ウィンターセールもスタートし、ますます活気づくPCゲーム販売最大手Steam。安価なインディーゲームからAAAタイトルまで幅広く取りそろえる本サイトですが、1本のTPSが新たに発売されました。そのタイトル、『Outbreak 2030』は何と定価20万円越えの超大物でした。
Breakdown Studioがリリースした本作は、ロシアが破壊的兵器で戦争を終わらせにかかった架空の2030年を舞台とした、ポストアポカリプスPvE三人称シューターです。プレイヤーは、兵器の使用直後になぜか闇に包まれたロシアへ、アメリカのタスクフォース兵「ブライアン」として潜入します。
説明されたゲーム内容からは特段大きな特徴があるとは言えない本作ですが、驚くべきはその値段で、なんと定価202,483円。リリース記念のセールを適用しても133,638円と引かれた7万円がお得なのかどうかも実感が湧かない額となっています。
どこかで見たことがあるようなストアページの紹介画像や、黒字に赤文字のみのタイトルロゴからはどうしても20万円の価値が見出だせない本作ですが、ここまでぶっ飛んでいると内容が気になるのが人情というものです。今回も百聞は一見に如かずと人柱ならぬスパ柱として作品を少しプレイしてみました。
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まずこちらが本作のタイトル画面です。前回のスパ柱を踏まえ若干不安を感じていただけに、無事タイトル画面が起動したことに安心する一方、そのシンプルさには怪しいにおいを感じざるを得ませんでした。
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キャンペーンモードでプレイを開始するとまずストーリームービーが入ります。トレイラーでも感じましたが、これが意外にクオリティが高く、光の扱いが上手いのかここまでの安っぽさを上手くごまかしている印象を受けました。既に20万円のゲームであることは忘れています。
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実際のキャラクター操作も一般的なTPSとしてはまぁまぁのクオリティといったところで、丁度『PUBG』に近いものに思えます。なお、結構難度は高めでTPSになれない筆者は1度ゲームオーバーになりました。
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総じて本作は“ちょっとムービーの魅せ方がうまい一般的なインディーTPSゲーム”程度で、少なくとも20万円の価値は感じられないものでした。実際のプレイでの血しぶきやマズルフラッシュといったエフェクトにも安っぽさを隠しきれていないというのが正直な感想です。
最後にこの値段が本当に標準的な値段なのかSteamDBを用いて確認したところ、なんと他の多くの国では約100分の1となる2000円前後での販売でした。日本に匹敵する値段となっていたのは韓国、ロシアのみで、それでも日本が一番高額となっています。
以上の事実から単なる値段の設定ミスのようにも思える今回の事案ですが、3か国が同様に100倍近い値段を設定されているのも不可解に思えます。少し過激な設定のロシアを舞台としていることから、ロシアに対して販売を控えようという魂胆がある可能性などの邪推も浮かびますが、その場合日本はどういった理由でこの値段設定となったのでしょうか。
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なんにせよ仮に2,000円程度のゲームであるならば、特段高すぎることもない本ゲーム。いつか値段が修正されることがあれば遊んでみるのもいいかもしれません。『Outbreak 2030』はWindowsPC向けにSteamにて202,483円で発売中です。
※UPDATE(2022/12/23 17:35):開発者からのアナウンスがあり、「一部地域での価格は意図していなかった」とのこと。近日修正される予定(Steamでは開発者は基本的に即時の価格修正が行えません)のためひと安心ですね。悪意だったり闇の組織のマネロンだったりではありませんので興味がある方は値段修正後にどうぞ。前述したように、あくまで一般的な小規模インディーTPSとして普通には楽しめます。