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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2020年5月28日にYUNUO GAMESよりPC/ニンテンドースイッチ向けにリリースされた『SYNAPTIC DRIVE』について生の内容をお届けしたいと思います。
『SYNAPTIC DRIVE』とは
本作は、1999年にニンテンドウ64で第1作が発売された『カスタムロボ』シリーズを手がけた見城こうじ氏がディレクターを務める3Dアリーナ型ロボットアクション。サウンドプロデューサーに『リッジレーサー』の細江慎治氏、キャラクターデザインにはタナカケンゴ氏・寺田克也氏・仲井さとし氏などの豪華スタッフを起用しています。PCとニンテンドースイッチ間のクロスプレイ対戦にも対応しています。
本作でプレイヤーは、今からはるか未来で己の脳を活性化させるチューンを施すことで可能になった超高速競技バトル「SYNAPTIC DRIVE」を舞台に、ただひたすら勝利を目指して戦い続けます。武器やボディなど、それぞれ性能が異なるパーツを6ヶ所自由に組み替えることにより、自分だけの戦略を作り上げることが可能です。
『SYNAPTIC DRIVE』の実内容に迫る!
ゲーム開始してすぐに受けることができるチュートリアルでは基本的な移動や攻撃のほか、パーツ交換やタッグ時の操作など本作の重要な部分をわかりやすく学ぶことができます。このチュートリアルはスキップできるほか、いつでも受け直すことが可能です。
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本作のゲームモードは、CPUを相手にさまざまなルールで勝ち抜き戦等を行うアーケードモードやトレーニングを行える「シングル戦」と「オフライン/オンライン対戦」に分かれています。オンライン対戦はプレイヤーレベルが5になるまでは選択不可能のため、最初はアーケードモードで基礎を覚えながらレベルを上げることになります。また、本作にはストーリーモードは存在していません。
武器の性能を掴み相手を掌握するアリーナバトル!
本作の戦闘はアリーナ内の1対1形式で行われ、対戦相手の体力を0にすることで決着となります。攻撃方法には通常攻撃とチャージ攻撃が可能な「ガン」、軌道を自分で操作して設置する「ワイヤー」、敵を追尾する「トラッカー」と接近戦用の「近接攻撃」が存在。また、戦闘中にアルティメットゲージが溜まった時に使える必殺攻撃「アルティメット」も存在しています。
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攻撃方法は装備しているパーツごとに大きく異なります。「ガン」だけでも攻撃ごとの連射力に優れるもの、障害物を飛び越して山なりに撃ち出すもの、射撃後しばらくして弾がマップに現れるものなど個性的な能力が存在。「ワイヤー」「トラッカー」にもさまざまな種類のパーツがあり、一見すると「これどうやって使うんだ」と思うような能力のパーツが他の武器との組み合わせで強力な効果を発揮することもあり、戦略はプレイヤーの発想次第で無限大に存在しています。
本作はほぼすべての行動にクールダウンや行動ゲージなどの制約が存在しており、単純な移動だけでも「一度足を止めると再加速に時間がかかる」作品です。そのため、いろいろな行動を一度に行うことで「何もできなくなるタイミング」が生まれかねません。ダッシュを駆使して距離を取ることや、攻撃判定がしばらく残る武器を選択して相手の動きをコントロールするなど、こちらの攻撃の合間に相手を自由にさせない戦術をいかに構築するかが重要なゲームでもあります。
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起き上がりの無敵が発生するまで追撃可能な大切な時間です
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すでに駆け引きは始まっています。
バトルフィールドとなるステージ数は7種類あり、障害物が多くて攻撃を通しにくマップや「ワイヤー」が通らない特殊な障害物があるマップなども存在。オンライン対戦は「マップ決定→装備変更」の流れとなり、装備デッキ編集も可能なため「壁が多いマップだから反射レーザーを持っていこう」など、マップに合わせた装備を用意することも重要です。
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可能性は無限大のパーツカスタマイズ!
使用キャラクターのカスタマイズ部分は「ボディ」「ガン」「ワイヤー」「トラッカー」「チップ」2つの合計6種類。新しいパーツはプレイヤーレベルを上げることで獲得可能になるほか、ゲーム内で時限リリースされていくパーツも存在しています。
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「ボディ」はパーツごとに耐久力と回避性能などの基礎ステータスが存在しているほか、「ジャンプ後方ダッシュ」や「三角跳び」などの特殊移動のスキル構成も異なります。また、近接攻撃とアルティメットもいくつか選択できるため、例えば同じ防御力の優れたボディでも「バリヤーを張って守りを固める耐久型」「硬さに任せて前に出て戦う攻撃型」のように大きく異なる戦略が可能になります。
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「チップ」は戦闘能力を強化するもの。移動力強化やワイヤー武器強化、アルティメットゲージ獲得アップなどさまざまな効果があり、組み合わせることでプレイヤーの戦略を大きく変化させてくれる心強い存在です。ただし、オンライン対戦時には戦闘直前に相手の構成が見られるため、あまりに露骨なチップ構成の場合立ち回りがバレてしまうかも知れないので気をつけましょう。
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多少の犠牲を覚悟にショットガンで近接を挑むスタイル。
魅力的なゲームだが現状では問題点も……
カスタマイズの要素が無限大と言っていいほどに豊富で、世界観に合わせたスピーディで戦略性の高いバトルは非常に魅力的な本作ですが、現在ではさまざまな問題が見受けられます。
本作にはストーリーモードが存在しないため、CPUマッチのアーケードでレベルを上げることが基本になります。レベル5になるとオンラインマッチで遊べるようになるのですが、現在の仕様ではランク帯の調整があまり行われていないようで、レベル差の大きいマッチが平気で組まれてしまうようです。前述の通り、本作では「レベルアップでパーツが解放される」システムになっているため、レベル差による試合の場合、装備の違いによる初見殺しが発生することもあります。
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この状況はそこまで珍しいことでもありません。
また、豊富な装備があるタイプのゲームでは仕方ないのですが、どうしても武器ごとの強弱が存在してしまいます。そのため、オンラインマッチではいくつかの決まった武器を使用するプレイヤーばかりになっている現状です。もちろんまだサービス開始直後のため今後の研究で新しい戦術が発見されていくと思いますが、新規プレイヤーが何もできずに負けてしまう状況はなんとか改善してほしい部分です。
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装備次第では完封負けもありえます。
戦闘バランス以外でも「武器のクールダウンが見た目でわからない」「一部の武器がヒットしているかが判断しづらい」など、戦闘中の情報が少ないのも不親切かな、と思わされる部分です。また、CPUの調整が甘いのか、勝手にダメージゾーンに突っ込んで破壊されていく状況に何度か遭遇しています。
ここまで紹介してきた『SYNAPTIC DRIVE』ですが、マップを縦横無尽に移動するスピード感と相手を「追い込む」事が重要になる戦闘システムは多彩なカスタマイズ要素と相性が良く、考えながら戦うための高い戦略性を生み出す土台になっています。操作は多いのですが、直感的にプレイできる感覚も優れたゲームデザインだと思います。ただし、駆け引き要素として設定されているだろう、武器や移動の制約部分は人によってはストレスに感じてしまうかも知れません。
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また、現在では上述の通りオンラインマッチでは決まった装備による戦術が強すぎるため、戦闘のバランスが良いとは言えない状態です。これを改善するため、公式は5月30日のアップデートで「経験値獲得量アップ」「タイムリリースパーツの時限短縮」などを行い、プレイヤー間のレベルによる武器格差が起こりづらくなるバランス調整を行っています。パーツの種類が増えることで戦略が拡がる本作には嬉しいアップデートです。
アーケードモードで様々なパーツの使い方、戦い方に慣れていただきながら実戦となるオンライン対戦に挑戦いただくことを想定してバランスを組んでおりました。
— シナプティック・ドライブ公式 (@SYNAPTIC_DRIVE) May 30, 2020
『カスタムロボ』の遺伝子は確かに感じつつ、まったく異なる雰囲気の作品となっている本作。スピーディで戦略性の高いバトルスタイルを要求されるため、少しプレイヤーに対するハードルは高いように思えますが、アリーナバトル&カスタマイズというジャンルは素晴らしく魅力的です。今後のアップデートなどの展開次第で優秀な対戦ツールとなる可能性を十分に感じる作品です。
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タイトル:SYNAPTIC DRIVE
対応機種:PC(Steam)/ニンテンドースイッチ
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2020年5月28日
記事執筆時の著者プレイ時間:7時間
価格:3,278円