『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】

禁足地さながらの実体験に行ってみよう!

連載・特集 特集
『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】
  • 『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】
  • 『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】
  • 『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】
  • 『モンスターハンターワイルズ』3月はコントローラーを置いて旅に出よう、実際に観に行ける驚きの地形絶景【ゲームで世界を観る#93】

携帯機での展開を経て『モンスターハンター:ワールド』(以下、ワールド)より据え置き機に再び戻ってきた『モンスターハンター』シリーズ。ハイパワーを活かしてモンスターが闊歩する巨大な世界を表現することに成功しました。最新作『モンスターハンターワイルズ』(以下、ワイルズ)ではさらに一歩進めて「群れ」の表現がスケールアップしており、今頃はイヤンクックにもみくちゃにされているハンターも大勢いるに違いありません。

今回も目を瞠るような奇想天外な地形が舞台で、見上げるような岩壁や巨樹に慣れるには時間がかかりそうです。龍結晶の地の柱状節理のように、スケールこそ及ばないものの地球上で実際に観ることができる現象もあります。

川の水が赤くなる現象は、ペルーのパルケッラ・プカマユ(Palquella Pucamayu)、オーストラリアのバサーストが有名です。それぞれ赤くなる原因は別ですが、いずれも水を赤く染める成分が流れ出すために起こる現象です。

グランツーリスモ』に登場するレース場でも有名なバサーストは、植物の「ボタングラス」からでるタンニンによって、雨が降ると紅茶のように赤い水が染み出します。それが川に流入して「緋の森」と同様の赤い川の光景を生み出しているのです。赤い川はすぐそばの湾に流れ込み、湾全体をも赤い海にしてしまいます。そこでは通常の海よりも光の届く範囲が浅くなり、光が苦手な深い場所に住む深海生物が住める環境になっています。普通なら500~1,000メートル潜らなければ見つけられないような生き物が、このバサースト湾では数メートル潜っただけで発見できるといいます。

新種も続々発見されているスポットで、実際のサイエンスにおいても注目の場所といえるでしょう。日本でも規模は小さいですが、沖縄・中城(なかぐすく)の海岸でも春先に発生するとのことで、こちらは海藻のカゴメノリから出るタンニンによって赤くなるのだそうです。

パルケッラ・プカマユの方は上流から流出する赤土が色の元。こちらはやや明るく鮮やかな色合いで、ちょっと非現実感が増していますね。

タールの湧き出す場所は古代から防腐剤や接着剤など人類の利用があり、国内では秋田県潟上市豊川にあるタールピットが有名で、現在では油田として天然ガスの生産を行っています。着火の可能性や工業化で直接見られる場所は少なくなりましたが、ロサンゼルスではなんと市街地のど真ん中にラ・ブレア・タールピッツがあり、博物館として整備された公園でじっくりと観察することができます。

タールを含む石油分は、かつて海洋に沈んだ生物の死骸が変質して生み出されたもの。油湧き谷も数千年、数億年の昔は豊かな海だったと想像できます。ゲーム中では歩いてタールの中に入っていけますが、実際のタールピットは深さが分からない底なし沼。タールピットの中を探ると、落ちて溺れた古代生物の骨がたくさん見つかるそうです。くれぐれも迂闊に足を踏み入れたり、火気を近づけたりしないように……。

『ワイルズ』の物語を進めていくと「リュウヌ」という謎の物質が作り出す景観にも出会います。鍾乳石に似たような形状が特徴的で、リュウヌは石灰質、水を含んだセメントのような性質なのでしょう。鍾乳石は水の雫が流れるところ、溜まるところに石灰質が固着して成長していき、中には「ストロー」と呼ばれる管状になる場合もあります。雫が溜まるときに周辺から凝固が進み、中心部に水の通り道を残したまま伸びていくのです。リュウヌの凝固スピードや流れ方によっては、ステージ中で観られるような網目状の結晶もあり得るかも知れません。

年中を通して氷の絶景が観られる場所は、山梨県の青木ヶ原樹海にある鳴沢氷穴が有名です。富士山の側火山である長尾山の噴火(864年)による溶岩流でできた洞窟で、奥の方は常に0度前後に保たれており、繰り返される水の融解と凍結によって巨大な氷柱が形成されています。冷えるメカニズムに関しては諸説ありますが、吹き抜ける風が熱伝導率の高い玄武岩に冷却されて、外の熱は途中で分散されてしまうと考えられています。

今作にも様々な新種のモンスターが登場しますが、全ては住む場所の地形が先にあり、生物はそこに適応する進化を遂げていきます。つまり、真の主役はモンスターを生み出す自然そのものである――『ワールド』『ワイルズ』ではその領域まで表現が到達したと言えるでしょう。


ライター:Skollfang,編集:宮崎 紘輔

ライター/好奇心と探究心 Skollfang

ゲームの世界をもっと好きになる「おいしい一粒」をお届けします。

+ 続きを読む

編集/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top