気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Fatbot Games開発、PC向けに9月15日正式リリースされたスチームパンク3DダンジョンRPG『Vaporum: Lockdown』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、2017年に発売されたRPG『Vaporum』の前日譚にあたる作品。科学者の「Ellie Teller」を主人公として、悲惨な事故が起こった研究施設から脱出するまでのストーリーが描かれます。一人称視点でスチームパンクな雰囲気のダンジョンを探索するゲームで、モンスターとの戦闘やさまざまなパズルが待ち受けています。日本語にも対応済み。
『Vaporum: Lockdown』は、1,840円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。
Tibor Repta氏(以下Repta氏)私たちのスタジオの共同創設者で開発リーダーのTibor Reptaです。Fatbot Gamesは中欧スロバキア・ブラチスラヴァを拠点とする小さなインディースタジオで、2015年に昔からの友人でありゲーム開発のベテランである、私とMatej Zajacikの二人によって設立されました。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Repta氏私たちのデビュー作である『Vaporum』のリリース後、私たちにはユニークなシステムやストーリーのアイデアがまだまだたくさんあり、コミュニティの皆さんにぜひ楽しんでいただきたいと思ったのです。そのため、私たちはいくつかのレベルと新要素を入れたDLCを作りました。しかしその作業中にもまだまだポテンシャルがあることに気づき、次第に一本のゲームになるほどにアイデアが膨れ上がっていったのです。
本作の本格的な開発は2019年8月に始まりましたが、一部はプリプロダクションとしてその前に行われました。
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――本作の特徴を教えてください。
Repta氏本作は今の市場では大変珍しい、昔ながらのダンジョンクロウラーです。『ダンジョンマスター』『ウィザードリィ』『アイ・オブ・ザ・ビホルダー』といった古典的作品はもちろん、最近のものですと『Legend of Grimrock』『2』からも影響を受けています。
本作一番の特徴は、ガジェットベースのRPGシステム、シングルキャラクターのゲームプレイ、ビジュアル、ストーリー、そしてスチームパンクという設定です。また「ストップ・タイム・モード」もこのジャンルとしてはユニークではないでしょうか。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Repta氏上で述べましたように、本作は昔のダンジョンクロウラー作品が基盤となっています。本作はスチームパンクが舞台となっていますが、これは産業デザインやアール・デコ、ブルータリズムのスタイルを参考にしています。
ネタバレなしに言えば、本シリーズの主な部分はラヴクラフトによる「コズミックホラー」と、ジュール・ヴェルヌによる小説から影響を受けていると言えるでしょう。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Repta氏3月の中頃から、私たちは「ホームオフィスモード」になりました。しかし6月になるとオフィスに戻り、フルタイムで仕事をするようになりました。私たちは実際に会ってコミュニケーションをとりながら仕事をするのに慣れていたこともあり、ホームオフィスだった三ヶ月間では開発が遅れてしまいました。ちなみに、本作のタイトルでもある「Lockdown(ロックダウン)」は2019年11月に決まったものですので、まったくの偶然です。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫でしょうか?
Repta氏はい、配信していただいても、収益化していただいても大丈夫です。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Repta氏まず、前作を買っていただいた皆さんにお礼を言わせてください。そして、これから本作を買っていただく皆様にも御礼申し上げます!日本ではこのジャンルがまだとても人気だと聞いていますので、日本の皆様に私たちのゲームを披露できることを大変光栄に思っています。
私たちはわずか5人と言う小さなスタジオですが、ファンの方々のために素晴らしいゲームを作ろうと言う熱意を持っています。そして、SNSやDiscordで皆様からいただけるフィードバックを大変嬉しく思っています。
現在、私たちは本作のスイッチへの移植作業を行なっております。2020年のQ4にリリース予定です。PS4とXbox Oneには2021年Q1にリリース予定ですので、ご期待ください。
――ありがとうございました。
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◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に300を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。