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「中華ゲーム見聞録」第95回目は、推理要素のある台湾産人気武侠アクションRPGシリーズ第2作目『天命奇御二』をお届けします。
本作は甲山林娯楽股份有限公司(甲山林娯楽)によって、2021年11月22日にSteamで配信されました。1作目を特集した「中華ゲーム見聞録」第4回目でも触れていますが、甲山林娯楽は不動産業を中心とする台湾・甲山林機構のグループ会社。グループ二代目の祝藝氏は、甲山林機構ブランドを広めることと、シングルプレイのPCゲームに対する熱い思いから甲山林娯楽を立ち上げ、1作目で多くのファンを獲得しました。
中国の武侠RPGはファンタジー世界が舞台になることが多く、特に近年はその傾向が顕著です。歴史改編に対する政府の検閲が厳しくなったことや、架空世界の方が自由に作りやすいというのが理由に挙げられるでしょう。前回紹介した武侠ファンタジーARPG『古剣奇譚 ~星夜に謡い継ぐ万世の夢~』は、フィールドにモンスターが当たり前のようにうろついているなど、西洋ファンタジーRPGに近い世界観になっています。
一方、本シリーズは金庸や古龍などの古典的武侠テイストを重視し、北宋時代を舞台にしたストーリーが展開されていきます。モンスターとの戦いではなく、人間同士の因縁が中心で、「古き良き武侠物」といった内容になっています。ファンタジー化の進む武侠RPG界においては、むしろ貴重な存在かもしれません。
本作の内容ですが、前作と同じく見下ろし型のフィールドで戦うARPG。前作よりもグラフィックは進化しており、「推理要素」も加わった、一風変わった内容になっているとのこと。一体どんなゲームなのか、早速プレイしていきましょう!
摩尼教の謎を追え!
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ゲーム内では明記されていませんが、舞台は前作から数十年後。自分で名前を付けられた前作とは違って、本作の主人公は「諸葛羽」という名前があります。熱血漢だった前作主人公と対照的に、本作はクールな雰囲気ですね。亡くなった父・諸葛衛の跡を継ぎ、難事件調査のために天下を渡り歩いています。
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ゲームは諸葛羽が生まれたところから始まります。誕生日を聞かれた後、子供時代の行動や性格など、いくつかの選択肢を選んでいくことで、キャラクターのステータスや得意武器などが決定されます。
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選択の結果、画像のようなステータスになりました。得意な武器は「剣」。攻撃力+8%、防御+2%のボーナスもあり、どちらかと言えば武闘派キャラですね。ちなみ結果が気に入らなければ、やり直しも可能です。
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ゲーム難度の選択。アクションが難しめらしいので、最初は「簡単」でプレイした方が良さそうです。それと「推理難度」も設定できます。本作はただのARPGではなく、事件の真相を暴くという「推理ゲーム」としての側面も合わせ持っています。難度を上げるとヒントが少なくなるようですね。
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ゲーム開始前のムービー。人々を惑わす摩尼教の教主を捕らえるため、陳巡検が兵士達を率いて教団本部へと踏み込みました。しかし教主の放った緑色の炎「摩尼明火」によって、陳巡検は燃やされてしまいます。信者たちはこれを見て、ますます教主に心酔してしまいました。
ちなみに摩尼教ですが、3世紀頃にバビロニア出身のマニという予言者が興した宗教です。ゾロアスター教やユダヤ教、キリスト教などの教義を取り入れ、ササン朝ペルシャを中心に信徒を増やしていきました。唐代には中国にも伝来し、武則天(則天武后)の頃には長安に大雲寺という寺院が建立されるなど、朝廷の保護を受けていました。
しかし武宗の代になると摩尼教は弾圧され、邪教として忌み嫌われるようになります。やがて「喫菜事魔」(菜食主義の魔教)とも呼ばれ、創作分野においては使い勝手の良さから、敵役などで登場することがありますね。「水滸伝」のラスボス的存在である方臘も、摩尼教徒と言われています。
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一方、陳巡検を追ってきた諸葛羽。飼っている鷹を通じて、陳巡検が山で消息を断ったとの情報を受け取ります。山頂に摩尼教の寺院があるので調査に向かおうとしますが、摩尼教は山賊を雇って、誰も山に立ち入らせないようにしているとのこと。
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得られた情報は、「証拠」として収集されます。後ほど推理をする時に、これらの情報を組み合わせたり、人に付き付けたりできます。本作では情報集めも、クリアのための重要な要素になってきますね。
山賊達を蹴散らせ!
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山道を進んでいくと、早速山賊達が襲い掛かってきました。戦闘は、XBOXパッドのXボタンで通常攻撃、Bボタンで緊急回避。また5種類の術技を5つのボタン(Yボタン、RB+X,Y,A,Bボタン)にセットすることができます。前作に近い操作方法ですね。
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特殊攻撃のセット画面。武術書を得ることによって、新たな術技を使えるようになります。また画面右では、ムービーで技の効果を教えてくれます。術技の種類は多く、しかも武器ごとに違っているため、何をセットするかで頭を悩ませますね。
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宝箱を発見。本作ではオブジェクトに対して、単に「インタラクト」をするだけでなく、「アイテム使用」「破壊」「火を付ける」といったアクションを取れます。画像の宝箱は開かないので、「破壊」で無理やり壊しました。
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宝箱に入っていたのは「朽木剤」。木材にかけると朽ちさせられます。道を塞いでいた柵にこれをかけ、壊して先に進むことができました。アイテムは自動使用ではないので、何を使うかをプレイヤーが考えなくてはなりません。謎を解くと「明察」というカットインが入ります。
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本作は「簡単」モードでも、敵は強いし、硬い。普通に殴っているだけでは、効果的なダメージは与えられません。敵が特殊技を放った後など、頭上に目のようなマークが表示されます。この時に攻撃を加えられれば「破綻」状態となって動けなくなり、大ダメージを与えることが可能。上手く使って敵を倒していきましょう。
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激戦の末、山賊のボスを撃破。命乞いをしてきました。話を聞いてみると、どうやら山賊達は摩尼教の信徒というわけではなく、ただ雇われていただけとのこと。「寺院へ来る者達をとにかく追い返せ」との命令だったそうです。
教団のトリックを暴け!
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摩尼教としては信者を増やすために、寺院に人が来てくれた方が良いはずです。それなのに山賊達は、摩尼教の寺院に来る人々を追い返すよう命令を受けていました。これまで得た情報を「思考」モードで融合させることにより、諸葛羽が矛盾点を指摘します。
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山賊のボスに、さらに詳しく話を来てみたところ、どうやら雇用主は摩尼教関係者では無く、摩尼教に恨みを持つ者のようです。山賊のボスは、雇用主の落としたアイテム「平安符」を諸葛羽に預け、逃げていってしまいました。
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陳巡検を助けるため、摩尼教の寺院へと急ぐ諸葛羽。悲鳴が聞こえたので駆け付けてみると、同じ村に住む少女・任芸が木の枝から落ちそうになっていました。下には素っ裸の陳巡検がいます。絵面的にもヤバい状況ですね。
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枝から落ちた任芸を、駆け付けた諸葛羽がナイスキャッチ。話を聞くと、任芸は諸葛羽を追って山へ乗り込み、途中で陳巡検を見つけたそうです。
陳巡検は、摩尼教主の「摩尼明火」を食らい、命は助かったものの、衣服を焼かれてしまいました。任芸は、木の上に山賊の衣服が掛けてあったのを見つけ、陳巡検のために取りに上ったところ、足を滑らせたとのことです。
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山賊の衣服を陳巡検に渡した任芸。陳巡検は兵士達を引き連れて摩尼教主を捕らえに来たのですが、教主が杖を振り上げた途端、体が緑色の炎に包まれてしまったそうです。さらに兵士達も行方不明になってしまいました。陳巡検は、教主を捕らえるどころか、その力を宣伝する結果になったのを悔やんでいます。
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諸葛羽は、先に山を下りるよう陳巡検と任芸に言います。去り際、陳巡検から「養生丸」という薬をもらいました。武術家が飲むとさらなる力を得られるとのこと。とりあえず礼を言って受け取りましたが、よくわからない薬なので軽々しく飲まない方が良さそうです。
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入信する振りをして、摩尼教寺院に入った諸葛羽。教主に取り次ぐよう頼みましたが、案内人の老婆は耳が悪いのか、会話が成り立ちません。それにもかかわらず、外で山賊相手に大立ち回りをしていた騒ぎは聞こえていたようで、「ケンカをするようなやつを教主に会わせるわけにはいかない」と言います。相手のセリフに矛盾点があった時に、証拠を突き付けることで、相手をやり込めることができます。『逆転裁判』のようなシステムですね。
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老婆は、実は摩尼教に恨みを持つ者で、これまで入信者にわざと難癖を付けて追い払ってきたそうです。「摩尼明火」も教主のトリックで、火を付けると緑色に発光する薬品「紫茎粉」を使用しているとのこと。教団内部に、紫茎粉についての書物があるそうなので、早速調査に向かいました。
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書物を調べると、紫茎粉は劇毒で、燃やすと緑色の炎になることがわかりました。燃焼温度は低く、人が焼け死ぬことはないとのこと。そう言えば、先程陳巡検がくれた養生丸は緑色でしたね。試しに火鉢の中に放り込んで燃やしてみると、緑色の炎が噴き出しました。陳巡検は、諸葛羽にこの毒薬を飲まそうと企んだのでしょうか。謎が深まってきました。
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やがて諸葛羽は、教主の元にたどり着きます。しかしどうも様子がおかしい。激闘の末(実際に強くて、1回ゲームオーバーになっています)、教主を追い詰めましたが、そこに現れた意外な黒幕とは……?続きは自身の目で確かめてみてください。
推理要素のある武侠RPG
本作の特徴は、やはり「推理要素」でしょう。聞き込みなどで情報を集めて組み合わせ、矛盾点を相手に突き付けていくなど、推理アドベンチャーとARPGを融合したシステムになっています。ミステリー的な内容なので、先が気になる展開になっているのも良いですね。
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本作では住居を建設をして家賃を稼いだり、釣りや囲碁などをしたりといったミニゲームも用意されています。ストーリーもわかりやすく、武侠RPG初心者には取っ付きやすい内容になっています。
金庸や古龍の武侠小説が好きな方、そもそも武侠物がどういうものなのかよくわからないという方にも本作はオススメできる作品ですが、現在、前作も含めて日本語サポートはなされていません。『古剣奇譚 ~星夜に謡い継ぐ万世の夢~』のように日本語サポートされた事例もあるので、今後の動きに期待したいと思います。
製品情報
開発・販売:甲山林娯楽股份有限公司
対象OS:Windows
通常価格:2,500円
サポート言語:中国語(簡体字、繁体字)
ストアページ:https://store.steampowered.com/app/1559390/_/