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今回のGame*Sparkレビューはグランゼーラが開発・販売を行うサイドビューシューティングゲーム『R-TYPE FINAL 2』です。2019年4月1日に発表された本作は同年6月にクラウドファンディングを実施し、何度かの延期を経て2021年4月29日にPS4/ニンテンドースイッチ/Xbox One/Xbox Series X版が、5月1日にPC版がリリースされました。
『R-TYPE』は、コナミの『グラディウス』とタイトーの『ダライアス』に次ぐ「横スクロールシューティング御三家」と数えられる人気作。今回発売された『R-TYPE FINAL 2』は、前作『R-TYPE FINAL』から実に18年ぶりのシリーズ最新作となりました。本記事ではPC版を使用してのレビューをお届けします。
シリーズ再始動の一作なるか
シリーズの他作品同様、横スクロール(サイドビュー)シューティングゲームとして登場した『R-TYPE FINAL 2』。シリーズを振り返ると、1987年の第1作目『R-TYPE』(アイレムが開発)がアーケードにその姿を表した後、2年後の1989年には更に難易度が上がった『R-TYPE II』も稼働が開始。そしてナナオが開発した外伝の『R-TYPE LEO』が1992年に登場しています。
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一方で、1993年以降に登場した『R-TYPE III』や『R-TYPE DELTA』、そして『R-TYPE FINAL』は全てコンソール向けに発売されてきました(『II』アレンジ移植の『SUPER R-TYPE』もSFC向けとして1991年に発売されている)。
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その中でも、今作の直接の前作に位置する2003年発売の『R-TYPE FINAL』はシリーズ最終作とされ、以降STGシリーズとしては一旦の幕を下ろした状況となっていました。(なお、後にジャンルの異なるストラテジーの『R-TYPE TACTICS』が2作品リリースされています)。
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『R-TYPE FINAL 2』は18年ぶりのシリーズ最新作という立場だけでなく、「弾幕+その場復活」が主流であった00年代以降のSTGジャンルのメジャー作品として久々に登場する「非弾幕+戻り復活(被弾時全ロスト)」のシューティングゲームです。
STGとしての基礎はそのまま、複数回のプレイをより意識させたゲームシステム
最初に『R-TYPE FINAL 2』のシステムを紐解くと、最初に述べた通り本作は、上下左右に自機を操作しながら左から右に動く背景を進み(例外もある)、出現する敵やボスを機銃と波動砲で倒して全ステージクリアを目指す横スクロールシューティングです。
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『R-TYPE』シリーズが特徴としているのはフォースによる絶対的な防御と攻撃。この点は『FINAL 2』でも引き継がれており、フォースは絶対に破壊されることはなく(敵の攻撃が貫通して自機に当たることはある)、自機の前後に装着して攻撃方法を決める他にも、分離して火線を増やすことや敵に直接ぶつけて破壊出来ます。さらに一定量のダメージをフォースに蓄積させるとボムとして発動出来るDOSEシステムも搭載しています。フォースに限らず、シューティングゲームとしての本作は基本的には、前作『R-TYPE FINAL』の要素を引き継いでおり、ビットとミサイルもそれぞれ装備出来るものの中から選択可能です。
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本作で新たに追加変更された機能としては、デカール・カラーリングなどの機体外見のカスタム要素、コースエディット、タイトルエディット(文字通りタイトルを変えられる)、機体のアンロック方式がプレイで得られる資源の消費式に変わったことなど(前作では機体のプレイ時間だった)。
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特にコンティニュークレジットはPC/コンソールという状況を意識してか、最初2クレジットしかなかったものが、プレイする度に2から10、30と徐々に増加。最終的には無限になります。他にも、プレイ開始時演出で選べる4種類の選択肢や、昇進時の専用台詞などを通じて没入感も得られやすくなっています。
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ステージクリア時に取得できる3種類の資源、エーテリウム、そしてバイドルゲンは、前述の通り機体解放に使用できます。特定の系譜の機体をアンロックし続けると、その系譜に応じた強力な機体を入手可能で、関連した全研究が終わるまでの期間を記した碑石が見られるのも少し嬉しいところです。
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そういった要素の存在を踏まえると、低難易度で資源を稼ぎ、特殊で高性能な機体をアンロックして高難易度に挑戦することが、メタ的に想定された本作のゲームプレイのサイクルと言えるでしょう。
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『R-TYPE FINAL 2』で改めて突きつけられる『R-TYPE』らしさ
『R-TYPE FINAL 2』は全7ステージで、かつ途中分岐ありのマルチエンディング構成です。分岐はステージ5.0で取得できる特殊なクリスタルを4つの中から1つ選び取ることで、次のステージが6.0・6.1・6.2に変化。ステージ6.0からは7.0、ステージ6.1からは7.1、ステージ6.2からは7.2へとそれぞれに分岐します。
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全体を俯瞰すると、初代『R-TYPE』のステージ1の構成に近い放棄されたスペースコロニーを舞台にしたステージ1.0に始まり、以降ステージ2.0は植物系、ステージ3.0は巨大戦艦、ステージ4.0はグロテクスな生物系、ステージ5.0は水中とそれぞれ『R-TYPE』的な特徴を備えたステージ構成となっているのも特色。
ラストステージも『R-TYPE』というシリーズが持っているグロテスクな側面を現しており、ステージ7.0の大量の次元戦闘機が廃棄されている「次元戦闘機の墓場」や、ステージ7.1のプレイヤー機がバイドに浸食された機体で戦う「見覚えある宇宙都市」、そしてステージ7.2の「バイドの星中枢」など一見の価値があるグラフィック表現です。
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『R-TYPE』シリーズは、伝統的に初見殺しなステージギミックが多く(突然敵機が上下左右から出現して挟み撃ちに合うなど。初代ならステージ6のコンテナが筆頭)、実際のプレイはもちろん、それで足りないならば外部の映像や文章から攻略情報を得て、ステージ突破方法を組み立てる必要がありました。他の横STGの代表格である『ダライアス』や『グラディウス』と比べても、『R-TYPE』は復活パターン(撃破されてから丸腰の状態で装備を調えつつチェックポイントを突破すること)や攻略パターンを構築する要素が強めです。
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また難易度は全部で7段階。最低難易度が「プラクティス」で3段階目に「ノーマル」、5段階目に「R-TYPER」と設置され、「R-TYPER」をクリアすると更に難しい「R-TYPER2」と「R-TYPER3」が解放されます。
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それらを踏まえた上で、『R-TYPE FINAL 2』がどうであるかを紐解いていくと、今作もシリーズの慣習から外れておらず、初プレイ時は最低難易度プラクティスでもコンティニュークレジットが尽きるほどの難易度。特にプレイし始めてから1時間程度は、当たり判定の大きさによる違和感や、昨今のSTGとは異なる被弾時装備全ロストへの衝撃、そして戻り復活時の復活パターンを構築するのが難しく、心が折れてしまうような悔しさもありました。
しかしながら、PC/コンソールならではといえる無限コンティニューで何度も挑戦し、復活パターンを作り上げてクリアした時の感動が大きく「諦めないで良かった」と思う瞬間でした。『R-TYPE FINAL 2』の魅力は、難しさを持ち合わせながらも何度も挑戦したくなる「戻り復活」と「無限コンティニュー」に現れていると言えます。
この「戻り復活」と「無限コンティニュー」。2021年のゲームシーンを振り返ると、これらを搭載した高難易度のゲームは、今日ではいわゆる「死にゲー」として知られ、幾多のゲームにおいて愛されているものと同じなのではないでしょうか?
『R-TYPE』、ひいては戻り復活のシューティングゲームがあくまで“伝統”として長年維持していた要素は、2021年においても形を変え、生き残っていた。そのことに気づかせてくれた『R-TYPE FINAL 2』は、シリーズ最新作としての軸をぶらさずに2021年の令和へと時代を跨ぐことができたタイトルにほかならないでしょう。
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その観点で本作を見直すと、攻略の構築そのものだけでなく、難易度にあわせ、今まで構築したパターンを変化させて挑戦する面白さ、特にプレイヤーの腕前が上がった結果得られるノーミスクリアの快感は折り紙付きでしょう。
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一方で本作は、調整不足により、ゲームプレイを台無しにしてしまっている点もいくつか見受けられます。自機の当たり判定はグラフィックからのプレイヤーの想定よりも非常に大きく、逆にフォースの防御範囲はプレイヤーの想定よりも大幅に小さい。特にビジュアル面での想定とのズレはプレイヤーにとってストレスで、死にゲーとしての楽しさともズレた部分。「理不尽」は死にゲーとしての楽しさにはつながらないでしょう。
他にも調整不足を疑う部分としては、一部ステージの演出が上手く機能していないこと、波動砲チャージ速度と威力が全体的に低いと思えること、一部反射レーザーなどの輝度が明るすぎて画面が見にくいこと、各難易度のDOSEゲージの貯まりにくさなど小さな不満点が数多くあります。
中でも、特にステージ3やステージ7.1の後半は、背景演出なのか自機への攻撃なのかわからない場面が多く、避けて戦えばいいのか迷うようなゲームプレイになってしまうこともありました。Unreal Engine 4を利用した美しいグラフィックそのものは、おどろおどろしい生物系バイドのビジュアルとあわせ、昨今のSTGと比較しても非常に美麗で素晴らしいだけに、ゲームとしての視認性がそれに伴わなかったのは多くのユーザーにとって不幸な所でしょう。
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他にも、戻り復活自体は楽しさではありながらも、難易度がいたずらに高いことも否定しづらく、ミスした後は効率を考えてステージ1.0から再スタートすることも多々ありました(プレイヤーの被弾率とサイビットもメインのR-9LeoとR-9Leo 2を考えれば、ビットを搭載したPOWアーマーは全ステージに必ず1回出現しても良いぐらい)。カジュアル的な楽しさと「死にゲー」的な楽しさを両立させるには本作は文字通りに調整不足といえます。
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ここまでプレイヤーと肌感覚を合わせられなかったのは、2020年のゲームイベントでのプレイアブル出展によるフィードバックや、バッカー向けのベータ版が配信出来なかったこと、そして体験版の配信が遅れた影響が色濃く出ているように思えます。
とはいえ、現代のタイトルは後の調整が許される世界。筆者が本作の発売直前に行った本作のインタビューでチーフクリエイターの九条氏に聞いたところでは、「2年先までアップデートを続ける」とのことなので、積極的な追加ステージや機体などのコンテンツ配信だけでなく、「グランゼーラの集い」の復活なども含めたユーザーとの継続的なコミュニケーションで調整を最後まで続けて欲しいと思えます。
『R-TYPE FINAL 2』はシューティングゲームの『デモンズソウル』となるか?
『R-TYPE FINAL 2』は、前述した通り「死にゲー」的な要素が強く、プレイヤーがその内容に適合するかが問われてしまいますが、それを乗り越えると復活パターンを構築する面白さや、腕前そのものの上達から一騎当千さを味わえる面白さに溢れています。
しかしながら、自機・フォースの当たり判定をはじめ、まだまだ多くの調整が必要な完成度であると言わざるを得ないのも事実。ステージ演出の改善などは、ゲームプレイにも影響するため簡単に変更できない部分にも見えますが、なんとかして欲しいところでしょう。本作の面白さは、様々な第一印象の悪さを通り過ぎた先にあるので、少なくともその方向性に適応できるユーザーを大切に、指摘されている要素を検証・修正し、不満点を確実に潰してくれればと思います。
決して完璧なゲームではないものの、難しくも面白い「戻り復活」を再び世にアピールしたシューティングゲームとなった『R-TYPE FINAL 2』。シビアなゲームの魅力を再発見させた『デモンズソウル』のように、一種のスタンダードとして今後のSTGジャンルに火を繋いでいけることを願わずにいられません。
・戻り復活における復活パターン構築の面白さを再発見
・UE4による美麗なグラフィック
・自機のカラーリングやデカール編集などカスタマイズ機能が充実
・DLCによる追加ステージ配信
悪い点
・大きすぎる自機の当たり判定(敵弾だけでなく地形にも引っかかる)
・DOSEシステムが形骸化している
・ザコ敵やボスの攻撃において予備動作の描写が不十分
・通常地形かダメージ地形なのか区別が付きにくい地形