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最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」です。
今回はインディーデベロッパーKofi-SによってSteamにてリリースされた、ただ肉を殴るゲーム『Meat Beating: No More Horny』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Meat Beating: No More Horny』とは?
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本作はただ肉を殴るゲームである。それ以上でもそれ以下でもない。
そもそもなぜ肉を殴る(叩く)かご存じでしょうか?肉に含まれる筋繊維のほとんどは水分。肉を叩くことによってこの筋繊維が壊れ、料理した後の水分が増えるそうです。肉をよりやわらかく、そしてジューシーにするために叩いているのです。
しかし、海外では「肉を叩く」とは別の意味も持ちます。タイトルにもある「Meat Beating」を直訳すると肉を叩くですが、「Beat」は「ヤる」というスラングで使うこともあります。そして「Beat my meat」で「自慰をする」という意味になります。そして「No More Horny」は「もうムラムラしない」。つまり『Meat Beating: No More Horny』は二重の意味で「ムラムラして自慰をしないために肉を叩く」といった感じでしょうか。単純な作業は煩悩を払うのにもちょうど良さそうですね。さっそく心を無にして打ちこんでいきましょう。
『Meat Beating: No More Horny』の実内容に迫る!
まず、内容を紹介していく前に言っておかなければならないことがあります。本作には肉を叩いた回数によってランキングが表示されるのですが、筆者は記事執筆時点で世界ランキング1位となっています。なのでここからは、このゲームを一番極めたといっても過言ではない、そんな筆者によるトップランカーの目線でご紹介していきます。
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ゲームを起動すると左右に説明書きと、ランキングが表示されています。自分の名前を入力するとさっそく肉を叩く仕事が開始。操作方法は最初に説明した通り、いたってシンプルです。マウスの左クリックで左拳。右クリックで右拳を繰り出します。そう、たったこれだけです。あとは無心で打つべし。
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ゲーム画面は異様な空気を醸しています。脂身が少ないことから、おそらくヒレやランプの部位であろう牛肉がなぜか直立しており、時折身をくねらせます。そもそもここはどこ…?
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ペチッペチッと拳を振り出すと、右上のカウンターが叩いた回数により増加します。では、あとはひたすらクリックしてればいいかといえば違うところがこのゲームの難しいところです。本作では肉を叩いていると、ランダムなタイミングで画面上部に「STOP」と表示されることがあります。この状態でクリックしてしまうとゲームオーバーです。美味しい肉を生み出すには、寝かせる時間も必要ということでしょう。たぶん。
「STOP」が表示されている時間もランダム。数秒で終わることもあれば、数分も続くこともあり忍耐力が試されます。興奮しすぎないように手を休めましょう。その後、画面上部に「CONTINUE」と表示さたら、再び無心で叩く作業です。
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通常のクリッカー系のゲームと違いこの「手を止めなければならない時間」があるので、長時間このゲームを眺め続けるのは苦痛でしかありませんでした。僧の修行を積んでいない筆者は、集中力もなければ普段から煩悩にまみれています。では、いかにして世界一位まで上り詰めたのでしょう。答えは簡単。アニメ観ながらやってました。世界一位の秘訣はアニメです。おすすめはほのぼの日常系ですね。
そんなこんなで、アニメ視聴と肉叩きのマルチタスクをこなしながら、ついに1万回の大台を超えました。このあたりからランキング上位も見えてきます。叩いてはアニメを観て、そしてまた叩く。しかし、ここにきてアニメの雲行きが変わってきます。今までほのぼの日常系だったはずが、最終回直前で急に人間関係の軋轢が発生。そんな状態に、今まで無心で肉を叩いていた筆者の心も乱れます。
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気づいたときにはもう遅く、指は勝手にマウスをクリックしていました。「STOP」の表示があるにもかかわらず。
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この時点でランキング11位。ここで終わってもよかったのですが、何をとち狂ったのか無意識に再スタートボタンをクリック。もうアニメではヒロインと主人公が結ばれて、ハッピーエンドを迎えていました。しかし、筆者の挑戦は終わりを告げていません。
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1万回。そして2万、3万と肉を叩き続けます。プレイ時点の世界ランキング1位は約34000回。あまりにも遠くに見えていた1位の姿も既に目の前です。
ここまできたら1位を取る、ただそれだけで指が動いていました。そして、気づけば自分の前には誰もいませんでした。ついに成し遂げた達成感。そんなものはありません。記録は4万回を超えています。
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順位を不動のものとした今、ここからは記録との戦い。まるで、フルマラソンで独走状態のランナーのような気持ちです。知らんけど。
「もう、ゴールしてもいいよね」そんな気持ちも芽生えてきましたが、指が止まることはありません。このあと訪れる悲劇も知らずに……。
せめて5万回肉を叩く実績まで続けよう、そう思っていました。すでにこの時、記録は48000回を超えています。しかしその直後、「You've fallen to far into the horny.」の文字が現れます。「ムラムラしてしまった」ようです。あたまはまっしろ。なにせ「STOP」の表示はなかったのですから。
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バグという不本意な終わりを迎えましたが、憤慨や落胆は不思議とありませんでした。例えるなら解放感。受刑者が刑期を終え、釈放される時は、きっとこんな気分なのでしょう。
ちなみに実績は、5万回の後も10万回そして、100万回と続くので、まだ誰も持っていない実績が欲しいという方は挑戦してみてはいかがでしょうか。100円で肉を好きなだけ叩くことができ、煩悩を消せる素晴らしいゲームです。そしてこのように叩かれた肉は、私たちのもとに届けられるのでしょう。知らんけど。