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9月28日に全世界クロスプラットフォームでサービスが開始されたmiHoYoのオープンワールドアクションRPG『原神』(PC/PS4/iOS/Android)。全世界で事前登録者数が2,000万人を超えたことが発表されるなど、大きく注目を集めているゲームです。11月11日にはバージョン1.1へのアップデートも予定されており、リリース当初の過熱ぶりは落ち着きを見せつつも、いまだ多くのユーザーから注目されています。
本稿では、7つの元素が織りなす奥の深い戦闘システムや探索の楽しさ、そして課金要素などを踏まえた『原神』のレビューをお届けします。
※本稿はバージョン1.0ベースをベースにしたレビューです。予めご了承ください。
物語は敗北から、そして海岸から始まる!
物語の舞台は7つの元素が絡み合う幻想世界「テイワット」。行方不明となった双子の片方を探す主人公の壮大な冒険と、広大な世界でさまざまなクエストや宝探しなど自由に冒険できるスタイルが特徴です。
物語の冒頭は謎の「神」と主人公双子の戦闘シーンから開始。この双子の男女いずれかを主人公として、キャラクターとの出会いを重ね、謎の「神」の正体に迫り、選ばなかった方の双子を取り戻すための物語が展開される、というのがメインストーリーです。
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戦闘に敗北した主人公は封印され、長い眠りについてしまいます。その後場面は転換、目覚めた主人公は偶然出会ったマスコット「パイモン」とともに、「テイワット」の世界で行方不明の双子を探すことに。力を失い、見知らぬ世界に放り込まれた主人公。さまざまな仲間と出会い、世界中を旅する大冒険が始まります。
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美しく広大な世界をどこまでも探索可能!
三人称視点のアクションRPGとして、主人公や出会った仲間を任意に切り替えながら広大なオープンワールド世界を冒険することになる本作。基本はメインストーリーやサイドクエストなどの任務を進めつつ、ダンジョン探索やキャラクター育成、世界に存在するモンスター「ヒルチャール」などと戦いながら世界の探索やアイテム収集を行っていくスタイルです。
本作は、さまざまな遺跡や山地などの魅力的な地形が溢れており、泳ぎや崖登りのほか「風の翼」と呼ばれるグライダー能力を駆使することでほとんどの場所に到達可能。ゲームの基礎的な操作感覚もよく、どの地形までも行けるような圧倒的な自由度は「いつまでもどこまでも遊んでいられる」作品というオープンワールドらしい楽しさを感じさせてくれます。
スポット開放式のファストトラベル、マップの不明部分を明らかにするなどさまざまな恩恵を与えてくれる「七天神像」など探索すればするだけ世界が身近になり、いくらかの報酬を得られるシステムも好感触です。
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また、本作で大切な要素として、探索で獲得する素材を使用して作成する「料理」があります。料理は体力回復、仲間の蘇生、ステータスアップにも使用できる重要なアイテム。本作は、中盤以降のクエストでは敵の体力や能力が上がり無傷での勝利は難しくなっていきます。減っている体力を回復する手段は少なく、料理は比較的手に入れやすい回復手段と言えます。冒険のお供にも素材を集めて料理する習慣をつけておくのがおすすめです。
これらの本作の練り込まれた基礎は、探索を行いながらヒルチャールの住処を壊滅させ、気の向くままに宝箱やアイテムを集めているだけでも十分な楽しさが得られるだけの完成度をユーザーへと見せてくれます。なお、ローンチバージョンでは「モンド」と「璃月」と呼ばれる2つのエリアを探索可能。12月には3つ目のエリアである「ドラゴンスパイン」が開放される予定です。
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個性豊かで頼れる仲間を強化しよう!
複数キャラクターの使い分けについてですが、初期のパーティーは主人公だけながら、最初の拠点に到着するまでに仲間になる弓使いアンバーなど、ストーリー上で加入するキャラが複数存在。一方で、ローンチバージョンにおいては本作の大きな魅力である属性要素について、基本的な「火」「氷」「雷」「風or岩」属性を持つキャラ以外は「祈願(ガチャ)」での入手を余儀なくされています。また、後述する重複入手での強化要素が存在していることにも注意が必要です。
キャラの使用武器には剣、大剣、槍、弓、法器がありクエスト報酬やフィールド上の宝箱での入手の他、こちらも祈願で強力なものを入手可能な仕組みです。また、複数装備することで特殊効果を発揮する「聖遺物」というアクセサリーも存在しています。
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RPG的な強化要素としてはクエストやアイテム使用で得る経験値によるレベルアップ、レベル上限を引き上げる「突破」、同一キャラクターを複数獲得していくことで上昇する追加能力「命ノ星座」などがあります。また、武器や聖遺物にもレベルの要素があり、基礎ステータスを上昇可能。また、武器についてもキャラクター同様、複数獲得によって特殊能力の数値を引き上げることができます。
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「元素」による奥深い戦略!
本作の重要な要素として設定された、世界に影響を及ぼす「元素」。いわゆる他のゲームの属性にあたるもので、風、炎、水、氷、雷、岩、草の7種類が存在しています。各キャラクターは特定の元素に該当する各種スキルを使用することが可能です。各々の元素スキルは、水を凍らせて足場を作る、ツタを燃やして道を開くなどのギミックに使用できるほか、戦闘で他の元素を組み合わせることで「元素反応」と呼ばれる特殊な効果を引き起こすことができます。
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ツタを燃やせれば……?
例えば「水」と「雷」を同時に与えた場合、対象は「感電」状態となり一定時間ごとに大きくダメージを与えることが可能。また、近くに「水」属性を受けている敵がいる場合はその効果は伝播していくため多数相手には非常に強力です。ほかにも「水」「氷」で「凍結」となり相手を行動不能に、「氷」「雷」では「超電導」となり相手の防御力を大幅に下げる効果が得られます。
この元素による属性付加はプレイヤーの攻撃だけでなく、敵モンスター自身が持つ属性を利用することも可能。さらに雨や水場での戦いでは全体に「水」属性が付加されるなど、天気や地形も影響します。なお、主人公の初期属性「風」は敵の元素状態を拡散させて効果を拡げる強力な効果があります。
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元素の組み合わせが大きく結果が異なる結果を生むことで、本作は、手に入れたキャラ次第で大きく戦略性が変わる奥深さを生み出すことに成功しています。キャラの武器と元素の相性パターンを試し、状況に応じたパーティー編成や得意なパターンをいかに作り出すかは、本作ならではの大きな魅力でしょう。なお、ダンジョン攻略前には「必要な元素」が提示されるため準備は万端に行えます。
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快適な冒険は地道なプレイから!
本作には、探索やメインストーリー以外にもさまざまな遊び方が存在しています。プレイヤーの冒険ランクが一定以上になると使用できるようになる「冒険の証」では、1日4つのクエストをこなすことで報酬を得る「デイリー依頼」、特定のモンスターを倒す「討伐」などを受注可能になります。さらに時間回復アイテム「天然樹脂」を使用してフィールドやダンジョンに存在する特定オブジェクトを開放することで、育成用アイテムなど貴重な報酬を得ることが可能です。これらは、クエスト以外で経験値を得ることが可能な貴重な機会です。
また、モンド城など主要な拠点に存在する冒険者協会では、冒険ランク達成やデイリー依頼の報酬を受取可能。パーティー外の仲間をエリアに派遣して素材などを獲得する「探索派遣」を行うこともできます。
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全体に高いレベルでのオープンワールドRPGである本作ですが、注意する点としては、これまで紹介してきた多くの要素が冒険ランクによって開放されていくものであるということ。冒険ランクはメインクエストを中心に進めていくことである程度までは上がるのですが、一定以上になると上げづらくなっていきます。毎日確実に経験値を得ることができるデイリー依頼開放は冒険ランク12から、主要な要素をすべて開放するためには冒険ランク20が必要です。
本作では他のプレイヤーと一緒にさまざまな任務や秘境探索を楽しむことが可能なマルチプレイも用意されており、友人とともに遊べるだけでなく、派手で強力な元素反応も起こしやすく、戦闘を容易にする魅力的な要素となっています。しかし、マルチプレイが可能になるにはメインストーリー進行と冒険ランク16が必要。新しくはじめたフレンドとすぐに遊びづらいのは難点のひとつでしょう。
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また、本作ではローンチ時点ではガチャ要素「祈願」をある程度利用しないとキャラクターや強力な武器を入手しづらいという部分があります。武器についても、星3の武器と星4レアの武器ではかなりの性能差を感じる作りです。
キャラや武器は、同じものを重ねて大きく性能を向上させることを含め、快適なゲームを行うためにどうしてもある程度のガチャ利用を要求されるシステム設計です。デイリー配布(サービス開始時点)やクエストなどでガチャ用のアイテムは入手可能なため、ある程度は無料でのガチャ利用が可能なのは救いでしょう。
ただし、最高レアリティの星5キャラクターのガチャ排出率が「0.6%」のため、キャラクターを獲得するのはなかなか厳しい印象。記事執筆時点では、特定キャラの有無で攻略が不可能になるバランスではありませんが、やはり操作キャラクターはなるべく多く所有したいのが素直なユーザーの本音ではないでしょうか。
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同様に、本作に用意された、そのほかの時間回復の要素やデイリー任務などは、どうしてもソーシャルゲーム的な部分を感じさせる作り。ゲームプレイそのものは楽しく自由であっても、様々な要素の制限や、その開放までの時間でどうしても「不自由」を感じさせられる部分があることは否定できません。また、ギミックやスキルなど要素が多い本作では、どうしてもモバイル版での操作性に多少の難を感じさせています。
『原神』は、細部まで飽きることなくオブジェクトを配置したオープンワールドゲームとしてのマップ探索の楽しさ、「元素」の設定を生かしキャラの数だけ存在する組み合わせの戦闘の奥深さなどを備え、プレイしていて非常に楽しい、遊べば遊ぶほど魅力が増していくゲームだと思います。グラフィックも素晴らしく、これが基本プレイ無料のゲームとして提供されていることに驚くべきクオリティの一作です。
一方で、その素晴らしいゲーム部分と、ソーシャルゲーム的な制限の強い基本無料のオンラインゲーム部分が微妙に噛み合っていない印象は、通常のパッケージ作品と比べた際の本作の楽しさや評価に大きく影を落としています。しかし、逆説的に言えば「毎日コツコツ遊ぶことを要求されている」作りとして、その分じっくり世界を堪能できる、と言えるだけの完成度を備えたゲームであるのは本作にとって救いでしょう。
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なお、本作はアンチチートプログラムがバックグラウンドで動作し続ける問題や、iOS14上でクリップボード情報を自動的に読み取ってしまうという「不具合」が報告されるなど、サービス開始以来いくつかの問題を抱えてきました。これらの問題は現在すでに修正しているほか、「あらゆるプレイヤーの個人情報や利益を損なう行為をいたしません」との公式発表を行っています。
もちろん今回の「不具合」の動作を受けたプレイヤーの嫌悪感や、そこから来る不安などを否定することはできません。また、こういった出来事を経て「プレイしたくない」と思うプレイヤーが多数存在するであろうことも理解しています。しかし、現在さまざまな場面でただの邪推、もっと言えば誹謗中傷になりかねない指摘や意見を散見することがあります。
筆者としては、不具合が発覚して即座に修正している件に関しては一定の評価を行うべきだという考えを持っていますし、現在公式発表されている以外の部分に関しては特に言及することがない、というのが現在の思いです。
総合評価:★★☆
良い点
・美麗で親しみやすいグラフィックやキャラクター
・地形の隅々まで探索可能な圧倒的自由度
・「元素」を使用した戦略性の高い戦闘
・基本プレイ無料とは思えない総合クオリティ
悪い点
・初期はスタミナ不足で移動にストレスがたまる
・各種のゲーム要素の開放がどうしても遅い
・強力な装備やキャラの入手がガチャに頼りがちとなる 《Mr.Katoh》
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