
Blizzard Entertainmentが開発・提供するデジタルカードゲーム『ハースストーン』。最新拡張版「荒ぶる大地の強者たち」が3月31日にリリースされ、丸5日が経過しました(執筆時点)。日本人プレイヤー限定の公式大会「ハースストーン JAPAN CUP」を週末に控え、どのデッキやカードが強いのかある程度固まってきた印象です。
本記事では、そんな「荒ぶる大地の強者たち」の環境を筆者のプレイ体験に加え、ハースストーン情報サイト「HSReplay.net」を用いた分析結果とともにレポートしていきます。リリース初日からどっぷり遊んで理解が深い読者の方や、スタートを出遅れてしまい新環境に揉まれている読者の方も、私と一緒に「荒ぶる大地の強者たち」の環境について振り返ってみましょう!
なお、新環境初期はメタが流動する傾向にあるので、本記事に書かれている内容は参考の1つ程度に考えていただけると幸いです。
新拡張で使用率の高いクラスについて
酒場の住人達はレジェンドランクを目指し、夢を追い続ける。世はまさに、大パラディン時代!!
個人的にはそんなに?と思っていましたが、現時点でデッキパワーが特に強いのは「パラディン」です。「秘策パラディン」「ほうきパラディン」「聖典パラディン」の3種類すべてにおいて安定した勝率が叩き出されています。筆者はブロンズからゴールドまで「秘策パラディン」を使い、33戦中24勝9敗(勝率73%)。負け越したのはウォーロックのみでパラディン相手に引き分け、それ以外の全クラス相手に勝ち越しと明らかな強さが見られました。新拡張で追加された「戦没者の剣」が単純に強いカードであり、「ノースウォッチの指揮官」のミニオン補充も強力です。


主な勝ち筋は「クロスローズのうわさ屋」を高スタッツにして対応できなくさせる、4マナ目「ゴーレム造形師カザカス」から5マナゴーレムを作り盤面有利を押し付ける、アップグレードした「信念」による+6(9)点リーサルなどです。盤面のミニオンが強い場面では返そうとした呪文に対して「おおヨグよ!」が突き刺さるので、常に秘策を準備するのではなく相手のカウンターや「クロスローズのうわさ屋」を効果的に使える場合に秘策を大量に準備しましょう。


秘策に対する理解が深く、地力が求められるレジェンド帯では中盤以降が強力な「聖典パラディン」の使用率と勝率が最も高いです。
「強欲な壺」が実装されたノーミニオンメイジ
勝率の高さではパラディンが圧倒的でしたが、スタンダードのランク戦で最も使用率の高いデッキは「ノーミニオンメイジ」です。全てのデッキタイプを合わせたパラディン全体の使用率が約15%なのに対して、ノーミニオンメイジの使用率はパラディンより10%以上高い約25%と圧倒的な使用率を誇っています。現環境の『ハースストーン』はスタンダードランク戦で2回に1度はノーミニオンメイジがいるという環境です。新拡張からは「ルーン・オーブ」と「爽やかな湧き水」が採用されているデッキが多いですね。


特に「爽やかな湧き水」は、ほとんどの場合で呪文を2枚引くことができるので実質0マナ2ドローの「強欲な壺」です。またバフや聖なる盾、そして番所に対して「退化の矢」が強いこともノーミニオンメイジが高く評価されている理由でしょう。リメイクされたクトゥーンはレシピ上はミニオンですが、ゲーム内では砕けて4種類の呪文になるのでノーミニオンメイジでも使用可能、最終盤のフィニッシャーとして活躍します。
現環境のノーミニオンメイジには「粉砕されしクトゥーン」を採用して終盤の動きを強くするタイプと「狂気のデッキ」を採用してマナコストに対してのカードパワーを強くするタイプの2つがあります。個人的に使っていて楽しいのは爆発力の高い「狂気のデッキ」採用型でした。


最終盤は「変妖」カードが猛威を振るうコントロールウォーロック
メイジに次いで使用率が高いクラスは「ウォーロック」です。現環境のウォーロックは「変妖」をふんだんに詰め込み、「背徳の魔手ヤシャラージュ」をフィニッシャーに置く「コントロールウォーロック」がほとんど。「荒ぶる大地の強者たち」で追加されたレジェンドカード「タムシン・ローム」で除去系の「影」呪文を連発できるので、相手がリソースを使い作った盤面を除去呪文1枚で完封できてしまうこともしばしばあります。決め手を失っている間に着々と変妖したカードを使いヤシャラージュでとどめを刺す、勝ち筋がはっきりしているコントロールデッキです。


終盤までゲームを長引かせることができれば負け無しなのですが、序盤で作られた強い盤面を返せなかったり上手く変妖できないと勝つことが難しいため、コントロールデッキとしては安定性は普通程度。使用率が高いがぶっ壊れデッキではないという感想になりました。単純にメイジやパラディンが強すぎますね、比較対象が悪いです。
新拡張の強いクラスをメタる!一押しデッキ
ここからは、上記で挙げた強デッキ達をメタれるデッキを紹介していきます。
「ノーミニオンメイジ」に強いデッキ3選
ノーミニオンメイジに対して強いデッキの3選として、「フェイスハンター」「毒ローグ」「ステルスローグ」がHSReplay.netのTwitterで挙げられていました。
君がッ降参するまで殴るのをやめないッ!フェイスハンター
従来までの「フェイスハンター」は各環境に一定数現れるその名の通り”敵の顔面に全てのリソースを注ぐハンターで7マナまでに削り切れなければほぼ負けという脳筋タイプのデッキです。
「荒ぶる大地の強者たち」からは「コルカーの群れ追い」で顔面を詰めながら盤面のミニオンに打点を割けるようになったこと、逆上持ちの「サンスケイル・ラプター」と「ウォーソングの獣飼育者」でスタッツの強化されたミニオンを展開しやすくなったのが追い風になり、ダイヤモンド以上のランクで評価されているようです。


盤面が取られるなら「武器」を使えばいいじゃない。毒ローグ
「毒ローグ」はセオリークラフトで筆者も触りましたが、武器が引けなければ難しいと感じていました。紹介されていたレシピでは「自己研鑽の剣」と「猪牙の利器」を採用しておりそれぞれの武器を毒で強化しながら、憎き「ペン投げ野郎」や「凶悪なる一撃」で積極的に敵ヒーローにダメージを蓄積させてバーンする動きが主軸となります。
「ノーミニオンメイジ」の特徴は盤面除去リソースの多さや「退化の矢」による弱体化が強力なことですが、武器やヒーローに対して影響を与えるカードが少なく、メイジ側がローグの行動を制限することが難しいため有利なマッチアップになるのかなと思います。呪文の対策として「教団の新入会員」が2枚採用されているのも特徴ですね。


「ステルスローグ」に関しては「荒ぶる大地の強者たち」のカードが採用されていなかったので割愛します。
ここで紹介した3つのデッキは「ノーミニオンメイジ」だけでなく「コントロールウォーロック」に対しても有利が取れるデッキなので、現環境で使用率1位と2位のデッキに対して強いデッキになります。
「パラディン」相手は「番所」を立てて嫌がらせ 番所ローグ
全体的に見て現環境のパラディンは相当壊れているのですが、ランクが上がるにつれて使用率が伸びているパラディンでもメイジでもないデッキが1つありました。それがパラディン全般のマッチアップに対して勝率が高い「番所ローグ」です。
秘策や聖典でテンポを取っていきたい相手に対してスタッツが高く敵の行動を制限できる2種類の番所が刺さっているようです。また「ペン投げ野郎」と「景品横取り野郎」のダブル野郎が聖なる盾を剥がしやすく、一度取られた盤面を返しやすいのも特徴。「ジャンディス・バロフ」や「カーガル・バトルスカー」+「影隠れ」のコンボは現環境屈指の展開力を持ちます。


「番所ローグ」はデッキの回転率が高く1ターンにできることが多いことが強みですが、デッキ全体が持つ火力が少なめなので盤面と敵ヒーローへのリソース配分を間違えてしまうと失速してしまいます。プレイングが難しい分強力なデッキなためランクが高くなるにつれて使用率が増加しており、評価が高くなっているのでしょう。
「荒ぶる大地の強者たち」現在の環境は
- 「パラディン」と「メイジ」が全体的に強い
- それぞれに対してカウンターデッキがいる
- それぞれのカウンターデッキに対して「パラディン」「メイジ」どちらかのクラスが強い
という状態であるとわかりました。今後、メタの研究が進んだりカードの弱体化が発表されることで均衡は変わると思いますが、個人的には現環境でどうすればメイジに勝てるか?を考えていきたいところです。このデッキが面白かった、このカードも強いなど、読者の皆さんからの情報もお待ちしております!
《ばるたん》関連リンク
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