気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Stas Shostak氏開発、PC向けに5月31日リリースされた衛生兵アクション『Save One More』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、戦場の衛生兵となり、負傷した兵士を救うアクションゲーム。戦争を題材にしたゲームでありながら、プレイヤーは一発も銃を撃つことはなく、可能な限り多くの兵士を治療します。マウスだけのシンプルな操作を採用。記事執筆時点で日本語には対応していません。
『Save One More』は620円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Stas Shostak氏(以下Shostak氏):こんにちは!ウクライナでインディーゲーム開発をしているStas Shostakです。これまで3年間に渡り、インディーゲーム開発で生計を立ててきました。『Save One More』以前には、 タクティカルランナー『Tribal Pass』やツインスティックシューター『JASEM』を作っています。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Shostak氏:私は長い間、非暴力的で何か本格的なゲームができないかと思いを巡らせていました。そして第二次世界大戦を記録するために入隊した、5人の映画監督について描いたアメリカのテレビ番組である「Five Came Back」のドキュメンタリーを見ていた時に、本作の核となるアイデアが浮かびました。このプレイヤーが戦争の目撃者であるというアイデアは、ある日に突然ふと思いついたのです。その後に、また別の戦争映画である「ハクソー・リッジ」を観て、プレイヤーは衛生兵にしようと思いました。これはプレイヤーに、ただの目撃者としての役割ではなく、敵も味方も助ける救済者としての役割も与えたかったという思いから来ています。
あの頃は本作の試作版を作っていましたが、同時に荒地でのカーバトルゲームである『Road of Dust and Rust』の開発の真っ只中でした。しかしこちらはとても大規模なゲームでしたので、一旦休止にして、シンプルで小規模なゲームである『Save One More』を優先することに決めたのです。そこで私は本作を一ヶ月で完成させるための開発計画を作りました。(結果的には)完成させるために、三ヶ月丸々掛かってしまいましたので、この計画は失敗に終わりましたが……。
――本作の特徴を教えてください。
Shostak氏:本作のユニークな点は、銃を一発も撃たずに戦争に身を投じるというところです。プレイヤーは衛生兵なので、負傷した兵士の手当をすることが任務となります。そして本作のメインとなるのが、負傷した兵士は皆、敵も味方もイデオロギーもない、ただ「負傷者」だと言うことです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Shostak氏:本作は、 「ハクソー・リッジ」で戦うことを拒む衛生兵や、「プライベート・ライアン」のビーチシーン、 「冬の嵐作戦(注:1942年12月に起きたドイツとソビエト連邦の戦い。スターリングラード周辺で包囲された枢軸軍33万人を救出しようとしたが失敗した)」についてのドキュメンタリー作品等の、 第二次世界大戦を舞台にした映画から大きなインスピレーションを得ています。また2014年からのウクライナ内戦下で、たくさんの命を救ってくれた義勇兵の方々からもインスピレーションを得ました。私はゲーム開発において、つい最近起きた紛争を題材にすることが正しいとは思わないので、いわゆる「古典的」な戦争ゲームを作ることにしました。
――本作の日本語対応予定はありますか?
Shostak氏:規模の小さなインディー開発ですので、マーケティングやローカライズに使える予算はほとんどありません。そのため、翻訳のお仕事を人に頼むことも出来ないのが現状です。しかし、是非対応したいとは思っています。もしもご協力いただける方がいらっしゃいましたら、ご気軽にメール(stas@shostak.games)でご連絡くださいますと幸いです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Shostak氏:日本は 『Save One More』 の国別売り上げの上位10位以内に入っていますので、本作のコンセプトやメッセージはお互いに取って共感し合えるものだと確信しています。今まで一度も日本を訪れたことはないので(いつか行きたいとは思っているのですが)、お互いの文化の違いなどは分からないのですが、ゲームに対する愛情は共通しているようですね。特に、ユニークなアイデアの作品という意味では。
皆様のサポートにはとても感謝しています。日本のゲーマーの皆様や、コミュニティの皆様からのフィードバックのおかげで、とても勇気付けられ、新しいゲーム開発を続けることが出来ています。
――ありがとうございました。
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