ゲーム業界でも、何かと話題になっているサイバーパンクですが、今度は、そこに江戸時代とサムライを突っ込んでみせた作品が現れました。この手の代物に慣れていない筆者としては、頭の上に大きなハテナと不安が渦巻いていますが、はたしてどんなゲームに仕上がっているのでしょうか。
今回は、Troglobytes Gamesが開発し、9月15日から配信中の『Blind Fate: Edo no Yami』をプレイして気になる内容を紹介します。
『Blind Fate: Edo no Yami』とは
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本作は、外国人の日本に対するイメージ、いわゆる「なんちゃって日本」系の独特な世界観を持つ横スクロールアクションゲームです。江戸の将軍に仕える侍にして、盲目のサイボーグである主人公・ヤミを操作し、機械仕掛けの妖怪と戦いながら物語の真相を追っていきます。
ロボットや光学兵器などのオーバーテクノロジー、サイバーパンクに降り立つサムライという他にはない斬新な特徴もありますが、本作のアクションパートである戦闘も世界観に相違のない手の込んだ作りです。
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日本語をはじめとした複数の言語に対応し、アクションアドベンチャーとして、テキスト量の多い物語がフルボイスで展開。起動時の説明には、パッドでの操作が推奨されており、本作の本格アクションを快適に楽しめるよう配慮されていました。
ジャパンとかけてサイバーパンクと解きます
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オープニングは豪華なカットシーン。人体の機械化や近未来のサイバーファッション、ロボット妖怪など、瓦礫と木々に囲まれながら極めて科学的なポストアポカリプスの江戸が舞台です。そして、この世界のサムライこと、デーモンハンターである主人公の生い立ちが吟遊詩人の視点から語られます。
本作ではあまり世界観が直接的に語られることがなく、あくまでプレイ時間内における私見となりますが、本作は単にサイバーパンクを掛け合わせたのではなく、崩壊した古代文明の後に成り立っている江戸という世界観の肉付けがされています。先に存在していたのは未来であり、むしろ、後からやってきたのが過去という壮大なサイエンスドラマの片鱗を感じさせる作品です。
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開始時点で主人公・ヤミはサイボーグと化しており、同時に、目が見えないために自分以外の背景は暗黒に包まれています。相方の人工知能「テング」からデータを受け取り、それを投影することで疑似的な視界を得ますが、その景色は過去のもの。
つまり、ゲーム中のサイバーパンク風の街並みは大半は古い記憶を映し出したものであり、実際は廃墟となっています。このことを考えると、作中で度々旧世界と呼ばれるのは、ほんの数百年前まで存在した高度なサイバー文明で、その影響によって江戸の人々が超技術に恵まれた生活をしているのかもしれません。
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ちょっとした世界観の挿入の後、最初のステージでは移動やジャンプ、攻撃方法などの基本操作を順繰りに学びます。
グラフィックの立体感はありますが、横スクロールの概念に則り、行動範囲は画面の左右と上下の二次元のみ。段差を自動で飛び越えるパルクール、ダブルジャンプや空中ダッシュもあり、走るのも速いので移動面でストレスを感じることはありません。
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機械翻訳のような怪しい日本語や場違いな和風マーク、それらがネオンに照らされて点在する風景も楽しみながら、サイバーパンクの街を駆け抜けましょう。
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ソウルライクなサイバー世界の抜刀術
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筆者が本作の最も注目すべきポイントと感じたのは、やはり、アクション部分の大半を形作っているバトルでしょう。主人公は刀を背負った紛れもないサムライですが、ガードや回避、左手に仕込んだ銃による攻撃など多彩な技を持っています。
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しかし、本作の戦闘は難易度が比較的高めであり、一番弱い敵の攻撃でもプレイヤーの体力が大きく削られます。ボスに至っては、たった一撃で半分近く削り取られ、あっという間に死んでしまうこともざらでした。
その一方、こちらの攻撃はほとんど通らず、とにかくボタンを連打してゴリ押すプレイはオススメできません。チュートリアルや道場のトレーニングで教わる方法をしっかり覚え、適切なタイミングで繰り出せば、たとえ相手がボスでも有利に戦えます。
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そもそも、ヤミは盲目なので敵を視覚で捉えることができず、攻撃を当てることではっきり認識できるようになる仕組みです。絶えず攻撃し続けることで敵の姿を明らかにし、大ダメージを与える「弱点攻撃」に繋げられますが、途中でスタミナが切れないよう気を付けましょう。
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敵は攻撃を受けたり、振り向きざまにカウンターを仕掛けるものもいるので、攻めるだけでなく回避することも忘れないようにしましょう。敵からの攻撃は視覚的なエフェクトで強調され、白はガードできますが、赤はガード不可能な攻撃です。
ただし、時間が経つと弱点攻撃のためのチェインが途切れてしまうので、できるだけ回避で背後に回るようにすると隙も少ないです。バトルでは、とにかく攻撃を当て続けることを意識して立ち回りましょう。一応、銃撃もコンボとしてカウントされるので、ついでに撃ち込むのもアリです。
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しっかり見てしっかり味わおう
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本作のメインコンテンツであるバトルをより深く楽しむために、プレイヤーの拠点である道場には、スキルツリー機能を備えた「ジュボッコの木」があります。筆者のプレイ段階ではロックされている機能もありましたが、道中で貯まったポイントと引き換えに、新たな能力や既存能力のアップグレードを習得することが可能です。
チュートリアル中に失われた能力も含め、主に戦闘関係のものが揃っており、試しにひとつ取ってみるだけでも目に見えて変化します。
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筆者はよく回避を使うので、一段階上のアップグレードを購入。すると、初期能力では物理的に転がって避けていたものの、残像付きの高速回避に進化。しかも敵に触れると、自動でスタン状態に陥らせ、そのまま一撃で仕留める「フィニッシュ」に繋げることができました。
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スキルは動画付きで解説があり、最終的には、すれ違うだけで敵を死に至らしめる回避になるようです。その他にも銃撃が全貫通のビームになったり、ハッキングで継続ダメージを与えたり、どれも強力な必殺技となっていました。
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また、目の見えない主人公にはセンサー機能が備わっており、3種類の異なるモードで敵や攻略上のオブジェクトを発見できます。倒した敵は消費アイテムのほか、情報を落とし、それを回収することでデータが集められて可視化に繋がります。
メニューから選べるデータベースには、敵や人物の解説、センサーで見つけられるアーカイブなどを閲覧できます。本作のバトルや攻略の充実、世界観の理解にも繋がるので、散歩がてらじっくり時間をかけて奥深いシステムを堪能しましょう。
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世間の流行りに鈍感なのもあり、ほとんどサイバーパンクというものに触れてこなかったのですが、そんな筆者の目から見ても本作はリスペクトに溢れています。
サムライだから、チャンバラとちょんまげに終始するわけでもなく、サイバーな世界観に忠実な描写が丁寧に施されていました。回避やダッシュの際にコントラストの青白い残像が映り込むのを見て、素人目にも、これがサイバーパンクだと思ったぐらいです。
大昔のサムライと、未来のサイバーパンク。本作を開発したのはスペインのデベロッパーらしいですが、やっぱり、外国の方はそういうのが好きなんでしょうか。あまりに好きすぎて、ごちゃまぜにした“ねこまんま”かと思いきや、ちゃんと両立されているのが開発者のすごいところだと思います。
『Blind Fate: Edo no Yami』は、PC(Steam/GOG.com)のほか、PS5/Xbox Series X|Sなどコンソール向けにも配信中。PC版はリリースセールで15%オフで購入できます。
タイトル:Blind Fate: Edo no Yami
対応機種:筆者がプレイした機種:PC(Steam)
発売日:PC版は2022年9月15日、コンソール版は9月16日
記事執筆時の著者プレイ時間:3時間
価格:Steam版は2,050円、PS5版は3,410円(プレミアム)、Xbox版は2,350円