■歴代SRPGを思い出す『ユニコーンオーバーロード』のプレイ
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かなり独自性の高い『ユニコーンオーバーロード』ですが、遊んでいる最中にしばしば、いくつもの名作SRPGを思い出す場面がありました。個人的な実感に過ぎませんが、SRPGファンのひとりがどんな実感を覚えたのか、最後に追記させていただきます。
まず本作の物語は、かなり王道的な作りです。国を追われた王子が成長し、辺境の島から決起して反抗する物語は、『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』あたりを連想させます。戦闘中の会話や、選択肢によって仲間が増えていくあたりも、近しい手応えがありました。
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大筋の物語は分かりやすく、『タクティクスオウガ』のように民族問題へと切り込んだり、各国の情勢に合わせて国の命運を左右する選択を度々迫られる『トライアングルストラテジー』といった作品ほど、重々しい事態にプレイヤーが頻繁に立ち向かうことはありません。
しかし、個々の選択には重みを伴うものもあり、スケールこそ違えども、前述の2作品に負けないほど選択に悩む場面もあります。例えば、盗賊団を討伐するも、そのリーダーはやむを得ない事情があったと吐露し、許しを請います。
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そこで許しを与えることもできますが、果たして悪党を許していいものか、見逃した後にやはり悪事を働くのではと、プレイヤー側に悩みが生じます。しかし、断罪すれば話は早いものの、更生の機会を奪ってしまうのも考えもの。ここでの選択が後々に影響する場合も多々あるので、決断は余計に悩ましく、『タクティクスオウガ』などで直面した「選ぶ重み」は本作でも味わえます。
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リアルタイムに進行するバトルは、前述しましたが『伝説のオウガバトル』を想起します。俯瞰的にステージを把握し、時間経過と共に変化する戦局を見極め、有利な展開を作り上げていく。さながら軍師のような視点を、(ポーズこそ可能ですが)止まらぬ時間の中で体験する醍醐味は、時代を超えても変わらず楽しいものです。
また、「作戦」による自動行動の優先順位や条件付けの変化は、こちらはRPG作品になりますが、『ファイナルファンタジーXII』の「ガンビット」を思い出しました。一部のオンラインRPGを除けば、ジャンル全般を通しても珍しいシステムなので、『FFXII』の戦闘が好きだった人も『ユニコーンオーバーロード』にご注目ください。
特に驚いたのは、やはりステージクリアまでの短さ。他のSRPG作品と比べると非常に短く、自分の戦略ミスで負けること以外のストレスを感じる暇もないほどです。
そのためトライ&エラーも苦にならず、その手軽さゆえに「作戦」や「編成」についつい時間を費やしてしまい、時間があっという間に溶けていきました。
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今回はポイントを絞りましたが、アクティブスキルとパッシブスキルの存在、フィールド探索の楽しさ、クラスチェンジも含めた育成の醍醐味、戦局を変えるほどの力があるブレイブオーダー、親密度上昇によるキャラクターの深掘りなど、本作の魅力や特徴はキリがないほどです。
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発売のタイミングは不運で、大作に挟まれてしまいました。ですが、そこで埋もれることなく50万本もの記録を打ち立てた理由は、遊べば一目瞭然です。その奥深さと面白さ、今からでも味わってはいかがでしょうか。