Skyfallが2021年8月よりサービスを提供している、オンラインポーカーゲーム『ポーカーチェイス』。世界的にメジャーなポーカールールである「テキサスホールデム」を採用し、6人対戦でバトルロイヤルを行う「ランク戦」、一度に数百人~1,000人ものプレイヤーが同時に対戦を開始する「大会」、手持ちのリングチップを賭けて戦う「リング戦」など多彩なゲームを提供しつつ、個性の光る多数のキャラクターが登場する、入門者にも遊びやすいポーカーゲームです。
Game*Sparkでは過去に本作の紹介記事を掲載していますので、そちらも併せてご覧ください。

今回Game*Sparkでは『ポーカーチェイス』のプロデューサーへとインタビューする機会を得ましたので、同作について気になること、そして今後の展開についてお聞きしてきました。同作がどこを目指しているのか。気になっている皆様の参考になれば幸いです。
『ポーカーチェイス』は熱烈なファンの力で盛り上がった!?
――本日はよろしくお願いします。

Skyfall 島田竜次氏(以下、島田): プロデューサーの島田と申します。よろしくお願いします。
――まずはSkyfallという会社について、概要をお伺いしてもよろしいでしょうか。
島田: 弊社の設立は2017年で、従業員数が190名ほどの企業です。メイン事業としてはマーケティングプラットフォーム事業を手掛けています。それ以外の事業としては、アプリやメディア事業を行っています。マーケティングプラットフォーム事業では、ユーザー体験に寄り添った広告マネタイズプラットフォーム『SKYFLAG』や、代表性を追求するマーケティングリサーチサービス『SKYFLAGリサーチ』を、アプリメディア事業では、『ポーカーチェイス』や好きなゲームを遊ぶだけでポイ活できるアプリ『ポケットプレイ』の運営をしています。
――ゲーム事業やメディア事業は、会社を展開していくうえで自然発生してきたようなものなのでしょうか。それとも元々ゲームを手がけられたスタッフが在籍していたのでしょうか。
島田: どちらかというと前者です。今後の会社の方向性を模索する中で、マーケティングプラットフォーム事業以外の柱を模索していました。
――『ポーカーチェイス』は2021年8月にサービスを開始しましたが、どのような経緯で開発を開始したのでしょうか。
島田: 当時はコロナ禍で、オンラインで友人同士が気軽に遊べる麻雀アプリが流行していました。そこで、同じボードゲームジャンルの“テキサスホールデムポーカー”に注目しました。
海外ではすでに広く認知されていた“テキサスホールデムポーカー”ですが、国内でも徐々に人気が高まってきていました。国内市場はブルーオーシャンで、今後の成長が見込めると判断し、初心者でも楽しめるポーカーゲームを目指して開発をスタートしました。
――ポーカーを題材にしたゲームというとどうしても「ギャンブル」のイメージが付きまとうものかと思います。それをどのような感じで払拭しようと思っているのでしょうか。
島田: ポーカーにはギャンブル的なイメージがあるのは事実です。しかし、この点については、サービスを地道に継続することで、時間をかけて解決できると考えています。
ポーカーに興味がなかった方々でも、IPコラボをきっかけにポーカーに触れることで、よりカジュアルで親しみやすいイメージが広がることを目指しています。そして、『ポーカーチェイス』を通じて、ポーカーを知的で健全な競技として広め、誰もが気軽に楽しめる新しい文化を築いていきたいと考えています。
その結果、「ギャンブル」というイメージを少しずつ払拭し、より多くの人にポーカーの魅力を届けていければと思っています。
どのような基準でコラボレーションIPが選ばれているのか
――本作では、さまざまなコラボレーションが行われています。過去には複数のアニメIPとの、そして今年1月中旬からは『コードギアス 反逆のルルーシュ』とのコラボレーションが行われました。こういったコラボレーションを行うIPの基準のようなものはあるのでしょうか。
島田:まずは、『ポーカーチェイス』の世界観にマッチしているかどうかを重視しています。親和性は、コラボレーションを検討する上で特に重要なポイントです。
また、ゲーム内アンケートを活用し、ユーザーの皆さんに「コラボしてほしい作品はありますか?」と直接意見を伺っています。アンケートで上位に挙がった作品は、参考にしながらコラボの候補として検討しています。
――2024年の紅白歌合戦に出場した2.5次元アイドル『すとぷり』をはじめとする、『STPR Creators』とのコラボレーションの実施は驚きでした。今までのコラボレーションコンテンツとは若干方向性が異なり、どちらかというと女性層を向いたコンテンツだと思いますが、こちらもユーザーの声を反映したコラボレーションとなるのでしょうか。
島田: 『STPR Creators』の方々が実際に『ポーカーチェイス』もプレイされていたことから、「ぜひご一緒に」とお声がけさせていただきました。今回のコラボレーションを通じて、これまでリーチできていなかった新たな層にもアプローチできると考えていました。新規ユーザーの獲得はもちろん、ポーカーの楽しさをもっと広めたいという思いもありました。
特に印象的だったのは、STPRファンの皆さんに『ポーカーチェイス』の大会を開催していただけたことです。
この大会を通じて、ポーカーの奥深さや駆け引きの面白さを、より多くのSTPRファンの皆さんに感じていただけたのではないでしょうか。ファンの方々が楽しそうにプレイしている姿を見て、今回のコラボレーションが大きな一歩になったと実感しています。
――『STPR Creators』コラボの反響は実際のところいかがなものでしょう。
島田: おかげさまで、予想を上回る新規ユーザーの方々にご参加いただき、本当に嬉しく思っています。初めてポーカーをプレイされた方も多かったのですが、既存のプレイヤーの皆さんが温かく迎え入れてくださった姿が特に印象的でした。コミュニティ全体で楽しんでいただけたのは、私たちにとっても大きな喜びです。今回の取り組みを通じて、より多くの方にポーカーの魅力を知っていただく素晴らしい機会になったと感じています。
これからも、ポーカーの楽しさを広めるために、さらなる工夫と挑戦を続けていきたいと思います。
「ツンデレ」キャラ多めなのは運営チームの好みを反映!?
――あと、これはものすごく個人的なユーザー目線からの質問なんですけれども……『ポーカーチェイス』オリジナルの女性キャラクターにはかわいいキャラクターが多いんですが、その中でも「他人にちょっかいを出す生意気な女の子」、オタクスラングでいうところの「ツンデレ」キャラがちょっと多くないですか?
島田: 運営チームの好みが反映されている部分もあると思います。
特に、ちょっかいを出すキャラクターは人気が高く、多くのプレイヤーに支持されています。そのため、「こういったキャラクターをもっと増やしていこう」といった話もチーム内でよく出ています。
――対人戦のゲームで、ちょっかいを出すキャラクターが多いのもそれはどうだろう……という一面を感じないわけではないんですけれども。とは言え、対戦ゲームでのいわゆる「ツンデレ」キャラクターは一定のユーザーの支持を築いている感はありますよね。
島田: ポーカーを本気で楽しんでいる方々からは、『キャラクターはもう少し控えめが良い』というご意見も参考にさせていただいています。
――なるほど、やはりそういった声もあるんですね。
島田: しかし実際のところ、第1回キャラクター人気投票では、『ラミィ・パラス』が堂々の1位を獲得しましたね。


――真摯に遊びたい人以外からは割と受け入れられてる感じなんですね。
島田: そうですね。
――ところで、運営チームは今何名くらいなんでしょうか?
島田: 全体で約14名です。内訳はエンジニアが6名、デザイナーが4名、そしてプランナーが3名という構成で運営しています。各メンバーが専門分野で力を発揮しながらも、チーム全体でのコミュニケーションを大切にしており、プロジェクトごとに柔軟に協力し合う体制です。
少数精鋭のチームだからこそ、メンバー一人ひとりの意見が反映されやすく、スピーディーに意思決定ができるのが特徴ではないかと思います。
――それでは、次の質問です。他のポーカーゲームにない機能として、手札の最初の2枚が配られたときにこの手なら参加すべきだ、あるいはフォールドすべきだといった「おススメ機能」があります。これはポーカーの経験者から見てもかなりの精度で選ぶべき手を進めてくれて、これに従うだけでかなりのランクまでは行けてしまう気がするのですが、これはどういった理由で実装に至ったのでしょうか。
島田:このゲームでは、ポーカー初心者の方が多くなることを想定して、誰でも本格的な駆け引きを楽しめるよう工夫しています。その一環として、初心者でも使いやすいように、手札のおススメを選べる機能を実装しました。そのため、ポーカーの経験が浅いプレイヤーでも、戦略的な選択を体験できるようになっています。
今後の『ポーカーチェイス』の機能拡張の予定は?
――次の質問です。2024年11月15日のアップデートで「リング戦」が大きく改善されて、こちらも独自のランクが設定されたうえで所持リングコインの量も考慮しつつ参加することが必要になり、すごく進化したな……と個人的には思ったのですが、そういったゲームの改善に関しては今後どのような形で行っていくのでしょうか。
島田: まずは、熱心にプレイしていただいて本当に嬉しいです!ありがとうございます!よくいただくご質問として、「ランク戦」のStage-6以降に上位卓が用意されていないのか、というものがございます。高ランクのユーザーが増えてきているのはとても喜ばしいことですし、さらに楽しんでいただけるように改善の必要性は感じております。
単にステージを増やすだけでは一時的な解決にとどまってしまう可能性があるので、より長く楽しんでいただけるような工夫ができるよう、今後良いご報告ができたら嬉しいです。
――確かに高ランク卓を増やしたところで、やることは同じことの繰り返しになりそうですね。
島田: 「リング戦」と同様に、大きなアップデートが必要だと考えています。現在の仕様では上位ランキングがあまり変動しないため、より活発に競い合えるように見直しを検討しています。
――筆者も高ランクをウロチョロし始めた段階のところなので、そのあたりの改善は期待しています。ところで、現状「ランク戦」「リング戦」「大会」「シーズンマッチ」「クラブマッチ」といったゲームモードが用意されていますが、ここに新たな機能が追加されたりする予定などはありますでしょうか。
島田: 「シーズンマッチ」にもさらなる魅力を加えたいと考えており、「ランク戦」のアップデートに合わせて前向きに改善を進めていく予定です。将来的には、新しいコンテンツとして新たなポーカールールの導入も視野に入れています。
――ところで余談なのですが、2024年にポーカーを題材にしたインディーゲーム『Balatro』がThe Game Award 2024で3冠を取るなど話題となりました。ああいった変則的なポーカーゲームについて、実際にポーカーゲームを作っている方からはどのように見えたのでしょうか。

島田: デザイン面では、デザイナーチームが積極的に参考にしていて、とても良い刺激になっていました。ゲーム性についても、「面白そうだな」と前向きに楽しみながら見ていましたね。
――『Balatro』を参考にしたような、いきなり変わり種のポーカーがお出しされるようなことはないと。
島田: 現時点では検討していません。私としては、多くの方々が『ポーカーチェイス』に限らず、何かのきっかけでポーカーを知ってもらい、楽しんでいただければ嬉しいです!一緒にポーカー業界を盛り上げていけたらと思っています!
――テキサスホールデムというのはある意味完成されたゲームなので、そこに一味加えるのも大変そうですしね。
「コミュニティ」を育てていきたい
――次の質問に移らせて頂きます。『ポーカーチェイス』では「Japan Open Poker Tour(JOPT)」や「戦国ポーカーツアー」といったリアルのポーカー大会のサテライトトーナメントも実施していますし、2024年9月にはサービス3周年記念のリアルの『ポーカーチェイス』イベントが行われました。こちらの方はどういった手応えがありましたでしょうか。
島田: 初めてのリアルイベントの開催ということもあり、多少の不安もありましたが、結果として約300名もの方々にご参加いただき、大盛況のうちに幕を閉じることができました。特に印象的だったのは、新潟や大阪など、遠方からもたくさんの方々が足を運んでくださったことです。皆様の熱意とご支援に、心から感謝しております。



――今後、リアルイベントを定期的にやっていくといった計画はありますか?
島田: 今後の展開として、1周年ごとにリアルイベントを開催し、ファンの皆様との絆をさらに深めていきたいと考えています。今回のイベントでは、SNSやゲーム内コミュニティで交流されていた方々が、実際に顔を合わせて楽しい時間を共有されている様子を目の当たりにし、コミュニティの強い繋がりと熱量を改めて実感することができました。コミュニティの力をもとに、これからも皆様に喜んでいただけるイベントを企画・開催していきたいですね。
――筆者も、昔アーケードで稼働していた『ポーカースタジアム』(バンダイナムコゲームス、2022年サービス終了)の代表プレイヤーとしてJOPTに参加したことがあって、その機会に同様に参加した同ゲームのの上位ランカーさんたちとSNSで連絡を取り合って一緒に食事をした機会がありました。やはりこうしたゲームを縁にしたコミュニティの繋がりというのは素晴らしいな……と思いますので、『ポーカーチェイス』もそういったコミュニティの繋がりを今後も生み出せるような運営を期待しています。ところで、オフラインのイベントを開催するにあたって、苦労した点や新しく見えてきた視点のようなものはありましたでしょうか。
島田: リアルポーカー大会の運営は、専門の会社に全面的にお任せすることで、参加者の皆様に安心して楽しんでいただける環境をご提供することができました。ポーカーのルールは複雑ですが、プロのサポートにより、初心者の方でも戸惑うことなくプレイできたと伺っております。立ち上げから開催までの期間が3か月と短く、スケジュール調整には苦労しましたが、関係各所との連携により、無事に素晴らしい大会を開催することができました。
――先日、『ポーカーチェイス』のグッズ販売がBOOTHで開始されましたが、今後このようなグッズを用意したい……といったものはありますか。
島田: グッズ販売では「ポーカーグッズ」がとても人気でしたね!特にトランプは、真っ先に完売となりました。今後はチップや、プラスチック製トランプなどの、更に魅力的なポーカーグッズを充実させていく予定です。
――なるほど、そのあたりはポーカーゲームならではですね。個人的にポーカープレイヤー目線で言うと、カードプロテクター(実際のポーカーで配られた手札の上に置く、誤って手札が回収されないようにするための重石)になるようなアクリルアイテムがあると嬉しいです。
島田: アクリルスタンドをカードプロテクターとして使っている方もおられますからね。貴重なご意見ありがとうございます。
――そろそろ残り時間もわずかとなってしまいましたので、今後の『ポーカーチェイス』にかける意気込みの方をお伝え願えればと思います。
島田: 今後も、より多くのポーカープレイヤーにご満足いただけるサービスを提供していくとともに、私自身が『ポーカーチェイス』のプロデューサーとして、特に「コミュニティ作り」に力を入れていきたいと考えています。具体的には、チャット機能やフレンドMTT(マルチテーブルトーナメント)、クラブ機能の強化などを通して、プレイヤー同士の交流を促進し、活気あふれるコミュニティを育んでいきたいと思っています。
――確かにユーザーとしても、クラブ機能などは2023年ごろから急激に進化を遂げた印象です。
島田: 「プレイヤー同士の繋がり」のようなもの、「コミュニティ作り」を現在は重点的に置いています。
――コミュニティと言えば、『ポーカースタジアム』はプレイヤーが接続していたゲームセンターによってプレイヤーの所属地域が表示されて、「東京vs大阪」「愛知vs福岡」など、地方ごとのコミュニティを懸けた戦い……というと大げさですけれど、地域ごとのコミュニティが自動発生するような仕組みになっていました。そういった地域ごとにユーザーの所属を分ける……というのも面白いと思うんです。
島田: 「東西対決」のような企画は、面白いですね。「団体で戦う」という要素は、プレイヤー同士の絆を深め、コミュニティを活性化させる可能性があると感じます。現状では「クラブマッチ」のみが団体戦の機能として存在しますが、将来的には、より手軽に、そしていつでも参加できるような「クラブ対抗リング戦」のような新機能の追加も視野に入れてみるのも面白いと思います。

島田: 今後の展開として、アプリの海外展開も視野に入れています。
――海外展開については、どのようなプラットフォームで進められるご予定ですか。
島田: まずは、iOS/Androidでの海外展開を考えています。。PC(ブラウザ)版については今後の状況を見ながら検討をしていく予定です。
――海外展開後のマッチングはどうなる予定でしょうか。
島田: マッチングは全世界共通にしようと思っています。
――なるほど。だとすると、将来的には日本vsアメリカとかの戦いが見られるかもしれないというわけですね(笑)
島田: 世界大会は夢が広がりますね!
――その夢が、いつか実現される日を楽しみにしています!本日はありがとうございました!
一同:ありがとうございました!
将来的な運営方針や、世界展開まで視野に入れていることをお伺いできた『ポーカーチェイス』。本ゲームはPC(ブラウザ)/iOS/Androidで、基本プレイ無料で配信中です。
※UPDATE(2025/3/11 19:10):Skyfall様からの要請により、見出しを一部変更させていただきました。