2022年8月7日から8月8日にかけて開催され、大盛況となった日本最大級のインディーゲームイベント「BitSummit X-Roads」ですが、出展作品の中から、ライターが気になった作品をピックアップして注目タイトルのプレイレポートをお届けしていきます。本稿ではサイバーパンクな世界設定を表現したキービジュアルが目を惹くターンベース・リズムJRPG『Keylocker | Turn Based Cyberpunk Action』のレポートをお届けします。
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禁止された音楽を操り、自由のために戦う
時は土星歴801年、音楽から発生するエネルギー「エレキ」を政府が独占するため、音楽の演奏が犯罪とされている世界が舞台となる本作。演奏の罪で投獄された主人公の歌い手BOBOが、仲間の手引きで脱獄を目指すところから物語はスタートします。
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ゲームは会話とマップ探索で進行し、敵とエンカウントするとターン制バトルがスタートするシンプルな構成です。監獄の看守に立ち向かうBOBOはバトルになるとギターを手に、音楽から発生するエレキでバトルに挑みます。
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ターン制バトルでは、タイミングよく方向キーを入力するリズムゲーム的な操作で攻撃したり、相手の攻撃に合わせてのボタン入力でカウンターを成功させたりとリズム感を問われる要素があるだけでなく、上手くマス目を移動して範囲攻撃や防御の方向を決めたりと戦術的な要素も重要になってきます。
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今回プレイしたデモ版はゲーム最序盤だったからかリズムゲーム要素の難易度はそこまで高くなく、カウンターへのカウンターに対応したり敵の行動を予測しての攻撃が求められたりと、バトルパートにおいてはスピード感とタクティカルな要素が強めに感じられました。
何度かの戦闘や探索を乗り越えて……とお話が盛り上がり始めたところでデモ版は終了。あまり使用する機会はありませんでしたが、装備やアイテムなどのカスタマイズ要素もあり、序盤に選択する戦闘・演奏スタイルによって物語が変化していくとのこと。トレイラーではミニゲームなど今回はプレイ出来なかった要素も数多く公開されているので、ボリューム感もしっかりありそうです。
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音楽を奪われたディストピアな世界を描きながらもゲームの雰囲気は総じて明るく、登場キャラクターもいかにも“サイバーパンク”という味わい。ビビッドな色使いとピクセルアートで描かれるグラフィックも滑らかで、この世界設定とキャラクターがどんな物語を繰り広げていくのか非常に気になる試遊となりました。
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23年末のリリースを目指して開発中!
プレイ後にはブースで開発チームのMoonanaにお話を聞くことができました。本作のゲームシステムは『マリオ&ルイージ RPG』など日本の作品からインスパイアを受けて開発しているそうで、ターン制バトルに並々ならぬこだわりがあることを感じさせられました。「『真・女神転生』の大ファンなの!」とのコメントもあったので、同シリーズのファンの方にとっては注目の作品と言えるかも知れません。
また、サイバーパンク作品としてはウィリアム・ギブスンによる長編SF小説「ニューロマンサー」や、世界中で絶賛されたSF小説「三体」を手掛けた中国人作家リュウ・ジキン氏の短編小説「さまよえる地球」(2019年には「流転の地球」として映画化)といった作品の影響も受けていると語り、サイバーパンクなディストピア世界の作り込みにもこだわりと期待を感じられるインタビューとなりました。
制作に着手してから現時点で1年半ほどであり、リリースは2023年末を目指しているとのこと。デモ版はSteamのストアページでも公開されているので、ビジュアルや設定に興味をもった方はぜひプレイしてみてください。