人生シミュレーションは箱庭世界の魅力に満ちています。キャラクターたちが自由に生活して恋や結婚、ときには別れを経験したり、不思議な友情が育まれたり、とんでもない犯罪が起きたりと、さまざまな人生模様が小さな箱庭の中で展開していくのです。
クラフトンとinZOI Studioが、2025年3月28日にSteam早期アクセスにてリリース予定の『inZOI』は、人生シミュレーションの期待作です。世界に作られたキャラクター「ZOI」を操作したり見守るなかで、プレイヤーは思うままに世界を変化させて楽しむことができます。
プロデューサーが人生シミュレーションの金字塔『ザ・シムズ』のヘビーユーザーであり、多くの影響を受けているという本作。細やかなキャラクタークリエイトや自由な建築、人間らしさへのこだわりなど、本作ならではの魅力を作り出しているのも大きな特徴です。
本稿では、期待の新作『inZOI』の先行プレイレポートをお届け。2つの「ZOI」の視点から、違った魅力の変化する世界を見ていきましょう。

細かすぎるキャラクリエイトが楽しい!
ゲーム開始前に、まずはメインとなるZOIの作成を行います。キャラメイキングは性別や年齢層、見た目、衣装といった項目が設定でき、各種プリセットも用意されています。顔は各部位をマウスで直接調整するほか、シワやほうれい線などのすら0だー調整も行えます。
衣装やアクセサリーは帽子やメガネだけでなく、ネイルや鼻ピアスなどもあり、かなり細かく見た目を作り込めます。自分で袖や首などのデザインを組み合わせたオリジナル衣装の制作や、3Dプリンターを利用しアクセサリーのインポートもできるので、こだわった自分だけのZOIも作れます。


プリセットをそのままに年齢を変化させることもできるので「同じキャラクターが同年齢を重ねたか」を見るような楽しみ方も。なお、子どものZOIだと、ピアスなど一部のアクセサリーやフェイスアート機能に制限がかかるようです。



ワールドに送るZOIは、見た目の他に生まれ持った性格の「気質」を決める必要があります。青年以降の年齢のZOIは、目指す人生の方向性である「希望する人生」を設定することもできます(設定なしも可能)。1つの世界に8人までのZOIを制作して、家族単位でのシミュレーションも行えます。




異なる都市での生活模様を楽しめる
プレイテストでは、韓国を模した「ドウォン」と、アメリカ西海岸を模した「ブリス湾」という2つの都市を選択できました(インドネシアモチーフの都市も実装予定)。どちらの都市も異なる特徴があり、海に面したブリス湾ではサーフィンの練習ができるなど、アクティビティも変化します。
最初のプレイではブリス湾を選択。どんなZOIを作ろうかと色々と衣装や顔を試していたところ、妙に自信満々な男性顔を発見して気に入り、彼を最初のZOIにすることにしました。「気質」は野心家、人生目標は次世代のリーダーです。ブリス湾のマンションに一人暮らしという設定で、早速キャラを制作しました。




『inZOI』では、制作したキャラクターを操作することも、AIに行動を任せることも可能。オブジェクトをクリックすると行動を選択できます。最初にZOIが行動したのは、パソコンに向かって執筆活動をすることでした。タイトルやあらすじを入力できるのが素敵です。完成した本は売ることもできます。


ゲーム内のZOIは食事や清潔、承認など8つの欲求を持っていて、満たされないと気分に大きく影響します。欲求はアイコンをクリックすれば最善な行動を取ってくれるので、自分で操作したい場合は活用しましょう。また、タスクとして“今やりたいこと”が提示されることもあります。




見守ることも自分としてのプレイも
他のZOIとは家族愛・愛・ビジネス・友情という4つの関係性があり、会話や行動で数値が上下していきます。数値が一定以上になれば友人から親友、親友からソウルメイトといった風に関係性が変化していき、会話の中で選べる行動も増えていきます。
例えばコーヒーを好みに設定しておけば、コーヒーについての会話ができるようになるなど、ZOIの気分や好みによって会話の選択肢が増えることも。好みの傾向は食事や趣味などは好き・嫌いを10種類まで設定可能で、さまざまな選択肢や結果などにも大きく影響していきます。



さて、最初のZOIこと【みすた かとう】くんで、初日は自分で操作してやれることを試してみました。海で遊んだり、カフェでくつろいだり、ホテルのピアノを弾いたりと、色々な場所でやれることを試してみました。金庫を盗むといった選択肢があるなど、犯罪行為ももちろんできるようです。
2日目からはある程度自動行動に任せてみたのですが、いきなり相手を挑発するように挨拶しはじめました。野心家の気質が驚くほど不遜な方向性で出ている……!『inZOI』では一週間の行動をスケジュールで設定できるので、ある程度決めておけば、プレイヤーの見たい場所でのZOIの活動を見守れます。





大学に通わせたり、仲間とパーティーを開いたり、いろいろな行動を通じてZOIは能力が成長していきます。「希望する人生」には、達成すべき課題もあるので、自分でプレイしながら人生の目標を目指していくのも一つのプレイとして楽しめます。





シミュレーションならではの楽しみも
この世界は実はARカンパニーという企業による平行宇宙「inZOI」のシミュレーションです。箱庭ゲームだと思っていたら設定レベルでも本当に箱庭。プレイヤーはクリエイターとして、各自の「inZOI」で、住民と都市を管理するのが目的なのです。そのため、ゲーム内では都市に関する色々な設定も可能です。
そこで、2つ目の世界を作って新しいシミュレーションを試してみます。今度は4人家族を作り出して、それぞれの生活を見ていこうと思います。街の設定は、治安が低く、火災や事故が起こりやすく、市民意識は低いけど恋愛や友情は成立しやすいというカオス極まりない都市です。住みたくないなあ。



空き地にプリセットの家を建てて早速ゲームをスタートしましたが、開始数分で家のテレビが燃えるという事故が発生。引っ越し初日(という設定)から消防士が駆けつけるというハプニングから新たな生活がスタートしました。また、水道や冷蔵庫もいきなり破損しました。
カオスを期待して公園に赴いてみたのですが、明らかに画面の遠くで喧嘩している様子が見られたり、都市設定はかなり如実に反映されるようです。ちなみに、ゲーム内で都市のデータが見られるのですが、初日で火事物損が2件、車両事故が4件、死者が7名という結果でした。





夏の都市を突然冬景色に変えたり、ワニやパンダを溢れさせたり、ゲーム内では極端な変化も加えられます。もちろんリアルにシミュレートすることもできるので、とても幅の広さを楽しめる作品だな、という印象を受けました。




新たな人生シミュレーションとして登場した『inZOI』は、美麗なグラフィックとキャラクター・都市のカスタマイズ性などで、さまざまなプレイや人生模様の観察を楽しめます。干渉できる部分も多く、行動の選択肢も多いので飽きさせません。
一方で、どうしても大規模なシミュレーションを行うという点で、決してゲームの動作は軽くありません。先日システム要件も発表されましたが、今後さらなる最適化を目指すことも明らかになっています。待望の新作人生シムとして、多くの人が楽しめる事を期待したいところです。
なお、同社では2025年3月23日よりキャラ作成と建築を体験できる『inZOI: Creative Studio』をSteam向けに配信予定です。幅の高いキャラクリエイト、そして部屋や家具なども自由に構築できる、本作の一部要素を試してみるチャンスです!