■コミュニケーションから世界を観測し、人間関係の変化がバトルを有利に導く
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『LOOP8』を開始すると、まず情報が断片的である点に驚かされます。例えば、「ケガイ」と呼ばれる存在が大地を穢し、人々の命を奪い続けていること。宇宙に脱出する計画もどうやら頓挫し、主人公は“捨てられて”地上に戻ってきたこと──こうした情報の大半は会話の中で得られますが、その情報量は断片的。複数の話から得た情報を蓄積させ、プレイヤー自身の中で組み立てていくのが基本的な形となります。
一般的なゲームにある「事柄についてまとめて教えてくれる中規模のイベント」などは、特に序盤ではまず登場しません。誰もがその世界に住む人間として、日常的な短い会話の中で情報を伝えてくるのみです。
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これをもどかしいと考える人もいるでしょうが、プレイヤーの行動次第で各情報を得るタイミングすら変わるフレキシブルなゲーム性は、「長所短所」よりも「向き不向き」で語るべき部分。相性が合う人には、たまらない要素のひとつでしょう。ただし、今時の親切な作りではないので、その点は注意が必要かもしれません。
そして、情報収集を兼ねた会話のコミュニケーションこそが、『LOOP8』における重要なポジションを占めています。会話の内容は世界観や物語の把握に欠かせず、そして交流を通して変化する「人間関係」によってバトル面にも大きな影響を与えます。
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本作は、ターン制のバトルで「ケガイ」と戦うRPGでもありますが、いわゆる「レベルアップ」は存在しません。日頃の訓練や神様から与えられる加護で各ステータスがアップするほか、パーティを組む仲間同士の人間関係がバトルに直接影響します。
しかも人間関係は、「主人公と各キャラ」だけでなく、「キャラ同士」の関係も問われるので、自分(操作キャラ)と相手の仲だけ良ければいい、では済みません。他人同士の関係にも目を配り、仲良くなるように仕向けることも勝利に近づく大事な要素になります。
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ちなみに、“敵との関係性”も非常に重要です。詳しく語るとネタバレ……というか、醍醐味のひとつを奪うので伏せておきますが、このワードをプレイ後に思い出してもらえると「ああ!」と納得してもらえると思います。
■夏の眩しさが感じられる世界は、移動がややもどかしい
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会話が、世界の把握とバトルの双方に重要だと理解してもらった上で、続いて『LOOP8』のプレイ感について迫ります。前提となる情報が乏しい分、会話から得られる情報はかなり刺激的です。NPCたちの個性が際立っていることもあり、はた目には平凡な日常生活から、実に興味深い世界を垣間見る面白さを搾取できます。
日常の行動自体は、プレイヤーにかなりの自由度が与えられています。積極的に交流するもよし、学業や勉学に励んでステータスを上げるもよし、何もせずに「田舎の夏」を堪能するもまたよしです。
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フィールドは、大まかに6つのエリアに分かれており、各エリアのほとんどが複数のマップで構成されています。1本道+ちょっとした横道という感じなので、迷う恐れはほどんとありません。また、各キャラの位置は全体マップで確認できるので、特定のキャラを探し回って途方に暮れる、といった目には遭いません。(お目当てのキャラがどこにもいない場合はあります)
フィールド上の移動速度は、正直もどかしさを感じました。ゲーム内時間がリアルタイムに経過するタイプなので、移動速度もゲームバランスに関わっており、安易に速度を上げるわけにいかない事情も分かりますが、テンポを阻害している面は否めません。
ですが、6つのエリアはファストトラベルでも移動可能。もどかしい通常移動に頼る部分をかなり減らせるので、プレイする際は積極的な使用をお勧めします。
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また、フィールドの構成自体はあっさりしていますが、「田舎の夏」の雰囲気はかなりよく醸し出されており、つい見とれてしまうスポットも。こうした季節感溢れるフィールドをNPCたちが滑らかに歩く姿に、初代PSの『ガンパレ』では叶わなかった技術的進化が感じられます。
ですが、前述した通りこの世界の時間はリアルタイムに進行するため、見とれているとあっという間に一日が終わりかねません。スケジュール自体はプレイヤーの自由ですが、待ち受ける「ケガイ」との戦いに悔いを残さぬよう、日々をしっかりと過ごすのが吉です。