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「有線と無線、どちらが便利か?」……これについては様々な議論がありますし、そもそも製品によって「有線に適している」「無線に適している」ということもあります。では、HDMIケーブルはどうでしょうか?
HDMIケーブルの場合、有線であれば確実かつ無遅延とも言える速度での転送を実現してくれます。ですが、有線ゆえにデバイスとモニターの間の「距離」が限られるという欠点も。5m先のゲーミングPCに接続したいけれど、HDMIケーブルは2mしかない……という場合はどうすればいいでしょうか?そんなときは、ワイヤレスHDMIトランスミッター「UGREEN CM506」を導入してみましょう。
ケーブル無しで映像出力!最大接続距離は50m
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「超低遅延で面倒な設定は必要なし!」という触れ込みの「UGREEN CM506」。これは即ち、HDMIケーブルを無線化するガジェットということです。何かとゴチャゴチャしやすく、見た目にも醜いタコ足配線の原因にもなってしまうHDMIケーブルを、これでスッキリ解消できます。また、有線式よりも遥かに長いスパンで通信することも可能。その距離、最大50m。
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もちろん、有線式でも50m長のケーブルがそれに越したことはないかもしれません。しかし、さすがにそれだけ長大なケーブルは持ち運びが利きません。調べてみたら、50mケーブルの重量は約1.4kgといったところ。大学の教室や大型会議場のような場所でプレゼンを行うなら、50mケーブルよりも「UGREEN CM506」を使ったほうがいいでしょう。
それだけではありません。たとえば、こういう使い方もできないでしょうか。大画面のテレビに自分が今プレイしているゲームをミラーリングし、大人数がそれを視聴もしくは観戦するというものです。
デバイスとモニターはどうやって接続する?
今年5月、NHKのドキュメント番組で「地方都市に活動拠点を作ったeスポーツチーム」という内容の回が放映されました。このチームメンバーが移住した地域は高齢者が多く、「eスポーツ」なるものが認識されていない状態です。そこから自治体が仲介し、若者と高齢者の間に生じているギャップを少しずつ是正していく……という流れ。最後は地元の人々が大画面モニターでeスポーツチームの試合を観戦し、大きな拍手を送っていました。
非常に感動的な番組でしたが、筆者がふと気になったのは市民が見ていたモニターです。これは当然ながら、何かしらの手段でデバイスと接続していたはず。そして今後、eスポーツがより一層普及・浸透していくとしたら「試合を観戦するための大画面モニター」と「デバイスとモニターをつなぐガジェット」が必要になります。そういう側面から考えると、「UGREEN CM506」は将来性のある製品と言えるでしょう。
しかし、不安な点も。「UGREEN CM506」は無線式ガジェットである以上、大なり小なりの遅延即ちデバイスとのタイムラグが発生しているはずです。これはゲームをプレイする際に支障が出てしまうのではないでしょうか?
無線式ガジェットにありがちな「遅延問題」
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というわけで、実際に「UGREEN CM506」をテレビとノートPCに設置してゲームをプレイしてみましょう。今回は筆者のフェイバリット『Verdun』で試してみます。編集部には他のタイトルも提案していますが、「UGREEN CM506」の長所と短所を捉える上で(結果的ではありますが)『Verdun』が最も適していると判断した次第です。
結論から書くと、遅延はやはり発生してしまいます。
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上の写真をご覧ください。メインディスプレイはノートPCで、その映像を「UGREEN CM506」を接続したテレビにミラーリングしているという状態です。しかしノートPCとテレビとで、右から駆け出すイギリス兵の位置が明らかに違います。つまり、テレビの映像が遅れているということ。
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これがPowerPointを使ったプレゼンなら、一切支障はありません。ゲームでもテキスト中心の内容だった場合(つまりアクション性がないものなら)、プレイに問題は生じないはず。しかし、『Verdun』はオンライン接続が前提のFPSゲームです。体感では16分音符のような遅延ですが、これがこのゲームでは致命的な要素になってしまいます。音ゲーなら尚更です。
従って「UGREEN CM506」による大画面化の恩恵は、プレイヤーではなくそれを観戦する人に与えられます。
「UGREEN CM506」は観戦者のためのガジェット
「テレビはもはや必要ない」という声がSNS等で囁かれていますが、それでも「テレビ=HDMI接続対応の大画面モニター」として捉えるなら、まだまだ多くの使い道が存在するはず。そしてeスポーツが「スポーツ」と呼ばれる所以は、「それを応援する人がいる」ということではないでしょうか。プロスポーツなら尚更で、試合を見守るギャラリーがいなければ選手の活動も停滞してしまいます。
実際、筆者が『Verdun』をプレイしているときも、それをテレビで観ていた周囲の友人たちが大いに盛り上がっていました。「おっ、今敵を倒した!」「あそこにいるの味方じゃね?」「手榴弾投げろ手榴弾!」といった具合に、テレビで筆者のプレイを観戦している人々がやたらと賑やかでした。
上述の遅延の問題も、プレイヤーが接続先のモニターを使ってプレイするということでなければ(つまり普段通りPCの画面を使えば)一切苦になりません。「プレイヤーと同じ空間にいる人がゲームを観戦するためのガジェット」と割り切った場合、「UGREEN CM506」はなかなかどうして気の利いた製品です。
この「UGREEN CM506」は、クラウドファンディングGREENFUNDINGで支援を受け付け中。期間は7月15日(金)までです。