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「Steamゲームフェスティバル オータムエディション」において、中国語圏で長年人気を博している武侠RPG「軒轅剣」シリーズの最新作『軒轅剣 閻黒の業火(けんえんけん えんこくのごうか)』(中国名『軒轅剣柒』/英語名『Xuan-Yuan Sword VII』))のデモ版が配信されました。
本作は台湾の老舗デベロッパーSOFTSTAR(大宇資訊)とその旗下のDOMO Studio(DOMO工作室)が開発し、同社とYooreka Studio(游力卡工作室)によって、10月下旬にPC(Steam)で配信予定の作品です。
国内PS4向けとしては、2020年12月10日に発売予定となっています。パブリッシャーは台湾企業のJUSTDAN(傑仕登)。日本語ローカライズはもちろんのこと、日本人声優による吹き替え音声も収録されています(PC版の日本語サポートは、現在のところ明らかにされていません)。また初回特典として、オリジナルサウンドトラックCDも付いてきます。ちなみにJUSTDANは、以前話題になった台湾グルメ美少女化ADV『食用系少女』国内ニンテンドースイッチ版のパブリッシャーも務めており、2020年11月26日に発売予定となっています。
中国語圏のゲーマーならきっと誰もが知っている「軒轅剣」シリーズですが、1作目は1990年に発売されました。筆者が始めてプレイしたシリーズ作品も、この1作目です。「軒轅」というのは中国の伝説の帝王・黄帝のことで、その黄帝の剣が「軒轅剣」です。この剣を巡る物語が展開されていきます。
本シリーズの面白さですが、架空の古代中国が舞台となっているのですが、歴史・伝説上の有名人物が(時代や設定を無視して)当たり前のように登場するところです。日本で例えるならば、卑弥呼やスサノオ、聖徳太子のような人物がバンバン出てくる感じですね。
ファンタジーと実際の歴史が融合したスタイルは、以降のシリーズも引き継がれていきます。ちなみに現在の中国では、歴史を修正した物語に対しては検閲が入るため、「武侠もの」においては「完全に架空の古代中国」を舞台にすることが多くなっています。「軒轅剣」スタイルの物語は、いまや台湾の独壇場といったところでしょう。
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1作目の頃は、伝統的スタイルの2D見下ろし型RPGでした。ストーリーのテンポの良さと、当時のRPGとしてはかなりユーザーフレンドリーなシステムだったので、サクサクゲームが進められ、とにかく遊びやすいゲームでした。
ちなみに2作目は日本でもDOS/V PC向けにローカライズされており(タイトルは『軒轅剣』)、筆者は昔、某家電量販店のワゴンセールで発見して知りました。1,000円ぐらいで売っていたと思います。日本語版があるので、この記事を読んでいる方でプレイしたことがあるという方もいるかもしれません。
「軒轅剣」シリーズはその後、ナンバリング作品やスピンオフ作品、さらにはネットゲームやドラマ、アニメにまで幅広く展開していきます。日本でもアニメ「軒轅剣 蒼き曜」が2018年にテレビ東京で放映されています。また、Steamでは日本語も収録されたスピンオフ『軒轅剣外伝 穹之扉』が配信中です。
本作は、ナンバリング作品としては7作目になります。2Dだった初期作も、時代を経て3Dへとなっていき、グラフィックもどんどんリアルになっていきました。ターン制だった戦闘も、本作ではアクションバトルになっています。一体どんな作品になったのか、さっそくプレイしていきましょう。
格段に進化したグラフィック!
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ゲームを開始すると、まずは難度選択。「簡単・普通・困難」の3段階から選ぶことができます。前述したように、本作はターン制バトルではなく、リアルタイムのアクションバトルとなっているため、アクションが苦手な人は「簡単」にしておいた方がいいでしょう(そこそこ難しいとのことです)。
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ストーリーが始まりました。どこかの山小屋が映し出され、その中で眠っている主人公らしき男が目を覚まします。本作の人物は実写に近いデザインですね。ナンバリング作品ではありませんが、「軒轅剣」シリーズとしては前作に当たる『軒轅剣外伝 穹之扉』がアニメっぽさのあるグラフィックだったので、だいぶトーンが変わってリアル系作品になっています。日本で言うと「龍が如く」シリーズ路線でしょうか。
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床から起き上がった主人公。ここから操作可能です。PS4版もあることから、本作ではパッドでのプレイできます(今回のプレイではパッドを使用します)。基本操作を動画付きで教えてくれる辺り、ユーザーフレンドリーさは健在です。
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開けられるドアや調べられる場所、登れる所などは、アイコンを表示して教えてくれます。また目的地もマーカーが出るので、迷う心配はありません。パッドのBボタンでインタラクティブです。
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家の外に出た途端、野犬のような敵に遭遇。最初の戦闘が始まりました。操作方法がちょっと特殊で、RBで弱攻撃、RTで強攻撃になります。またAボタンが回避、LBがブロックとなっています。回復剤などアイテムの使用はYボタンです。
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野犬を倒し終えた後、ここで主人公の名前が「太史昭」と分かります。三国志に出てくる「太史慈」と同じ「太史」という2文字の姓ですね。本作は前漢末期が舞台になっているとのことですが、妖魔が普通に跋扈しているファンタジー設定となっています。先程の野犬も妖魔のようですね。
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「妖魔が増えてきた」とぼやきつつ、薬を煎じ始める太史昭。どうやら太史昭には妹がおり、病にかかっているようです。それで毎朝、妹の薬を煎じるのが、太史昭の日課になっています。しかしグラフィックがリアルですね。
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画面が変わり、ここからタイトルクレジットとムービーが流れます。先程の展開からそうなのですが、実写映画やドラマのようなシーンの見せ方をしています。その内、映画化するかもしれませんね。
テンポの良いストーリーは健在!
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少女の投げた鳥の玩具が町の中を飛んでいき、それに合わせてクレジットが表示されます。やがて鳥の玩具は木の枝にぶつかり、引っ掛かってしまいました。
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ここから突然、見知らぬ少年を操作することになります。と言うか、誰なのか説明がありません。とりあえず道なりに進んでいきます。道にいる人の側に近づくと、その頭上に自動的にセリフが表示されます。重要でもない人物に、いちいちボタンを押して話しかける必要が無いのはいいですね。
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鳥の玩具が引っ掛かった木の下に、持ち主である赤い服を着た女の子がいました。彼女は「紅児」と言います。少年の方は「李昭」という名前ですね。子供時代の太史昭だとは思いますが、姓が違いますね。
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2人は友達のようで、李昭は紅児のために、枝に引っ掛かった鳥の玩具を取りに行きます。枝まで結構な高さがありますが、側にある足場から上に登れそうなので、そこに向かいましょう。
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足場を伝って木の枝へと近づき、鳥の玩具へと手を伸ばします。ここでQTE的なボタン入力がありますね。ちょっと危なっかしいながらも、何とか鳥の玩具を取ることができました。
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鳥の玩具を紅児に返すと、お礼として土偶っぽい人形をもらいました。何でも紅児が自分で作ったとのことです。李昭は気に入っている様子だったので、紅児は「来年の誕生日には、もっとすごいのを作ってあげる」と約束しました。
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もう日も暮れそうなので家に帰りましょう。右手に見える大きな屋敷が李昭の家です。金持ちのお坊ちゃんですね。屋敷の入り口では、使用人が忙しそうに荷物を運び込んでいます。何かあったのでしょうか。
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屋敷の中では、使用人の阿福おじさんがいました。話を聞いてみると、今日は屋敷に客が来るようで、これらの荷物は西域から運ばれてきた貴重品だとのこと。それと李昭の母親が呼んでいるので、急いで行くよう言われました。
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母親に会いに行くと、「お客様が来るので、しばらく面倒を見てほしい」と妹の湘児の世話を頼まれました。どうやら李昭の父親は太史令(朝廷の高官)で、太史昭の名前もそこから来ているのでしょう。
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妹の湘児を奥の部屋まで運び、寝台の上に置きました。「何を使ってあやすか」の選択が出たので、先程、紅児にもらった人形を使います。湘児は人形を気に入ったようですね。
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ところが夜になると、外が騒がしくなりました。それから両親が部屋に駆け込んで来ます。「湘児を連れてすぐに逃げなさい」と言われました。「どこへ逃げるの?」と聞くと、「できるだけ遠く」との答え。何かしらの危機が迫っているようですね。
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部屋の外に出て、兵士らしき男たちを足止めする李昭の両親。その間に李昭は、部屋の窓から外へと出ました。しかし窓の外から振り返って見てみると、両親は兵士たちの剣によって殺されてしまっていました。
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妹を抱いて、とにかく遠くへと逃げる李昭。途中、阿福おじさんに会いますが、彼は李昭を守るため、兵士たちを食い止めて命を落としてしまいます。
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屋敷を脱出した李昭。振り返ると、屋敷は炎の海に包まれていました。妹も泣き出してしまいます。李昭は、自分が泣くわけにもいかず、ただひたすら「お兄ちゃんがいるから大丈夫だ」と言って子守唄を歌いました。
妖魔の襲撃!
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話は過去から、また現在に戻ります。薬を煎じている太史昭のもとに、寇言という武官がやってきました。太史昭に山の案内を頼んでいるようで、「日が昇ったら出発する」と伝えました。
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薬が出来たので、家の中まで運んで妹の太史湘に飲ませます。赤ん坊だったのが、随分大きくなりましたね。妹は「薬は苦いから嫌。何か話をしてくれたら飲む」とわがままを言い始めました。
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妹は紅児の話が聞きたいようなので、それを話します。プレイヤーはただ聞いているだけでなく、話の途中に選択肢が出てくるので、自分で物語を組み立てていくことができます。飽きさせないようにする仕掛けがいろいろ用意されていますね。
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出発の時間になりました。「山を案内するだけで大金がもらえる」と太史昭は言いますが、妹は自分の薬代のために兄が苦労していることを知っており、心配しています。太史昭は妹に小さな笛をあげました。「何かあった時に吹けば、すぐに駆け付ける」とのことです。
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外では兵士たちが集まっていました。寇言の上司である莫煌将軍が現れます。無口で、何だか怖そうな人物です。
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兵士たちを先導して、山道を進んでいきます。この山には多くの妖魔が住んでいますが、これまでふもとの人々を襲うことはほとんどありませんでした。しかし最近、「大妖」が山に住み始めたようで、村の猟師たちは「山へ近づかないよう」皆に警告しました。それを無視して山に入った若者たちが、帰らぬ身となってしまいます。以降、誰も山へ入ろうとはしなくなったとのことです。村の人たちが山を案内したがらないので、太史昭に仕事が回ってきたのでしょう。
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山の至るところにある青色の光のようなのは、大妖が祟りを為した跡とのことです。山の上へ行けば行くほど、この痕跡はどんどん多くなっていきます。莫煌将軍は、部下の兵士たちに痕跡を調べるよう命じました。
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案内の任務は済んだので、寇言から約束のお金をもらいます。寇言は太史昭の能力を高く買っており、「こんな山奥に住むより、我が軍に入った方が良い人生が歩めるぞ」とスカウトします。しかし太史昭は「私にそんな力はありません」と辞退しました。
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そこへ大妖が登場。兵士たちは戦うも、次々と蹴散らされていきます。部隊を指揮する莫煌将軍の攻撃により、大妖は逃げていってしまいました。莫煌将軍は寇言らに追撃を命じます。
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一方、太史昭は報酬をもらい、妹の待つ家へ戻ることになりました。山中にある焚き火では、休んでHPを回復することができます。敵と戦っていないのでHPは減っていませんが、一応休んでおきましょう。
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山中では敵が現れます。野犬ぐらいの敵かと思ったら、武器と鎧をフル装備した戦士やら、遠くから魔法攻撃を仕掛けてくる魔術師やらと、なかなかに強い連中ばかり。こんなのが近くの山に住んでいたら、毎日気が休まりませんね。
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太史昭はLTで攻撃の型を切り替えることができます。またXボタンを押すことで、それぞれの型の必殺技を放つことが可能。必殺技は、クールダウン時間が終われば再使用できます。
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ボスっぽい敵も登場。まともに打ち合うとこちらが不利なので、殴っては回避のヒット&アウェイでじわじわ敵のHPを削っていきます。
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村に戻ると、負傷している村人に遭遇。どうやら大妖は村へ逃げ込んでしまったようです。妹の身を心配し、急いで家に戻る太史昭。そこで見たものとは……。デモ版はこのあともう少しだけ続きます。続きは(そして製品版は)ぜひとも自身の手でプレイしてみてください。
テンポの良いストーリーのアクションRPG
本作は人気RPG「軒轅剣」シリーズだけあってストーリーはテンポよく進み、プレイヤーを退屈させないような仕掛けが散りばめられています。またグラフィックも前作と比べて格段に進化し、より実写的な方向へと進んでいます。
リアルタイムのアクションバトルについてですが、まだ序盤なので難しいというほどではないですが、敵の攻撃をしっかり防御(もしくは回避)して戦わないといけない感じでした。全体的には、遊びやすく作られたゲームになっています。
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本作のSteam版ですが、デモ版では日本語はサポートされていません。Steamのストアページにも日本語サポートの表記がなく、日本語が今後実装される可能性についても定かでは有りませんので、日本語でプレイしたい方は、12月10日に発売されるPS4版を購入した方がいいでしょう。遊びやすい作品なので、「武侠RPGを遊んでみたい」という方は、本作をプレイしてみるといいかと思います。
タイトル:軒轅剣 閻黒の業火(Xuan-Yuan Sword VII)
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)/PS4
発売日:2020年10月下旬予定(PS4版は2020年12月10日予定)
記事執筆時の著者プレイ時間:2時間
価格:不明(PS4版は6,380円)