注意
本作はプレイレポ故、紹介するにあたりネタバレが含まれます。そして今回のタイトルについては、初見だからこそ楽しめるネタや演出が多いため、事前情報を入れずにプレイしたい場合などは、ここでブラウザバックすることを強くおすすめします。
最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。私もプレイするまで正体が掴み切れず泣いています。そこで“なるべく早く”をモットーに、ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」。
今回はBitNine Studioが開発を、WhisperGamesがパブリッシャーを担い、2022年04月01日にSteamではPC(Windows)向けに、コンシューマではニンテンドースイッチ向けにリリースしたバグRPG『tERRORbane』について生の内容をお届けしたいと思います。
『tERRORbane』とは?
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本作は剣と魔法、勇者と魔王といった王道RPG……が仕様外の現象に振り回されるゲーム。ちょくちょくインターセプトしてくる開発者に、どんどんおかしな調子になってくるゲーム進行、ところどころで既視感を覚える演出などの小ネタ……ゲームではありますが、全体で見ればどちらかというとジョークを散りばめたアドベンチャー的であると感じます。
メタネタを取り入れてよりゲーム的なアプローチをしているのが『Evoland』シリーズで、メタ方面へさらに踏み込んだのが『The Stanley Parable』だとすれば、本作『tERRORbane』は後者よりでしょうか。ちなみにやや毛色は違うもののどちらの要素も兼ね備えてアクセル全開だったのが往年の名作『勇者のくせになまいきだ。』シリーズではないかなと。ともあれ早速紹介してまいりましょう。
操作・設定・言語
本作はマウス&キーボードならびにコントローラーによる操作に対応。どちらを選んでもプレイ体験に差はないのでお好みで選ぶと良いでしょう。今回筆者はXbox Oneコントローラーを使用しています。設定画面に並ぶ項目は、ボリュームと言語選択のみという非常にシンプルな内容。
言語は音声を除いて、日本語にバッチリ対応しています。翻訳者Tobineta氏による丁寧な仕事のおかげか、作品のコミカルな雰囲気をそのまま楽しむことができました。
基本的なゲームの流れ
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さあゲーム開始です……からのブルースクリーン。続けて表示される開発者のウィンドウと「クソッ」というコメント。この時点で本作がまとなRPGの進行をしないことを伝える巧みな演出といえましょう。
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本作において我々プレイヤーは、ゲーム中に発生するクリティカルなバグなどをすべて発見し、リストに書き留めて開発者に知らせることにあります。こうして書くと親切な感じですが、実際のところはまともなRPGをプレイさせようとする「開発者」と、想定外の動きを繰り返してバグを楽しむ「プレイヤー」といった構図で、それに巻き込まれる「ゲーム内キャラ」は、もはやメタ的にもどこか諦観の念を見せて進行します。
バグの発見方法について
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さあタイトル画面です。なんだか画像が読み込まれていませんね……ともあれ本編スタート。
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このように縦スクロールでこれまでのあらすじが厳かに流れ始めます。
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長い長い長い。すでに2分くらいずっと文章が流れ続け、しかもちょっと時間をまこうとしているのか文字を詰めてきています。ここぞとばかりにAボタンを押してスキップ!とあるのが、もはやもうそうしろと誘導されているようです。
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しかし筆者は天邪鬼なのでもう少し我慢して最後まで見続けました。この長さはもはやエンドロールの勢いでしたが、やがてそれも終わると画面が切り替わり、物語の立ち上がりを感じさせる一枚絵と、その上部に「極限の忍耐」なる項目が表示されました。
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そう、これが「バグを発見」した時の通知であり、以降はあちらこちらに操作キャラクターを当てながら体当たりでバグを探していくことになります。
各チャプターにはなかなかの数のバグが隠されており、おそらく一部は正攻法(?)では難しく、開発者に対してちょっと意地悪とさえ思える発想で行動すると発見できるといったものもあります。
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それらは一回のプレイでは全て発見するのはほぼ不可能。そこで本作の親切な開発者は、1度エンディングまで遊びきったプレイヤーに対して、「ワープゲート」なるものを用意しています。このゲートを使って、すべてのチャプターに再度アクセスし、周回しながらあの手この手でゲームのバグを見つけ出そうと奮闘するわけです。
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ただ中には、バグというかむしろ開発者が邪魔してくるおかげで、通常進行なのか演出なのかだんだんわからなくなってくることも……。
メタネタ
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こちらは街の北にある城で待つ王様に会ってくれという指示を、軽やかに無視して街の外へ出てきた筆者の図です。画面左下で意味ありげに佇むNPC(?)が気になって仕方がない。意図しないこの挙動はフラグ管理に一体どのような影響を与えるのでしょうか。
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件のNPCはラスボスでした。
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痛い痛い痛い。
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どこかで強烈に見たことのある演出。
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またこちらは、なんだか往年のポッケにモンスター的なイントロを感じさせます。
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さらにこちらはもうメタというかもはやパソコン画面からゲームをどうにかしている様子。
バグ技を駆使しよう
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「これじゃあただゲームが進むに任せてバグ演出を見るだけの、レールに乗ったアトラクションではないか」と思われるかもしれません。筆者も最初のうちは、ちらりとそんなことが脳裏によぎりました。
しかしながら本作のレベルデザイン(?)の塩梅は巧みで、それらバグは徐々にミニゲーム的要素となってプレイヤーへと襲いかかるので、しっかりプレイできるのでご安心を。
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たとえば上記戦闘では、ぼけぼけになった画面解像度をボタン連打によって元に戻すというミニゲームですね。
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『メイド イン ワリオ』よろしくルールの異なるミニゲームが連続で発生していき、油断すると一発でゲームオーバーになるのがなかなかの歯ごたえ。
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ちなみにどうでもいいのですが、よく見るとアビリティ項目が毎回「ペルソナ」だの「Limit」だの、相変わらずのネタが仕込まれています。
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さらにゲームを進めると、マップに配置されたオブジェクト自体に干渉してプログラムを書き換えて攻撃……というようなレベルになってきます。個人的にこれが一番楽しく、敵の攻撃を避けつつ急いでコードを書き換える(?)一連の緊張感が良かったですね。
おわりに
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ブルースクリーンで始まりブルースクリーンで終わる……それが本作の良いところ。個人的に本作は、ジョークパートと操作パートを交互に提供するそのバランス感覚が優れており、前者にくどさを感じる少し手前で、さっと雰囲気を入れ替えて次のパートに進むテンポの良さはなかなか快適なプレイ体験でした。
なにより演出の数々に思わず「ふふっ」と笑ってしまうのが素晴らしい。
対応機種:PC(Windows)/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:PC(Windows)
発売日:2022年04月01日
記事執筆時の著者プレイ時間:2.5時間
価格:PC版 1,640円、ニンテンドースイッチ版 通常価格 1,640円/セール価格 1,476円(22年04月21日23時59分まで)