注意
本作の攻略にはパズル要素が含まれるため、記事中に使用するスクショがそのまま解法のヒントになる可能性があります。事前情報無しで遊びたいという方は閲覧にご注意ください。
今回はChanko Studiosがデベロッパーを、AMC Gamesがパブリッシャーを担い、2023年8月24日にSteam/ GOG.com/ Epic GamesストアでWindows PC向けにリリースされた、映画撮影ACT『It's a Wrap!』をご紹介したいと思います。
『It's a Wrap!』とは?
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本作は、俳優ジョニー・ラッシュを操り、映画の撮影セットで数々のスタントを決めていくアクションゲーム。これだけであれば平凡なACTとして片付けられてしまうかもしれませんが、本作が他タイトルと一線を画すのは「編集」も同時に行う点にあります。
俳優ジョニー・ラッシュを操作する画面には、同時にシークバーやタイムラインを始めとする映像編集用のUIも表示されており、崩れる足場や壊れる橋といった撮影セットのギミック発動のタイミングを事前に決めるのです。
それにより自分が設定したタイミングと噛み合うようジョニーを動かす必要が生じ、結果的にこれが本作のパズルゲーム的な要素も強くすることとなりました。この独特な味付けは実に挑戦的で、ユーモアたっぷりに描かれるキャラクター達の様子も相まって、全体的に実に楽しいゲームプレイでしたね。
ただしその一方で、そのシビアなタイミングのおかげで何度もやり直し(リテイク)するハメになり、それによって生じるストレスもまた存在します。特に慣れない序盤においては、撮影がうまくいかない原因が、アクションにおける操作によるものなのか、それとも編集におけるギミック発動のタイミングなのかが判断しづらい問題がありました。
アクションなようでパズル系、簡単なようで難しい。でもクリアする時はあっさり。そんなギャップと意外性を持った面白いプレイフィールの本作……早速紹介してまいりましょう。
操作・設定・言語
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本作はキーボード&マウスおよびコントローラーに対応しています。今回のプレイで筆者は後者を選択。どちらを使用してもゲームプレイに大きな差はなかったので、お好みで選択すると良いでしょう。その他グラフィックやサウンドといった設定についても、オーソドックスな調整項目が並びます。
言語については日本語にもバッチリ対応。プレイに支障は無く、またコミカルに動き回るキャラクターと現場の雰囲気を損なわない安定した翻訳でした。
本編開始
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さあ始まりました『It's a Wrap!』。バチバチに決めた服装で割れんばかりの声援を浴びる大スターこと我らがジョニー・ラッシュの登場です。
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まあ当然のことながら出オチ夢オチということで早速現場に駆け込みます。
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ここからはチュートリアルも兼ねたステージ冒頭。本作において映画とはひとつのレベルであり、映画の各シーンであるステージを攻略していくことでレベルクリア、つまり撮影完了となります。
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個人的に本作のUIは非常に丁寧な作りであると感じており、それは例えばこの操作キーの表示が、コントローラーまたはキーボードで操作すると、ロード無しでスッと切り替わるんですよね。
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移動はそのまま小走りになるので、そこへジャンプと壁キック、壁スライドを組み合わせて、テクニカルな地形とトリッキーなギミックを乗り越えていきます。
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そんなこんなでチュートリアルも終えて本番開始。
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ステージ内の端っこ(または上部)にはゴール地点となるフラッグが用意されており、ジョニーがそこへ辿り着けばステージクリアとなります。
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記事冒頭でも触れましたが、本作の操作画面はこんな感じ。ジョニーを操作してアクションする画面と、ギミックのタイミングを編集する画面が同時に表示されています。各タイムラインにある青色のブロックはイベントと呼ばれ、「ギミックの発動してから停止するまでの時間」を長さで表していますね。
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台本を確認すれば全体的な動きの雰囲気はわかるものの、現状では細かな各ギミックがどう動くのかわからないので、とりあえずカメラ回してぶっつけ本番してみましょう。アクション!!
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するとジョニーが渡っている途中で橋が崩れて、未来の大スターが谷底へ飲まれてしまいました。
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もちろんこれは映画セットなので実際に命を落とすことはありませんが、映画のワンシーンとしては台無しです。
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そこで次に大事になってくるのは「編集」によるタイミングの操作。先程すこし説明した青色のイベントブロックをずらすことで、ギミックの発動タイミングを遅くすることにします。
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これにより端が崩れ落ちる前に、ジョニーを対岸まで移動させることができました。以降のシーンも基本的には、イベントを編集しながら、アクションもこなしてゴールを目指す流れを繰り返します。
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複数のイベントが同時に発動する際は、特に編集によるタイミング調整が大切になってきます。
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これは見事に噛み合って雪玉に突っ込んだ我らが俳優ジョニー・ラッシュの図。
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ギミック開始のタイミングを少しずらすことで、ソリが雪玉の下をくぐり抜ける瞬間を見つけた筆者。
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無事渡りきりゴール。壁キックも挟んだアクション満載のワンシーンを撮影することができましたね。こんな調子でイベントはどんどん増えていき、どんどん複雑化していきます。
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そこへさらに「固定化」されて編集できないイベントも間に挟まれ始めるため、個人的には、それによるパズル要素の強化にだいぶ悩まされることになりました。
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もちろん人によって行き詰まるシーンは異なると思いますが、筆者にとっての「鬼門」は、序盤も序盤ですがこちらのステージでしたね。
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普通に走り抜けようとすれば、ギミックにより倒れる柱に間に合わず溶岩へドボン。ではギミックをずらして足場に飛び乗れば、今度は落石が行手を塞ぎ、そうこうして進退窮まったところを足元が崩れて溶岩へ落下、再びターミネーター式サムズアップをする羽目になりました。
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リテイクの回数が20を超えたところで「これは何かおかしい」と思い、ヒント機能を使うことにした筆者。この機能は「台本の先で起こる展開」を確認できる優れもの。回数制限はありますが、行き詰まってしまった場合は躊躇わずに利用すると良いでしょう。
ただし問題はヒントの内容がふわふわしてて、先の展開を確認したところで大した助けにもならないところ。これれだったらせめて「どのイベントブロックを、どのタイミングに配置するよう編集せよ」といった指示が出たらまだわかりやすかったと思います。
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試行錯誤の末に、結局はイベント編集側に問題はなく、アクションで要求される操作タイミングがシビアであった、ということに気が付きました。そこで足場の縁ぎりぎりでジャンプするよう狙いをつけたら……。
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あっさりクリア。
なんだかグッタリと疲れてしまいました。ここは本作の面白い部分でもあるのですが、同時にストレスにもなり得る部分で、アクションと編集という2つのタイミングを変数として同時に取り扱うのはなかなか難しい。攻略に行き詰った時、その原因が「タイミング」であることはわかっても、それがアクション側のズレなのか、編集側の問題なのかが、ゲームデザイン上どうしてもわかりづらくなってしまうのです。
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そこへ役に立たないヒント(勘の鈍い筆者が悪い)にも翻弄されるため、最終的にリテイクが60近くになるまで試行錯誤したシーンもありました。しかし、クリアした時の「あー!?これで良かったのか!」という開放感や爽快感などがあり、そういったプレイフィールはむしろやみつきになってしまったり。
おわりに
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一つの映画を最後までクリアしないと、他の映画撮影へ進めない……なんてことはなく、本作はありがたいことに、ある程度進行したらちゃんと別のステージもアンロックされます。どうしても行き詰まってしまったら、一度頭を切り替えて別のシーンを遊んでみるのも良いかもしれませんね。
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(そしてそのステージでも行き詰まった筆者)
タイトル:『It's a Wrap!』
対応機種:Windows PC(Steam/ GOG.com/ Epic Gamesストア)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2023年8月24日
著者プレイ時間:2.5時間
サブスク配信有無:記事執筆時点においては、無し
価格:2,000円(2023年8月31日まで1,700円のセール中)
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
タイミングがシビアすぎて軽く数十回はリテイクかかるスパ!でも面白い!!そして映画作りの大変さを学んだスパよ……