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日頃からGame*Sparkをご愛読いただき誠にありがとうございます。私たちもようやく独自のゲームレビューコーナーを設けることになりました。その記念すべき初回で取り上げるのは、ロックスター・ゲームスの新作『レッド・デッド・リデンプション 2(Red Dead Redemption 2)』です。
レビューは僭越ながら私、文章書く彦が担当させていただきます。プレイしたのはPS4版(ダウンロード・通常版)で、執筆時点で『レッド・デッド・オンライン』は実装されていません。記事の最後にはGame*Spark読者レビューについて案内してますので、興味がおありでしたらそちらもチェックしてみてください。
ところで、何を隠そう私は学生時代にPS2版『Grand Theft Auto 3』をプレイして以来ロックスターのゲームの大ファンですから、今回のレビュー執筆は非常に光栄に感じてます。ロックスター・ゲームスの新作が出るたび、自分が本当にちっぽけな人間であると再認識します。なぜなら、ゲームがあまりに巨大だから……。
『レッド・デッド・リデンプション2』とは
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本題に入る前におさらいしますと、『RDR2』は『レッド・デッド・リボルバー』に端を発する「レッド・デッド」シリーズの第三作目です。第一作目『レッド・デッド・リボルバー』はステージクリア型のアクションゲームでしたが、その続編『レッド・デッド・リデンプション』で大幅なパワーアップを遂げ、世界中のゲームファンの熱狂を呼びました。私も前作は北米と日本のわずか数日の発売日のズレが我慢できず、海外Xbox 360版を輸入して遊んだの覚えています。
『RDR』シリーズは同社の代表的なゲームである『グランド・セフト・オート』シリーズとプレイ感覚が近く、「西部劇版GTA」などと紹介されることもありました。本作も根幹のゲームプレイやチュートリアルなどは『GTA V』を踏襲していますし、『GTA V』と同様に本作にもオンラインモードが実装される予定です。
PS4/Xbox One版『GTA V』が発売されたのは2014年ですが、この4年間で今世代も円熟を迎えました。ハードの性能を限界まで引き出したようなゲームも増えてきて、ゲーマーとしては(幸福で)目眩がするような思いです。
その中で「ロックスター・ゲームスの新作」が発売されるというのは、私のみならず世界中のゲーマーにとって特別なことでしょう。『GTA V』が基本的にはPS3/Xbox 360世代のゲームであったことを考えると、『RDR2』は、おそらく今世代最初で最後のロックスターのゲームだとも考えられるからです。
ファーストインプレッション
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ということで、発売から数日間、寝ているとき以外は夢中で『RDR2』をプレイし続けました。まず最初に目を引くのは(プレイしたみなさんもそうでしょうが)、その美しいグラフィックです。冒頭の雪山パートをプレイしていると、まるで自分まで寒くなるような錯覚を覚えるほど。現実世界において朝方がちょっと寒くなってくる季節だったのもよかったです。
遠景の雪山にまで実在感があり、もうひとつの世界がすぐそこにあるかのよう。こういうゲームを遊ぶときは、「できるかぎり大画面で遊びたい」と思うのが人情というものでしょう。あまりに個人的な話ですが、私は発売一ヶ月前ぐらいからかなり気合を入れていたので、予め大きめのディスプレイを購入しておいたんですが、これは本当に大正解でした。
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ところで、「列車強盗」はすべての「アクションもの」の基本です。世界初のアクション映画は「大列車強盗」だと言われています(「大列車強盗」は世界初の西部劇映画でもあります)。一作目(『レッド・デッド』シリーズとするならニ作目)『レッド・デッド・リデンプション』でも列車は登場したのですが、今回の列車強盗の臨場感は本当に桁違いの出来。
特に最初の列車強盗の凄まじさには、誰もが心を掴まれることでしょう。私は掴まれました。やっていることは強盗ですが、心の底から多幸感が溢れてくるよう。「新世代の古典になるであろうゲーム」をリアルタイムで遊んでいるんだという幸福感は、そうそう味わえるものではありません。
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やれることは山積みで、漫然とプレイしていると一向に物語を進めることができません。釣りをしたり、狩りをしたり釣りをしたりおしゃれをしたり……様々な要素の中でも特に気に入ったのは、銃のカスタマイズです。部品ごとに金属を選べ、グリップの素材まで選べ、好きなように「私の愛銃」を作れるのです。
銃をメンテナンスする度にじっと眺めることもできて、そのまま見惚れてしまうこともしばしばありました。私としては主観モードで銃を眺めるのがオススメです。「狩り」や「釣り」なども細部がフェティシズムに満ちているので、どんなプレイヤーでも自分なりの楽しみを見出すことができるんじゃないでしょうか。
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メインストーリーが進むごとに行ける場所が増え、比例して遊べる要素も増えるので、もはや目眩すら覚えます。話を進めるのがもったいないのに進めないと開放されない要素もあり、プレイヤーはなんとも幸せなジレンマに陥ることでしょう。使っていいお金が沢山あるときに、ショッピングカタログを眺めて「何を買おうか」と迷っているような幸福さが、『RDR2』にはあるのです。
前作ファンへのサービス豊富なシナリオ、魅力的なキャラクター
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シナリオ終盤は直接的に前作『RDR』に関わる部分が多くなってきます。前作ファン感涙ものの演出も多数あり、彼らの行く先に思いを馳せ、私はずっと泣いていました。前作主人公である「ジョン・マーストン」一家も話に密接に関わってくるので、前作未プレイの方は『RDR2』クリア後に遊びたくなることは間違いないでしょう。
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アーサーやジョン以外のキャラクターも魅力的。話が進むにつれ乱暴になっていく未亡人「セイディ」、寡黙で頼れる男「チャールズ」なんかが個人的にお気に入りキャラクターなのですが、キーパーソンであるギャング団のボス「ダッチ」も、善悪で単純に割り切れるような人物ではなく、「人間臭さ」を感じさせてくれます。最後までプレイした方なら、ジョーカー的な役割の「マイカ」も印象に残っていることでしょう。
じっくりとプレイしていけば、クセのギャング団の面々もまるで家族のように思えるのでは。私はダッチと一緒に釣りに行くイベントのことを、クリア後も時々思い返すことがあります。このゲームには、そういった忘れがたい瞬間がたくさん存在します。
「ゲームで疲れた心をゲームで癒やす」という“無限”
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ストーリーは全体的に殺伐としているのですが、反面、どこか牧歌的な要素も散見され、それがこのゲームの大きな魅力となっています。端的に言ってしまえば、『GTA』シリーズと『Stardew Valley』が融合したかのようなゲームなのです。
緊張感のある銃撃戦パートと、漫然とプレイするフリーロームパートのバランス感が絶妙で、「ポテチの合間にチョコ食うとまたポテチ食いたくなっちゃう」といったような無限ループ感が存在します。つまり「ゲームで疲れた心をゲームで癒やす」ということなのですが、プレイを止めるタイミングが見つからなくなって困るんですよね。「よし、今日はここまで。キャンプに帰ったところでやめよう」などと思うと、帰り道でランダムイベントに遭遇し、数珠つなぎ的に更にイベントが発生し、永久に終われなくなったりもします。煉獄か?
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もちろん、クリア後もやることは山積みです。本稿執筆時点ではまだ七割以上の動物を見つけていませんし、もちろんすべての魚を釣り上げてもいません。ここまでボリュームがあると、本当に「ロックスターありがとう」としか言えないので、ありがとうと常につぶやきながらプレイしていました。アーサーの善悪による分岐なんかもあるらしく、またストーリーをやらなきゃいけないのか……大変だ……とも思うのですが、むしろ嬉しい悲鳴です。
(きわめて些細な)不満点たち
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そんなわけで「ロックスターありがとう、足を向けて寝られません」というのが私の前提だったりするのですが、些細な不満も感じています。このタイプのゲームだとある程度は仕方ないのですが、グリッチは多いです。
カバーポイントに入る際の吸い付き判定がおかしくて、吸い付いてる最中に撃ち殺されるようなことも多々ありました。ミッションの失敗判定が異様に厳しいポイントなどもあり、それがまたフラストレーションになることも。
とは言え、リプレイポイントは細かく設定されていますし、何度か死ぬとミッションをスキップすることもできます(実際にしたことはないのですが)。多少面倒くさかったりするのは織り込み済みなので、その分サクサクやり直してくれ、という配慮が垣間見えますね。
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これは個人の好みが別れるところですが、シナリオ面に関しては、個人的には一作目のほうが好きでした。このレビューではネタバレは避けますが、基本的には(一作目を知る人だと特に)「まあそうなるだろうな」という方向に話が進んでいくので、シナリオ自体に意外性はありません。
また、本作にはかなり長いエピローグ部があるのですが、正直言うと最後の方は「そろそろ終わんねえかな」と思いながらプレイしている瞬間もありました。一気に遊んでしまった私が悪いんですが……。
総評
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もちろん、そういった僅かな不満点など些細に感じるほどに『RDR2』は素晴らしいゲームです。『RDR』や『GTA V』と同じように、これから人生を通じて時々再プレイするであろう作品と思います。
ここまでのボリュームのゲームをプレイするのは本当に久しぶりなので、繰り返しにはなるのですが、ロックスターには感謝しかないです。素晴らしいゲームをありがとう、ロックスター。これで『GTA VI』まで、しばらく退屈せずに過ごせそうです。
総合評価: ★★★
良い点
・遠景から細部に至るまで精巧なグラフィック
・バリエーション豊かなやりこみ要素
・『RDR』ファンを唸らせる物語
悪い点
・カバーシステムが不安定ぎみで、グリッチが起こることもある
・物語後半のパンチは弱い
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