気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、だらねこげーむず/Daraneko Games開発、PC向けに5月21日に早期アクセスが開始されたゲームブック風マルチエンディングRPG『いのちのつかいかた』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、主人公が数ある選択肢を選ぶことで「執着」が変化し、考え方が変わっていくゲームブック風マルチエンディングRPG。戦闘は「コマンドバトルの戦略性」と「QTEのアクション性」の両方を兼ね備えており、特にボス戦では勝てるか負けるかわからないギリギリの戦いが特徴です。開発者は日本人のため、日本語にも対応済み。
『いのちのつかいかた』は、1,780円で早期アクセス配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
だらねこ個人開発者のだらねこです。得意分野はゲームデザインとシナリオで、よく「だらねこゲームデザイン論」と称してnoteにゲームデザインの記事を書いている人です。
一番好きなゲームは年代別ジャンル別ハード別に色々と分かれるのでちょっと答えにくいんですが、小さい時から一番繰り返しプレイしたのは『ロマンシング サガ3』ですね。
私は謙虚な姿勢をとると能力が下がる呪いにかかっているので、今回はできる限りイキった感じの回答を心がけようと思います。よろしくお願いします。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
だらねこ自分の力を証明する作品を作りたかった、というのが大きいです。
会社でスマホゲームの仕事をしていた時、キャラクターの設計や敵の設計(パラメーターデザイン)をすることが多かったんですが、限界を感じていまして。「できる限り面白くなるように作るけど、これ企画とかゲームシステムによって面白さの限界値が決められてしまうなぁ」とはよく思っていたんですね。
またシナリオも自分で作りたい欲があり、「ゲームデザインとシナリオ・世界観を上手く融合させたゲーム」が自分の理想でもあったので「だったら企画から細かい仕様まで自分の思うように作ったらどこまで面白いゲームが作れるのか?」というのを試してみたかったんです。
とはいえインディーゲームとして作るのに踏み切ったのは、ちょうどコンシューマー業界に転職しようとして失敗していた…というのが(とても悲しい事に)背景としてあってですね。私もそれで「じゃあいーよ!一人で作ってすんごい面白いの作ってやっからな!雇わなかったことを後悔しろってんだコノヤロー!!」と拗ねちゃいまして、本作の開発が始まりました。
――本作の特徴を教えてください。
だらねこ主人公の「執着」によってエンディングが変わるこのゲームでは、「選択」が楽しいゲームとして作っています。
1つ1つの選択が主人公の執着に影響を与えるのはもちろん、例えば鉄製の扉に対して「鍵を探して開けるか?無理やり殴り壊して開けるか?爆弾で吹き飛ばして開けるか?」といったように、1つ1つのイベントに対して「自分だったらどうやって突破するのか」を選んで自分なりの冒険をしていく面白さがあります。
またそうしたイベントの他にも、戦闘はRPGのコマンド式のバトルを私なりに進化させたオリジナルのシステムを採用しました。過酷な世界での戦闘になりますが、ヒリヒリとした緊張感と共に、強敵たちとの戦闘を通してプレイヤー自身の成長を楽しんでもらえればと思います。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
だらねこ「どんな人に」というのは意図的に考えないようにしています。ゲームブック風RPGと銘打ってはいますが、実は「ゲームブック好きな人のために作っている」わけでもないんです。むしろゲームブックを知らない人が触って「あぁ、こんなゲームが存在するのか!」と新しい扉を開いてくれた方が嬉しいですね。
根底として「こういうゲームを作ったら最高に面白いはずなんだけど誰も作ってくれないな、じゃあ私が全力で作るか!」というのがあるので、「私自身が最高に面白いと思うならそれでOK、そこからズレるなら駄目」というのを基準に作っていますね。
私もそこまで特殊な嗜好をしているわけではないので、「私が遊んで楽しいなら他に楽しめる人もまぁいるでしょー」くらいな気持ちです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
だらねこゲーム系の作品からは「影響を受けた」というより「ゲームデザイン上でやりたいことをやるために参考にした」という所が大きいですね。
よくゲームブック風RPGとして近い作品に挙げられる、フリーゲームの名作『Ruina 廃都の物語』も私の大好きな作品の1つなんですが、ゲームの設計思想自体は結構違うのであまり影響は受けていないと思っています。(同ジャンルの作品なので参考にはしていますけど)
本質的な影響で言うと、実は時代小説や時代劇映画の影響が強いです。正確にはその道のレジェンド的な作家であった藤沢周平先生の影響を受けていますね。キャラクター描写において「実際にその時代、その常識の中にいたら、こういう考え方をするだろう」という納得感のあるリアリティがすごく良くて、自分がキャラクターを作る際にもそのリアリティを必ず心がけています。
またこのゲームのバトルは時代劇映画の殺陣(アクションシーン)、水戸黄門のような大人数が入り乱れるような派手なものではなく1対1の剣豪同士の決闘を再現しようとして作りました。ジリジリとした緊張感、相手の攻撃を読んで自分の行動を組み立てる戦術性、いざ斬り結ぶ時のアクション感を通して、「戦っている感覚」を楽しんでもらえればと思います。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
だらねこ実感したのは無いです。そもそもコロナが流行り始めたくらいから開発を開始しているので、今の状況がスタンダードみたいな所はありますね。ただしばらくオフラインイベントが無く人脈も築きにくかったので、自覚していないだけでその辺りの影響はあったのかもしれません。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
だらねこ大丈夫です。実はちょっと配信映えみたいのは意識していまして、ゲーム中の色んな選択をしていく中で配信者さんの個性が見えたり、バトルも見ている人がハラハラしながら見れるように作ってあります。
ただ、配信する際に作品のストアページと私のTwitterのURLを明記するのをお願いしています。(やっぱりほら、自分のゲームが広まってくれることを期待して配信を許可している所はあるので)
詳しくはコチラを参照していただければと思います。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
だらねこ全身全霊で面白いと思うゲームを作っています。まだ早期アクセス版で遊べるのは物語の途中までですが、遊んでくれた人の意見を参考にしつつ完成に向けて仕上げていく予定です。
君はそれを買っていもいいし、買わなくてもいい。
(ゲームブックの定番ネタとはいえこれで〆るのちょっとハズカシイナ)
――ありがとうございました。
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本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)