気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Mens Sana Interactive開発、PC/Mac向けに6月21日にリリースされた感情モンスターカードゲーム『Little Inner Monsters』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、様々な感情をテーマとしたモンスターたちが戦うカードゲーム。カードは全36種類。各カードには6つの感情の値が設定されており、それらの大小で勝負の結果が決まります。記事執筆時点では日本語未対応。
『Little Inner Monsters』は、520円(7月8日までは40%オフの312円)で配信中。
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――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
Sergio Ueta氏(以下Sergio)ブラジルのインディーゲームスタジオMens Sana InteractiveのSergio Uetaです。息子と娘が1人ずついます。あと、ネコとカメも一匹ずついます。私は電気エンジニアで、以前は大手のIT企業で長いこと働いていましたが、キャリアチェンジをすることとし、ゲーム開発を始めました。それからすでに5年経っており、これまでには主にパズルゲーム、ワードゲーム、カードゲームを作っています。私のスタジオはSteam向けにゲームをリリースしていますが、そのうちいくつかはニンテンドースイッチでもリリースされました。私が一番好きなゲームは、有名なインディーパズルゲームの『グーの惑星』です。
――本作の開発はなぜ始まったのですか?
Sergio本作は元々、これまでにも当スタジオといくつかのプロジェクトで一緒に作業をしたアーティストである、Katia Numakuraのインスタグラム投稿がインスピレーションとなりました。こちらです。
このイラストでは「私は満足していない…私の中のモンスターたちが多くの混乱を引き起こす。私は真面目な会議のため、小さな部屋に彼らを呼んだ。しかし断られた。だからとても居心地の良い場所でお茶に誘い、彼らが言いたいことを聞くこととしたのだ」というものです。
Mens Sana InteractiveのリードデザイナーであるMarcio Gastaldelloが、この「小さなモンスターたちと会議をする」というアイデアが気に入り、これが面白いゲームになるのではと思ったのです。
――本作の特徴を教えてください。
Sergio本作にはそれぞれ異なる可愛らしいモンスターが描かれた36種類のカードが登場します。そしてそれぞれが人間にありがちな感情を元としているのです。それぞれのカードには、喜び、怒り、意志、嫌悪、利他精神、恐れ、といった6種類の感情があり、各数値が設定されています。
本作のアイデアとして、一つの感情はそれだけでは存在しないということがあります。他のいくつかの感情と一緒に、混ざり合ってやってくるのです。そしてシチュエーションにより、様々な感情がはっきりと現れたりもします。これを各カードが表現しているのです。人間の複雑な面すべてを描きたいという意図ではなく、それについて考えることへの入り口として本作を作りました。
試合はコンピュータ(Sanaと呼ばれるAI)、またはPvPモードでは友達と対戦することができます。
マルチプレイヤーモードはファミリーフレンドリーに作られており、絵文字を送り合ってコミュニケーションを取ることができますよ。
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――本作はどんな人にプレイしてもらいたいですか?
Sergio一般的なカードゲーム好きな人たちに遊んでいただきたいと思っていますが、リラックスできる環境で、シンプルなルールですぐに遊ぶことができるものが好きな、もっとカジュアルなプレイヤーの方々にも遊んでいただきたいです。ゲームモードによって、短時間で終わる試合を遊ぶこともできますし、より長い試合を楽しむことも可能です。ルールはシンプルですので、子供が大人を相手に遊ぶこともできますし、ビジュアルも可愛らしくなっています。親が人間の感情についてや、それらがシチュエーションによってどう変わるかについて話しながら、子どもと一緒に遊ぶこともできるでしょう。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Sergioはい、「Top Trumps」(一つを選んで戦うというメインシステム)や「UNO」(ルールの単純さ)といった、多くのカードゲームから影響を受けました。キャラクターたちについては、感情を可愛らしいキャラクターで描くピクサー映画の「インサイド・ヘッド」。それに、様々な個性的なモンスターが登場するという意味では「ポケモン」からも影響を受けています。
――本作の日本語対応予定はありますか?有志翻訳は可能ですか?
Sergio現時点で、日本語には対応していません。リリース時には英語とブラジルポルトガル語のみに対応しています。将来的には他の言語にも対応するかもしれませんし、その際は有志翻訳も歓迎です。もしご興味がある方がいらっしゃいましたら、メールでお問い合わせください。
――新型コロナウイルスによる開発への影響はありましたか?
Sergio世界中の他の人たちと同様、日常の様々な活動に影響を与えましたが、幸運にも本作の開発に直接的な影響はありませんでした。私たちのチームは小さく、以前からホームオフィスで作業をしています。そのため、このような辛い状況でも人々を楽しませるためにゲームを開発、リリースし続けることが可能なのです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
Sergioはい、どなたでも配信していただいて大丈夫です。より多くの人に本作を楽しんでいただきたいですし、それを世界中の人たちと共有していただくのは嬉しいです。本作はマルチプレイヤーゲームですので、多くの人にプレイしていただければいただけるほど、オンラインでのプレイが楽しくなります。そして、私たちももっとたくさんのゲームを作りたいと思うようになるのです!
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Sergio日本の読者の方とお話するのは、特別に感じます。私たちはブラジルに住んでいますが、開発メンバーの多くが日本と関係があるのです。私の祖父母は日本人ですし、スタジオパートナーのMarcioは日系人と結婚しました。イラストを担当したアーティストのKatiaも、日系人です。日本文化はここのゲーム業界でも大きな存在感があるのです。
――ありがとうございました。
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※UPDATE(2022/6/27 22:43):記事公開時、タイトルに間違いがございました。修正し、再公開しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございました。
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に500を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。