ヒューマニティーーーーー!!!!!
……と絶叫するユニークなPVが楽しいアクションパズルゲーム『HUMANITY』。「犬が大量の人間を導く!」というコンセプトが目を引く本作ですが、実際どのような仕上がりになっているか気になる方も多いのではないでしょうか。
この度編集部では、本作を先行プレイする機会を得ました。本稿ではユニークでシュールで、ちょっと頭を捻らせるアクションパズルゲームである本作の先行プレイレポをお届けします。
なお、中村勇吾氏と水口哲也氏へのインタビューも掲載していますので、併せてご覧ください。
『HUMANITY』とは?
本作は、NHKEテレ「デザインあ」や、ユニクロのTVCM・デジタルサイネージなどで知られる中村勇吾氏と、『Rez Infinite』『テトリス エフェクト』で知られる水口哲也氏がタッグを組んで制作した作品です。
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プレイヤーは白い柴犬を操作し、意思も目的も失ってしまった人類を群衆をゴールへと導くことが目的です。群衆は膨大に存在し、まるで水流のような列を作って行進するシュールな絵面が特徴的です。
2019年の当初は2020年発売予定とされていましたが、結果的に3年の延期に。その期間でじっくりと作り込んだものに仕上げられた作品になっているようです。
指示を置いて人類を導け!“段取り”が重要なパズル
本作の基本的なルールは、白いゲートから出てくる群衆を導いて、四角で囲われたゴールへと導くというものです。プレイヤーである柴犬はマス目状のフィールドを歩いて「TURN」「JUMP」などの指示パネルを置くことができ、そこを通った群衆は指定した方向に曲がったり、ジャンプしたりと指示に従った挙動を見せます。それを駆使して、ゴールまでたどり着かせなければなりません。
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指示は、一部置けないパネルを除けばどこにでも好きなだけ置くことができるので、苦手な方でもクリアできるでしょう。もしどうしてもわからないステージが登場しても、ポーズメニューからヒントを閲覧できるため安心です。
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ステージには様々な仕掛けが用意されています。自動で移動するベルトコンベア、押して動かせる黒いブロック、泳げる水のブロック、人が上に載っている間有効になり透明な足場を出現させるスイッチなどなど……高頻度で新しい仕掛けが登場して飽きさせません。同じ仕掛けでも思いもよらぬ使い方をしていることもあるので、次のステージに進むのがとても楽しいです。
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群衆は常に動き続けます。指示が間に合わず奈落に落としてしまうこともあるでしょう。しかし、心配しなくても大丈夫。落ちた人々は輪廻を繰り返し、ふたたびゲートから蘇るようになっているので、特にペナルティはありません。必要のないペナルティやストレス要素はなるべく排除されており、快適に楽しめるのがグッドです。
「誰でも遊べるように」という思いで作られたという本作ですが、だからといってコアゲーマーからみてヌルいというわけではありません。収集要素となるGOLDYを全部集めようとすると、相応に難易度が上がります。
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フィールドには、GOLDYという金色の巨人が複数設置されています。GOLDYがいるマスを群衆が通過するとGOLDYも付いてきます。そのまま場外に落とさずうまくゴールまで導くことで獲得できます。
GOLDYをコンプしようとすると、なかなか頭を使います。ステージクリアだけなら解きやすく、収集要素を集めようとするとすると難しい……という絶妙なバランスになっているのです。一見すると「どうやって取ればいいの?」と思うほど難しめのものもあり、プレイヤーの頭を悩ませることでしょう。
解法をひらめいた時と、それをうまくいくか試すトライアンドエラーは楽しいですし、リスタートしても設置したアイテムをキープする機能もあるため、「やり直しか……」という辛さも緩和されます。
GOLDYを集めることで入手できるリワードの仕様はちょっと変わったものとなっています。群衆の衣装など攻略に関係ないものもあるのですが、時間停止やBGM変更機能など徐々にシステムが解除されていくのです。なかなか見ない報酬ですが、徐々にできることが増えるので達成感があります。
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本作をプレイしていて印象的なのは、やはりビジュアルの独特さ。大量の人々が水流のように流れていたり、アーチ状に飛び交っていたりという様の迫力はとても画になり、スクショをたくさん撮りたくなります。フィールドの無機質さは『I.Q Intelligent Qube』などPS1時代の作品を彷彿とさせ、独特さをより際立たせています。
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また、本作はVRモードにも対応しています。VRモードでもイヌを操作するという点は変わりませんが、神視点になり臨場感の有るミニチュアのような箱庭を見下ろす、普通のモードとは一味異なる体験が味わえます。
VRは1人称で没入感重視のものが多いですからいまいち想像しにくいかもしれませんが、その場にステージが存在しているのは確かな良さと充実感があります。PS VR/PS VR2/PC VRと幅広い環境に対応しているので、VRデバイスをお持ちの方はぜひVRでプレイしてほしいです。
他にも、ストーリーモードを進めていくと、敵対勢力「OTHERS」との戦いやさらなるボス戦などが用意されています。謎めいたストーリーや感動的なクライマックスも用意されているので、気に入ったらぜひ最後までプレイしてみてください。
頭を捻らせユニークなステージを生み出せ!無限に遊べるユーザーステージ
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本作の柱となる要素はストーリーモードだけではありません。自分でステージを作ったり、ユーザーが作ったステージで遊べるモードも搭載されています。
すでにパブリッシャー・エンハンスのスタッフが制作したステージやデモ版配信時にユーザーが作成したステージが数多く投稿されているので、遊ぶステージには困らないでしょう。クリア後には遊んだステージを星5つで評価したり、お気に入りに登録することができます。また、ランダムに選ばれた別のステージをすぐに遊ぶこともできます。
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投稿されるステージは検索することが可能で、投稿者がタグ付けを行うため、自分が遊びたいステージを見つけることが可能です。もちろんクロスプラットフォームにも対応しているため、PCで作られたステージをPS5で遊ぶこともできます。
「どのステージで遊べばいいか迷う」「クオリティの高いステージで遊びたい」という人でも大丈夫。エンハンスがピックアップした良作ステージが定期的に更新されるため、それを遊ぶだけでも十分楽しめそうです。
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もしビビビっと良いアイデアが浮かんだら、ステージエディットモードを起動しましょう。コントローラーでも簡単に操作できるようになっているので、自分だけのステージを作ってアップロードすることができます。
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なお、ストーリーモードでまだ体験していない仕掛けも出てくる可能性があるので、クリア後のやりこみ・お楽しみ要素としてプレイするのが良いでしょう。
ディレクターを務める中村勇吾氏は本格的なゲームを作るのが初とのことですが、そうとは思えないくらいゲームとして快適かつ楽しい体験が待っていました。コンテンツ量もストーリーモードが90以上があることととユーザーステージが遊べることを考えれば、とても長く楽しませてくれそうです。
コンテンツがぎっしり詰まって大満足の1作スパ!
タイトル:『HUMANITY』
対応機種:PC/PS4/PS5
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年5月16日
記事執筆時の著者プレイ時間:7時間
価格:不明