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「デジボで遊ぼ!」ではボードゲーム要素やカードゲーム要素、テーブルトークRPG(TRPG)要素のある魅力の新作デジタルボードゲームを特集。今回はダークファンタジー的世界観の、ローグライク要素のあるオープンワールドシミュレーションRPG『Urtuk: The Desolation』のプレイレポートをお届けします。
本作はDavid Kaleta氏を代表とするスロバキアのインディーデベロッパーMad Sheep Studiosによって、2020年2月15日にSteamで早期アクセスが配信されました。itch.ioでは2019年にクローズドベータや早期アクセス配信が行われました(購入者にはSteamで配信されたときに製品コードが送られます)。
本作はターン制ストラテジーとオープンワールドRPGが融合したシステムで、さらにローグライク要素も備えています。マップは大きく分けて2種類。移動メインのワールドマップと、バトル時の戦術マップです。プレイヤーは主人公のUrtukとなり、ファンタジー世界を自由に旅することができます。
そして本作におけるファンタジー世界は、エルフやドワーフ、ドラゴンなどの登場する古典的なモノではありません。世界は薄暗く、荒廃していて、絶望と苦痛しかないような場所です。どちらかといえば世紀末的な世界ですね。さっそくプレイしていきましょう。
まずはキャラクター選択から
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キャンペーンをスタート。まずはパーティの作成からです。主人公のUrtuk以外に、2人の仲間がいます。デフォルトのパーティを使ってもいいですし、ランダムで決めることもできます。それぞれのキャラクターには職業があり、自分で設定することも可能。職業にはプリースト、スピアマン、アサシン、ガーディアン、バーサーカーなどがあります。
画面中央下に並んでいる武器・防具・アイテムは、ゲーム内に2つまで持ち込めます。アイテムの種類は職業によって変化します。初プレイで何がいいのかよくわからないので、パーティはデフォルト(プリースト、ガーディアン、バーサーカー)にしておきます。またアイテムはバーサーカー用に斧と、ガーディアン用の盾を取っておきました。
ゲームの難度は「Exploration」「Adventure」「Epic Journey」の3種類ありますが、初プレイなので「Exploration」から始めます。
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ゲームが始まるとダークな世界観のイラストとともに、ストーリーが語られます。「サナトリウム」と呼ばれる地下牢では、錬金術師が囚人を使って人体実験を行っていました。主人公のUrtukも囚われの身となり、人体実験を受けながら絶望の日々を過ごしていました。設定からしてかなりのダークさです。
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そこへ満身創痍で助けに来てくれた友人のEldric。持つべきものは友ですね。Eldricが良い奴過ぎるのか、Urtukの人徳なのかは分かりませんが、このような荒廃した世界でも友情があるのは感動すら覚えます。「急いで逃げるぞ」とUrtuk(と仲間2人)を連れて脱出を試みるも、サナトリウムのガードたちに行く手を阻まれてしまいました。ここでバトル開始です。
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バトルはターン制で、ヘクスマップ上で戦います。目的はUrtukたちをゴール地点まで移動させることですが、ガードがいるので倒さなくてはなりません。行動速度の速い順に動く形になっていますね。
Urtukはプリーストなので、前列はガーディアンとバーサーカーの2人に任せた方が良さそうです。移動後は待機アイコンかスペースキーを押すことで、次のキャラクターに順番が回ります。
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先陣を切った友人のEldricは、バトル開始時からすでにHPが少ない状態です。敵から攻撃を受けましたが、盾で防げました。盾・兜・鎧にはそれぞれポイントがあり、ダメージを受けると減りますが、HPに対するダメージを半減させる効果があります。ポイントが0になると防具は壊れます。またポイントは毎ターン25%回復します。
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ガードを倒し(バーサーカーの攻撃1発で死にました)、Urtukたち3人がゴール地点に到達してステージクリア。友人のEldricは「俺が食い止めている間に逃げろ」のような死亡フラグ的セリフを残して、Urtukたちと別れてしまいました。
荒廃した世界を旅する
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サナトリウムを抜け、地上に出たUrtukたち。ここからランダム生成されたワールドマップになります。どこへ行くかを決め、その先々でイベントや戦闘などが起こります。このあたりはSFローグライク『FTL』と似ていますね。行き先にマウスカーソルをホバーすると、そこに何があるかの概要が表示されます。それと移動するごとに時間が1日経過します。
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インベントリ画面を見てました。ここで武器や防具、アイテムなどを装備します。職業によって装備できるものの違いや、スロットの数の違いなどがあります。例えばプリーストやバーサーカーだと、装備スロットは1つ(武器)しかありません。ガーディアンは武器に加え、鎧、盾を装備できます。
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Urtukは錬金術師の人体実験によって、奇病を患っています。それを治すための手掛かりをこれから探さなければなりません。まずは情報収集からです。とりあえず東に進むと、兵士たちがスカベンジャ―たちに襲われていました。助けに向かいましょう。
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バトル開始。先程のバトルと違って、今回以降は戦闘前に自分で配置を決めます。戦場に出せるキャラは最大で6人まで。今は3人しかいないので、全員出陣させます。青色のユニットが助けるべき兵士たち、赤色が敵です。兵士たちがゴール地点(白いタイル)に到達するまで守らなければなりません。
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先手必勝で、バーサーカーが敵1体を屠りました。攻撃時やスキル使用時にはスタミナを消費します。スタミナが無くなると「息切れ状態」となり、何もできなくなります。何もせずにターンを終了すれば回復します。
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戦闘では、高い位置から攻撃するとダメージボーナスが付きますので上手く利用しましょう。ただし近接攻撃の場合、高低差が1以上の場所からは当たらないので注意が必要です。画像では高低差が3あるので当たりません。
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敵を一掃して勝利。Urtukはプリーストなので攻撃力があまり無く、とどめはバーサーカーが刺しました。敵の血が周囲に飛び散っていますね。兵士たちも無事ゴール地点に到着。勝利です。
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この戦闘で、兵士たちの中からガーディアンのGeorguyが仲間に加わりました。大幅な戦力アップです。これからは積極的に人助けをしていくのが良さそうですね。
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各キャラには経験値が与えられ、戦利品の「Trilium」(緑色のポーション)、「Life essence」(赤いポーション)を得ました。「Trilium」はこの世界における通貨のようなものです。Life essenceは、倒した敵から「Mutator」アイテムを抽出するためのコストになります。
Mutatorアイテムは装備品で、他のRPGでいうところの「アクセサリ」に当たります。人体に変異を起こさせ、様々な特殊効果を付加します。プラス効果だけでなく、マイナス効果も付与されるので注意が必要です(取り外しは可能)。今は十分なLife essenceが無いので抽出できません。諦めましょう。
悪党たちから村を解放しよう
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さらに東へと進んでいくUrtukの一行。行き先はスカベンジャ―たちの巣食う洞窟です。ファンタジー世界なのですが、雰囲気的にもポストアポカリプス系のゲームを遊んでいるような気分になってきました。
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洞窟では村人がスカベンジャ―たちに襲われていました。助けましょう。バトル開始時の配置ですが、スカベンジャ―の一人がすぐそばにいるので、囲むようにしてユニットを置きました。バトル開始と同時に敵一人を撃破。
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仲間が殺されたのを見たスカベンジャ―の一人が、「死にたくない!」と怯えだしました。パニック状態となり、その場から動けなくなってしまっています。こういうのがあると、単にユニット同士の殴り合いではなく、感情のある者同士が戦っている感じがして良いですね。
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スカベンジャーたちはあまり強くないので、サクサクと倒しつつ前進します。地形によっては、踏み込むことでダメージを受けたり、素早さが落ちたりします。これらの地形に敵を突き飛ばして、追加ダメージやデバフを与えることもできます。
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特に苦戦することも無く、戦闘に勝利。今回は十分なLife essenceがありますので、「Stalwart」というMutatorアイテムを抽出しました。敵の突き飛ばし攻撃を無効化するという効果がありますが、一方でHPの最大値が減少します。バーサーカーに付けておきましょう。それとバーサーカーのレベルが上がったので、ポイントを4つのステータス(力・生命力・素早さ・集中)に振り分けることができます。
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さらに東に進んで村に到着。しかし村はスカベンジャ―に襲われていました。さっそくバトルですが、これまでに比べて敵が強くなっています。バーサーカーが死にかけたので、プリーストのスキル「イージス」(次受けた攻撃を無効化)を掛けます。スキルはスタミナや生命力を消費します。
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村を解放したことにより、毎日(毎ターン)10Triliumが手に入るようになりました。他にも悪党どもに乗っ取られた村があるので、資源獲得のために解放していきましょう。ちなみにUrtukの奇病ですが、村のシャーマンに尋ねたところ、彼の能力では治せないそうです。
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次の村の解放に向かいますが、敵が予想よりも手ごわい。バトル早々、バーサーカーがダウンしてしまいました。Urtukも死にかけ。ガーディアンのバッシュ技で敵を行動不能にしつつ、何とか撃破です。
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戦闘でダウンしたバーサーカーは負傷状態。回復させるには薬と、さらに4日の時間が必要です。果たしてUrtukたちはこの荒廃した大地で生き延びていくことができるのか、この続きはぜひ自身の手でプレイしてみてください。
遊びやすいオープンワールドSRPG
本作はハードコアなグラフィックや世界観に反して、ゲーム自体は非常にプレイしやすく作られています。システムが洗練されていて、装備スロットも最小限に押さえられており、直感的にプレイできます。ローグライク要素はありますが、セーブ・ロードも自由に行うことができ(ただし1セーブのみ)、ゲーム自体の難度はそこまで高くないかと思います。
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ゲーム中の資源としては、本記事で紹介したもの以外にも「Blood」「Flesh」があり、これらを使って薬を作ることが可能です。またステータスに振り分けたポイントもLife essenceを支払うことで再振り分けが出来たり、控えキャラの一括装備解除や装備のセーブ・ロード機能など、かゆいところに手が届く作りになっています。
イラストや世界観はローグライクRPG『Darkest Dungeon』風で人を選びそうですが、ゲーム自体はライトユーザーでも遊びやすいものになっています。日本語サポートはありませんが、アイテム効果やイベント時のテキストを読むぐらいなので、そこまで英語力はいらないかと。オープンワールドのシミュレーションRPGが遊びたいという人には打って付けの作品かと思います。
製品情報
『Urtuk: The Desolation』
開発・販売:David Kaleta、Mad Sheep Studios
対象OS:Windows、MacOS、Linux
通常価格:2,050円
サポート言語:英語
ストアページ:Steam、itch.io
■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「中華ゲーム.com」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。新刊「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)。著者Twitter、「マイナーゲーム.com」Twitter。