気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、TendoGames開発、PC向けに9月29日に正式リリースされたゾンビサバイバルホラー『Them and Us』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は1978年のアメリカを舞台としたサバイバルホラー。バス事故の生存者である若い女性アリシアが、周りの世界が変容していく理解不能な状況下で生きるために戦います。初代PS時代のサバイバルホラーを意識した様々な要素が特徴。日本語にも対応済みです。
『Them and Us』は、4,100円で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Vlad Yoshida氏(以下Vlad)皆さんこんにちは、Vlad Yoshidaです。ルーマニア出身ですが、今は日本でプログラミングやCG関係の様々な仕事をしています。
私が好きなゲームは、『バイオハザード5』『バイオハザード リベレーションズ』『NINJA GAIDEN Σ2』です。日本のプレイヤーの方々とオンラインでたくさん一緒にプレイしたのが、好きな理由だと思います。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Vlad本作は、古典的サバイバルホラーへのラブレターであり、そして自分のアーティストとしてのスキルを向上させるために開発を始めました。最初はアリシアのモデリングから始まり、「このキャラクターに命を吹き込み、歩かせたり、銃を撃たせてみたらどうだろうか?」と思ったのです。それが2014年、私が日本語学校を卒業した後のことです。
私は1998年以来、Unreal Engineでレベルデザインをしてきました。子供の頃からずっと自分でゲームを作りたいと思っており、「DBZ Heroes Of Our Destiny」という「ドラゴンボールZ」をテーマにした『Unreal Tournament 2004』のMod制作には4年をかけました。チームで毎日一緒に作業をし、キャラクターたちが実際に生き生きと動く様を見るのは本当に素晴らしかったです……。特に画面上で「かめはめ波」が見られた時には、チームメンバーの誰もが感動しましたね。
――本作の特徴を教えてください。
Vlad本作一番の特徴は、「なぜ最初からアリシアは逃げ出さないのか?」「なぜ彼女は事故に遭ったのか?」「なぜ彼女はベッドルームで目を覚ましたのか?」「なぜ誰も彼女の傷を恐れないのか?」「彼女には何が起こったのか?」「なぜ彼女は突然自分の娘を探し始め、現実にはないものが見え始めたのか?」「これは夢なのか、現実なのか?」と言った不思議な感覚ですね。
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――本作をどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Vlad本作はあらゆる人に遊んでみていただきたいと思っています。三上真司氏のような、私たちが影響を受けたサバイバルホラーゲームの有名な開発者の方たちにも、ぜひ遊んでみていただきたいですね。10年後にも、本作が皆さんの心に残る作品となっていると嬉しいです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Vlad私たちが大好きな古典的サバイバルホラーゲーム、私が好きな映画、本物のカルト教団、ルーマニアの民話や文化から影響を受けています。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Vlad嬉しいことに、開発への影響はありませんでした。私たちは地下室に篭り、本作の開発を進めたのです。しかし、ルーマニア行きのチケットを買った後で帰れなくなってしまったので、家族にはもう6年も会えていないのが、コロナの大きな影響と言えますね。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Vladはい、どなたでも自由にYouTubeやTwitchで配信し、収益化していただいて問題ありません。変な人が楽曲の権利を主張してきても、クラシックミュージックはすべてパブリックドメインです。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
(ここは日本語で回答いただいたので、そのまま掲載いたします)
Vladここまで記事を読んで下さりありがとうございます。日本の皆様は素晴らしいです!
早期アクセス時に購入、プレイしたり、ご意見ご感想を下さった方々には心から感謝しております。皆様がいらっしゃらなかったら制作を継続することは出来ませんでした。支えていただき本当にありがとうございました。
それから日本語翻訳において、ゲームに沿った表現にすべて編集して下さった「げーまーひゅうが」さん、3年前にこのゲームを見つけ掲載して下さったGame*Sparkさん、その記事からこのゲームを早期発掘して下さった人気YouTuber「島津の鉄砲兵@薩摩のホラーゲーマー」さんには特に感謝しています。この場を借りて御礼申し上げます。
既にご購入くださった皆様、誠にありがとうございます。またご関心を持って下さっていらっしゃる方々、インディーゲームとしては少し高めの価格設定になっておりますが、ボリュームはご満足いただけるゲームに仕上がっていると思います。是非遊んでみて下さい。もっと多くの日本の皆さんが楽しんだり、時には頭を抱えたり、達成感を味わったりしてプレイしている姿を見れる事を楽しみにしています。Thank you so much in advance!
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。