
現地時間3月18日、GDCにあわせて米サンフランシスコで開催されたID@Xboxのイベント会場にて、SWERY氏とSUDA51氏による横スクロールハードコアスラッシャーアクション『ホテル・バルセロナ』がプレイアブル出展されていました。
本稿では、2.5Dのローグライク系で返り血を浴びることがゲームシステムに大きく関わっているという本作のハンズオンと、SUDA51氏と共に本作を作り上げたSWERY(末広秀孝)氏のミニインタビューもお届けします。
鬼才二人によるコラボ作品のGDCビルドをハンズオン!

『ホテル・バルセロナ』は、『レッドシーズプロファイル』や『D4: Dark Dreams Don’t Die』で知られるSWERY氏と、『No More Heroes 』シリーズで知られるSUDA51(須田剛一)氏とのコラボで誕生したタイトルです。
本タイトルの初報は2019年でしたが、昨年になって国内でもプレイアブルデモが出展されるようになっていました。今回、かなり完成版に近い状態のプレイアブルデモをプレイできました。
本作はさまざまなスラッシャー映画のパロディが入っている横スクロールスタイルのローグライクで、通常攻撃と強攻撃、防御(タイミングによってパリィが可能)で進行していきます。システム自体はローグライクですが、アクションゲームとしての歯応えはかなり高めです。初期状態だと敵の被弾ダメージは多めで、油断しているとすぐに死んでしまいます。


死亡すると拠点となるホテルに戻されるのですが、そこでドロップアイテムを消費してスキルツリーを解放するなど強化ができるので、再チャレンジする度に強くなっていきます。

また、再チャレンジ時には「ファントム」と呼ばれる自キャラのゴーストが前回のプレイと全く同じ動きでゲームに介入してきます。基本的には前回の動きをなぞっているだけなので敵への攻撃も外すことがあるのですが、攻撃の手数に実質2倍になるので意外と頼り甲斐がある存在です。
弱攻撃と方向ボタンの組み合わせによる連続攻撃と、タメが必要で好きも生まれやすいが当たった時の爽快感が最高な強攻撃、そしてサブ武器的な銃によるアクションの手触りは非常に心地よく仕上がっています。

そして本作最大の特徴と言っても過言ではない、敵の返り血を浴びるたびに「カーニバル覚醒」という必殺技のゲージが溜まっていく仕様が、演出的にも尖っていて楽しいです。ゲージが溜まって使える「カーニバル覚醒」は画面内の敵を一掃できるくらい強力です。ちなみに、攻撃すると敵の体が容赦なく欠損するのもSWERY氏とSUDA51氏のゲームだなと感じさせます。

また、武器も種類が豊富で、今回のデモだけでも初期装備のナイフの他に、斧や丸ノコチェーンソーのような武器までありました。遠距離武器も短銃の他にショットガンなどが用意されており、プレイする度に新鮮な手触りで遊ぶことができます。

ステージは体力回復などの効果がある次のマップに移動する扉があり、入った場所によってマップの構成が変わってきます。また、筆者がプレイした範囲だけでは時間帯によって敵の種類も変化するようで、同じルートを通ったとしても気が抜けない仕様になっています。

前述したようにアクションゲームとしての難度は高めで、筆者はボスに到達したとともに強力な一撃で瞬殺されてしまいました。
ボスに到達するまでのリソース管理も重要な要素となりそうで、やられる度に「もう一度!」とプレイしてしまう中毒性のあるゲームプレイでした。
会場のSWERY氏に直撃インタビュー!

――『ホテル・バルセロナ』のコンセプトを改めて教えてください。
SWERY氏(以下SWERY):本作はSUDA51さんと僕のコラボ作品となります。SUDAさんが最初にアクションゲームを作りたいという気持ちがあったので、そこに元々僕が考えていた、ローグライクの中に時間軸を持ち込むようなゲームをデザインしたい、というところからこのゲームがデザインされています。
なので、僕とSUDAさんの持ってるカオスな部分とクレイジーな部分が重なるように考えながら作っているゲームとなります。
――返り血を浴びて必殺技ゲージを溜めるという尖ったアイディアはどちらが考えたのでしょうか。
SWERY:ゲームメカニクスはWhite Owls(SWERY氏の会社)でデザインして、それをSUDAさんに説明をして「おお、いいじゃん」みたいな、そういう作り方にしてます。返り浴びるシステムは僕のアイデアなのですが、単純に数字を重ねていくコンボのシステムは結構古くなっているので、それに返り血の要素を落とし込んで、血が乾いていくのでそれまでに敵を切れば血がまた得られる、というシステムにしています。
――今回、2.5Dのスタイルにしたのはどのような理由からでしょうか。
SWERY:ローグライクをやりたいと思っていた中で、素材とか経験値を持ち帰るだけではなくて、プレイした時間そのものを持って帰りたいなと思ったんです。それで、過去の自分のプレイをレコードして次のプレイにも出てくるっていう「スラッシャーファントム」のシステムを考えつきました。このシステムで1番見栄えが良くなるのが、2.5Dの横スクロールじゃないかなと思ってこの形になりました。

――なるほど。プレイしていてすごくカッコよく見えます。
SWERY:ありがとうございます。僕もアーケード世代ですし、『マリオ』とかも好きなので、ストーリーをクリアした後も何回でも遊べるようなゲームを作りたいなと。過去のアーケードゲームが持つような良さと、今風のストーリーなどをうまく混ぜ合わせたいという気持ちもありました。
――ちなみにストーリーのプレイ時間はどれぐらいで想定されてるのでしょうか。
SWERY:アクションなので人によって変わるとは思うのですが、ストーリー自体はイージーで頑張れば10時間以内では終わると思います。ただ、サイドで戦わないといけない敵とか、武器を全部コンプリートしようとかやっていくと無限に遊べるという感じです。
今回のデモにも入ってるのですが、ロビーに行くとコンシェルジュがいて、コンシェルジュに話しかけることで公式に縛りプレイができるようになっています。ガード禁止とかをオンにして遊ぶとクリアした時に何かをもらえるのですが、そういったことを全部やろうと思ったら時間はかかりますね。
――本当にずっと遊べるような感じですね。
SWERY:縛りプレイ対応をオンにすると画面にも「縛りプレイ挑戦中」と出るので、配信などにも向いていると思います。
――それは面白いですね!ちなみにゲームの完成度は現在どれくらいなのでしょうか。
SWERY:現状はもう調整段階に入っていまして、ほぼ仕上がっている状態なんですよ。ただ、どの時期にどういう形で皆さんにお届けするかは今協議しています。
―― 本作はID@Xboxかからはどのようなサポートを受けているのでしょうか。
SWERY:技術的な部分ですね。やはりハードごとにいろいろな特性がありますから、担当のマネージャーさんがついてくださるというのがやはり心強いです。Xbox版を作る際にこういう部分にちょっと引っかかってるんですけど、と相談すると、すぐに対応いただけるところはやはり大きいですね。
―― 資金的なところは特にサポートはなかったということですね。
SWERY:そうですね。『ホテル・バルセロナ』に関してはWhite Owlsの完全自己資金でやってます。ですので、これまで『The MISSING -J.J.マクフィールドと追憶島-』や『The Good Life』などいろいろなゲームを出してますが、それらで培ったものを全て詰め込んで、このゲームで自分たちを出し切って頑張っています。

――インディデベロッパーならではの良さや苦労というのはありますか。
SWERY:ちょっと他の会社のことはわからないのですが、White Owlsのやり方で言うと、ある程度作って出来上がっていても、そこから結構作り直しているんです。
例えば、ゲームやストーリーのフローが、もうちょっとこう変えた方がユーザーのテンションが続くんじゃないかとなったら入れ替えたりとか。そういうことは小規模なチームだからすごくやりやすいですね。
――本作のような尖った表現もインディだからこそやりやすかったりするのでしょうか。
SWERY:そうですね。そこについても、チームの皆にこういうことがやりたいと説明する量がやはり違いますよね。大規模になればなるほど、例えばリーダーがいて、サブリーダーがいて、その下にも誰かいてと、どんどん情報伝達が複雑になっていくと思うのですが、皆さんに一斉に僕自身から伝えることができるというのは大きいです。スタッフから質問も出るし、ここが何かおかしいんじゃないか、などその場で説明できるからこそ尖れるのかもしれません。
――現在の開発チームは何人くらいの体制なのでしょうか。
SWERY:White Owlsだけで言うと6人ぐらいでずっとやっています。それにプラスしてパートナーの皆さんにお願いしたりしながら進めています。例えばゲーム中のアニメーション等だと有名なクリエイターの方に直接お願いもしています。
――最後にゲームを楽しみにしてる読者の方にメッセージをお願いします。
SWERY:本作は「ホラーパロディローグライクスラッシャー」という新ジャンルですし、これはSWERYとSUDA51のスーパーコラボ作品です。これまで遊んだどのゲームよりも、もっとクレイジーでもっとカオスなので、ぜひ楽しみにお待ちください。
――ありがとうございました。

発売が非常に待ち遠しい横スクロールハードコアスラッシャーアクション(又はホラーパロディローグライクスラッシャー)『Hotel Barcelona』は、Xbox Series X|S/PS5/Steamを対象に発売予定。価格は未定です。