿とさせる「ホープカウンティ刑務所」が舞台となっており、フェイスの力を使って占領したものだと言います。そして刑務所内には兄弟が囚われており、一人一人助けて回らなければなりません。そして助けると言いつつ、兄弟はジョセフに悪意を向けているので戦うことになります。その戦闘はハードで楽しめます。戦闘はジョンであれば狭い牢屋の並んだ場所での戦闘、フェイスとの戦闘であれば中庭のような場所での戦闘、ジェイコブとは屋外戦です。終われば家族に関するジョセフの悔恨が聞け、十字架の欠片を1つゲットです。
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「始まりの地で」は「自らの悪影響の根源を見つけて破壊する」という目標が掲げられ、ジョセフ自身の経歴が垣間見えます。戦闘をこなしていると「ジェロームの教会に入る」という目標が掲げられ、実際に入ってみると巨大な腫瘍が教会の天井にくっついているではありませんか。罪を償いにきた、とジョセフはいい、腫瘍を破壊しますが、ジェロームは受け入れてくれません。なぜなら本編で反目し合っていた牧師がジェロームなのだから。最終的にジェロームとの戦いになり、最後にはかつてジェロームとジョセフの親しかった様子が幻視として現れます。
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「御使いうたいて」においては導きの声によって「お前がやがてやってくる場所だ」といい、地名は「ニュー・エデン」となっており『ファークライ ニュードーン』のものとなっています。このことから時系列は本DLCでは『ファークライ5』のあとということになります。しかしこのミッションでは『ファークライ ニュードーン』での息子が登場し、今と未来が交錯する興味深い内容となっています。息子の「イーサン」は鎖に縛られており、助けを請うていますが、ジョセフは理由もなく「私がお前を守る」などと発言します。そして鎖についた肉の腫瘍を取り払っていき、最後にはイーサンが裏切り戦闘に。これもまた後味の悪いクエストとなっております。
まとめ
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今回、進捗以外をセーブできるセーフハウスでは「アメイジング・グレイス」が流れており荘厳なムードに浸れます。それと同時に許されない感じもあり、ああ『ファークライ5』だという気持ちにさせてくれました。またテイクダウンは両目を潰すのと、なんと「聖書でぶん殴る」の2つです! これもああ『ファークライ5』だと感じられる要素の1つです。こうやってみると『ファークライ5』のエッセンスを漏らさずとらえたよいDLCかと思われます。
そして、振り返ってみれば、DLCのテーマに通底するのは「家族」でした。バースは妹、パガンさまは娘、ジョセフは義理の兄弟たち。『ファークライ6』が親子を描いていたから本編からの要請なのかもしれませんが、実に巧妙にDLCでは描かれていました。知りたかった背景や心情など、あらためて突きつけられるとグッとくるものがありました。
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ゲームデザインからの要請もあるとは思いますが、主人公は通底して「繰り返して強くなる」という発言をします。この発言は力への憧憬でもあり、ヴィランは強くなければいけない、という思想が透けてみえるような気がします。この調子で『ファークライ7』ではより魅力的なヴィランを据えることを楽しみにしています。それでは読者のみなさまぐっどげーみんぐらいふ!
本稿を書くにあたってDLCをプレイした時間:7時間