気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Atelier QDB開発、PC向けに5月31日にリリースされた2Dドット絵ホラー『Decarnation』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、人間関係やキャリア、自尊心の綻びで思い詰めるキャバレーダンサーを主人公とした、肉体的な限界と逃れられない潜在意識の対比を描いたサバイバルホラー。捻りの効いたパズルや脅威的なクリーチャー、ラヴクラフト的な環境、比喩的なミニゲームなど、多様なゲームプレイを体験することができます。記事執筆時点では日本語未対応。
『Decarnation』は、1,700円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Quentin本作のクリエイティブ・ディレクター、Quentinです。1つのゲームを選ぶのは難しいですが、PCで一番時間をかけて遊んだのは『League of Legends』ですね。下手ですが、大好きです。(笑)
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
Quentin本作はピクセルアートで描かれるアドベンチャーホラーゲームです。1989年のパリが舞台で、プレイヤーは謎めいた富豪から惜しみない芸術的提案を受け、苦労しているキャバレーダンサー、グロリアとしてプレイします。
本作のユニークな点は、恐怖の要因が超常現象や連続殺人鬼ではないことです。むしろ、普通の生活がいかに不穏なものでありうるか、そして心の闇がいかに恐ろしいものでありうるかを示しているのです。そのため、本作では昼と夜のシーンが交互に登場し、夜のシーンは主人公の心の中での出来事なのです。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
Quentin本作は多くのものから影響を受けており、今敏監督(「パーフェクト・ブルー」)やデヴィッド・リンチ監督(「マルホランド・ドライブ」)のような映画監督からも影響を受けています。
私は『RPGツクール』や『WOLF RPGエディター』を使ったアドベンチャーホラーゲームのようなゲームを作りたいと思っていました。ですので、『The Crooked Man』(日本人デベロッパー、うりさん開発)や『Ib』(kouriさん開発)のようなゲームを考えていたのです。
また、本作は江戸川乱歩の小説「盲獣」にインスパイアされています。始まりはどちらも同じですが、その後の展開はまったく異なりますよ。
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――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
Quentin最も印象的なエピソードは、山岡晃先生とオンラインミーティングをしたときですね。彼が私たちのプロジェクトに関心を示してくれたことは光栄でしたし、彼とクリエイティブなディスカッションができたことは素晴らしいことでした。その後、彼は本作のために素晴らしい楽曲を制作してくれたのです。(サウンドトラックへのリンク)
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
Quentin本作は万人向けではありません。日本ではどうだかわかりませんが、欧米では誰もがピクセルアートを使ったゲームに興味があるわけではないのです。しかし、私たちは数人のプレイヤーから非常に感動的なフィードバックを受け取りました。私生活で問題を抱えていたある人は、本作で勇気を取り戻したと語ってくれたのです。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Quentinあります。このインタビューが公開されたときに日本語版がどういう状況かわかりませんが、本作の日本語翻訳作業は進んでいますし、東京ゲームショウと同時に日本語のデモも配信される予定ですよ!
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Quentin主なプロットやゲームの結末はネタバレしない方がいいですが、配信や収益化するのは構いません。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Quentinこのミニインタビューを読んでいただき、ありがとうございます。上でも書いたように、日本文化は様々な意味で本作にたくさんの影響を与えてくれました。これを読んでいるあなたが、本作を楽しんでくれることを願っています!
もし私たちに連絡を取りたければ、X/Twitterで連絡をくださいね。
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。