霞みがかった晴天に満開の桜。世はまさに春真っ盛りです。
その桜の枝先にウグイスの心地よさげに啼く姿を見れば、「ああ、仕事なんてほっぽり出して鳥になってどこか行きたいなぁ」と思わず呟いてしまう、それほど麗らかで花粉症な日々が続いています。
本日ご紹介するのはオープンワールドローグライトACT『Ravenbound』です。2023年3月30日にリリースされた本作は、スカンジナビアの伝承にインスパイアされたファンタジー世界を舞台に、ワタリガラスに変身できる能力を持つ主人公が冒険をするという作品です。
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いつでもどこでもカラスに変身できるというわけではありませんが、自然豊かなファンタジー世界の美しい風景を見下ろしつつ、広い空を自在に飛び回るのはなかなかに心地よいものです。
また、ローグライトの名が示すように、自キャラの強化にはランダム性がある他、死んだらそれまでのパーマデスのゲームシステムにもなっています。
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なかなか珍しいオープンワールドとローグライトの組み合わせですが、果たして実際のところはどうなのか?ちょっとお伝えしてみようかと思います。
「鳥の姿で快適な空の旅を!自然豊かなファンタジー世界を空から見下ろす心地よさ」
本作の舞台である「アヴァルト」なる名の世界は、正直とても広いです。それはもう自身の足でえっちらおっちら移動していると、本当に気が遠くなるほどです。
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でも、ご安心を。本作の主人公はなんとワタリガラスに変身できるのです。というより、正確に言えばこちらが本体。普段操作しているのはあくまで器という設定です。
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いつでもどこでもカラスに変身できるというわけではなく、ワタリガラスの塔と呼ばれるオブジェクトを訪れる必要こそありますが、それでも鳥の姿の快適さは歩きなどとは比べ物にはなりません。
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グーンと空高く自力で登るのも、高空から垂直降下で加速するのも自由自在。自然豊かなファンタジー世界を空から見下ろす心地よさは、他のゲームではなかなか体験できるものではありませんよ。
「いい装備を引けるか運試し!ローグライトらしい強化のランダム性とパーマデス」
本作はローグライトACTということで、自キャラの強化にはランダム性があります。
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敵からドロップする魔法の欠片を3つ集めることでデッキからカードを引き、そのカード毎に決められたマナを消費することでスロットに設定することで自キャラを強化するというシステムとなっているのです。
このランダム性がなかなかの曲者で、イイ引きの時はスロット不足のマナ不足、マナが十分あるときに限ってイマイチな引きと、思い通りにはならないのが面白くも歯がゆくもあります。
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また、本作はパーマデスにもなっていて死ぬとそれまで。獲得した強化カードなどはすべて失ってしまいますから、低HP時にはとにかく慎重になる必要があります。
なかなか珍しいオープンワールドとローグライトの組み合わせの本作ですが、単刀直入に言いましょう。これ、オープンワールド要素は必要なのでしょうか?
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これはあくまで筆者の考えなのではありますが、オープンワールドの面白さというのは、ユニークなロケーションを訪れたり隠された宝箱を探したり一見行けそうにもない場所に強引に登ったりと、プレイヤーの気づきと探求によるところが大なわけです。
加えて、道中を飽きさせないために何らかの工夫も必要で、道すがらの素材採取や敵の配置など「ファストトラベルもいいけれど、わざわざ徒歩で移動した甲斐あってこんな新発見があった!」なんて楽しみの積み重ねこそが面白さに繋がるのです。
一方で、周回が前提のローグライトでは、1週辺りを重くしすぎるのは逆効果でむしろ飽きない程度のマップギミックを用意して、比較的気軽に何周もというのが基本的なシステム。そのため、この2種類の組み合わせは相反する2要素の食い合いというべき様相を呈していて、正直どちらの側面からも評価しにくくなってしまっています。
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また戦闘にしても非常に大味で、ノックバックやダウン系の攻撃の連打でタイマンなら一方的にハメ殺しができてしまうほどです。また、前述のランダム性というのも、使用武具がほぼ固定化されてしまうという点で飽きを早める要素となっているのが少し残念な点かと思います。
あと、せっかくのオープンワールドである点を活かして、ステルスキルや敵を一網打尽にできるギミック、飛び道具による遠距離戦や釣り出しといった要素は個人的には欲しいところでした。
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確かにグラフィックはキレイなのですが、その分比較的単調なモーションなどもしばらく見続けていると少し気になってしまいます。
フルプライスではないのであまり多くを求めるのは少々酷かもしれませんが、「まだアーリーアクセスで、これからどんどん改良していきます!」というものでしたら、期待を込めつつオススメするところなのですが…。
スパくんのひとこと
グラフィックなど評価できる点もあるものの、全体的に見ると何とも言えなくなる、そんな1作スパ。オープンワールドとローグライト、どちらも人気のジャンルだけれども、決して混ぜたところで傑作にはならないのがゲーム作りの妙スパね。
タイトル:Ravenbound
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年3月30日
記事執筆時の著者プレイ時間:3時間
価格:3,400円