グロテスクな表現や残酷表現が苦手な方、18歳未満の方は閲覧をご遠慮下さい。
最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回はBloober TeamとAnshar Studiosが開発を手掛け、Bloober Team SAがパブリッシャーとして、2020年11月11日にPC(Steam/Epic)およびXbox Series X|Sと海外PS5向けにリリースしたサイバーパンクホラー『Observer: System Redux』について生の内容をお届けしたいと思います。
『Observer: System Redux』とは?
本作の舞台は2084年におけるディストピアな未来世界。インプラント技術の発達で人々は身体機能を拡張するようになった反面、疫病や戦争によって荒廃し疲れ果てた社会。それをホログラムの華やかさで上辺だけ取り繕っている世界観は、まさにサイバーパンクに溢れています。
主人公ダニエル・ラザルスキはそんな世界において、KPDと呼ばれる警察に身を置く“オブザーバー”として、現場を調査しつつ、他人の記憶に直接潜入して情報を集める日々を過ごす敏腕刑事。物語はそんなある雨の降る晩に始まります。
オリジナル版『オブザーバー』との違い
本編を始める前に、少しだけオリジナル版との違いについて触れておきましょう。本作はもともと2017年にリリースされた『オブザーバー』に対して、次世代機レベルのグラフィックに強化、ゲーム内の演出やアクションを刷新しつつ、さらにはシークレット要素とサブシナリオが追加したものです。
筆者はオリジナル版をプレイしたので、その上で比較するなら、例えば日本語字幕のサイズや文字色/背景色が調節できるようになったのが嬉しいところ。また、グラフィック部分はオリジナル版よりもディテールが描きこまれ、ホログラムがより見やすくなっていると感じました。
これ以外にもいくつかあるのですが、本編中に比較していきます。今回はこうしたオリジナル版との違いを楽しみながら進めるのも良いかもしれません。早速やってまいりましょう。
本編開始
主人公ダニエルが目を覚ますとそこは雨の降りしきる夜の街、その裏路地に停めた車内。呼び出しのコールを受けると上司?と思われる女性から、生体信号の乱れを指摘され薬の服用を勧められます。
ダニエルは目の部分にインプラントを施しているのですが、時間経過や精神的ストレスにさらされると、機械と身体の同調が乱れて視界にノイズが入るようになります。会話から察するにこの乱れは時として命に関わるらしいので、乱れを抑えるこの薬は欠かさず服用したほうが良さそうです。
呼吸を整えてから状況の報告を続けていると通信の割り込みが。車内の計器類モニタがすべて暗くなるあたり、正規の手順を踏んだものではないことが窺えます。
通信の主は、主人公の息子アダムでした。とある事情で長らく音信不通になっていた最愛の息子。要領を得ない内容とその様子から、何か重大な事態が進行中の様です。通信も切れてしまい、ダニエルは慌てて発信源を特定します。
彼の通信は、いわゆる貧民層の居住区から発せられていたことがわかりました。最悪の場所から届く最悪の通信に思わず声が漏れるダニエル。ここまでの短いやり取りで、我々プレイヤーが行ったのはマウスによる視点操作と薬の服用だけ。それにもかかわらず、この物語の引き込みぶりに本作のポテンシャルの高さを感じます。ともあれここから操作パートが開始です。
操作パート
さてやってきました貧民居住区。ホログラムが建物内部をところせましと覆いつくしており、ザ・サイバーパンクといった様相を呈しています
操作パートでは、「情報は足で稼げ」の言葉通り、ダニエルを操作してマップのあちこちを探索したり、聞き込みを行ったりして情報を集めていきます。今回のプレイはマウス&キーボードを使用しているため、WASDで移動、左Shiftでダッシュ、Tabで事件ログ確認、視点操作およびアクションにはマウスと左クリックが対応しています。
建物の管理人にアダムの部屋を確認する主人公。しかし冷たくあしらわれてしまいます。この管理人については、吉田輝和さんがこちらの記事で「ちょっと抜けてて可愛い」と仰っており、筆者も本作における最萌キャラだと思っています。
オリジナル版では、内装や灯りに照らされた肌の色合いから、もうちょっと温かみ(?)のある雰囲気でした。
それが本作だとこう。情報量のバランスによって画面がキュッと締まったような印象を受けます。個人的にはこちらの方が好きですね。
意外とチョロかった萌えキャラに道順を教えてもらったので、息子の部屋へ向かいます。ここも比較すると、本作はオリジナル版よりも鮮明に見えます。
さて、建物内部では斬新な拡張工事の跡がそこかしこに垣間見えます。こういう未来技術あふれる世界で、ハンマーを構えたジェレミー・クラークソン氏のようなパワープレイを敢行するのは個人的に好きな部分ですね。
この世界でもVRヘッドセットが大人気のよう。しかし、この時代ではインプラントが普及したことで生活がよりデジタル化しており、視界にはホロ(立体映像)まで映るわけですから、今更VRをするメリットはあるのかな?と疑問視してしまいます。
ましてやこの広告が掲載されている場所はスラムのどん底。ゲーム冒頭のムービーで貧富の差が激しいことが説明されていましたが、もしかするとインプラントすら出来ない経済レベルのユーザーに向けた広告なのでは……?いや、邪推のしすぎですね。僕も一時期はOculusに引きこもりホロ(賢狼)を愛でては現実世界に戻れなくなっていたので、気持ちはわかります。何の話だ。
本作の世界におけるVRについてもっと話をすると、世界観を共有するFPS『The Raid』というゲームが現在開発中だったりします。トレイラーを確認すると、プレイヤーは本作でも登場する巨大企業Chiron Corporationが主催するVRトーナメントに参加しているようです。
閑話休題。調査パートに戻りましょう。部屋の鍵は開いており、中に入ると鉄格子がねじ切れて、荒れ果てた室内が目に飛び込んできます。もうだめだ。
画像ではあえて直接は映しませんが、首から上を刎ねられてスパ君にされた(リンク先記事末尾の画像参照)息子と思しき遺体が窓際に座り込んでいました。ここからダニエルの身体に埋め込まれたインプラントによる機能「電子ビジョン」と「生体ビジョン」を使い分けつつ、室内とホトケさんの調査を開始します。
電子ビジョンでは機械的な部品などを検知してスキャンし、詳細を把握できます。画像によるとホトケさんはスタンバトンで抵抗を試みたようですが、その努力もむなしくやられてしまったようです。さらに亡骸をスキャンすると、主人公へ電話した時間よりも前に死亡していたことが判明。ということはこの方は息子アダムでは無い……?少しだけ希望が見えました。
一方で生体ビジョンは、薬品や生体的な物質をスキャンして詳細を把握できます。画像は冒頭で少し触れた、インプラントとの同調乱れを抑える薬ですね。こうしてマップに落ちていることがあるので、積極的に回収すると良いでしょう。所持数については、事件ログの画面左にある薬のカプセルマークにゲージとして表示されます。
調査が終わり、いくつかの情報を入手。どうやらH.NというIDを持つ住人が次の手がかりの様です。ここからの道中では、建物のロックダウンが起きたり、管理人室で萌えキャラの悲しい過去を知ったり、いろいろありましたが割愛します。
あ、サブクエストではありますが、こちらの見るからにいかがわしい部屋は「これ以上は18禁どころじゃなくヤベえ!」となったので、この場所でのスクショ掲載は次で止めておきます。
生体ビジョンで床やベッド、絶対にお見せできない玩具の数々をスキャンしたら、本当にいろいろありました。
トイレの作りこみも抜群
話は少々ズレますが、本作トイレの作りこみが半端ありません。汚いキツイ臭いの3K揃い踏み。
今後本編中何度もトイレが登場しますが、その都度作りこみにちょっと感動している自分がいました。オリジナル版においてもその圧倒的なクオリティから、こちらの特集記事「トイレ・オブ・ザ・イヤー 2018」においても見事トップに選ばれています。トイレが良いゲームは良いゲーム(※僕の極めて狭い観測範囲における極めて個人的な意見です)。
いざ記憶潜入
手がかりを元に参考人として浮かび上がった人物が住まう部屋の前に来ました。床には玄関マットの代わりに血糊が敷かれています。入りたくねえ。
やあダニエル!室内に踏み込むと荒れ果てた部屋に割れた窓ガラスが。何者かに襲撃されたことが一目でわかります。それなのにリビングへ続くカーテンを開けさせようとしてくるのがこのゲーム。もうやだ絶対死んでますよこれ、開けたら死んでますよ……。本当にホラー演出が巧みでマウスを握る手にも力がこもりました(本音:怖すぎるので勘弁してください)。
カーテンを開けると案の定、28箇所の刺し傷……じゃなかった参考人は見るも無残な姿になっていました。が、まだ辛うじて息がある。とはいえ話すこともままならぬようです。このままでは何も証言を得られないまま亡くなってしまいます。
では、どうするか?そう、ここでニューラル警察と呼ばれる所以でもある技術が登場。対象の神経インプラントにプラグを直接差し込んで記憶を読み取り、最後の状況まで追体験するのです。え、いやだ(本音)……。だって部屋は大荒れで、参考人が虫の息になるくらいまで激しい襲撃をかけてきた「何か」を追体験していくわけです。ホラー演出どか盛り必至じゃないですか。しかし逃げ場はどこにもなく、やるしかない。意を決して対象に接続した瞬間、視界が引き延ばされ記憶の世界へぶっとびました。
ちなみにプラグは、攻殻機動隊的なアレやソレでうなじにカチッと挿すわけではありません。
このぶっといのを肌にズブリと刺しこみます。もうほんっと容赦なく首にグサっと刺します。
精神と記憶世界の狭間で
いくらインプラントによる人体拡張で人がデジタル化されつつあるとはいえ、記憶が鮮明な映像として読み取れるほどではありません。
ある程度の枠には収まりつつも、細部が乱れた記憶と精神がごっちゃになった世界を主人公は進んでいきます。
ここから一気にホラー演出が加速。扉をどんどん叩く音。顔の見えない他人。ずっと何かを唱え続ける低い男の声。物理法則を無視したノイズで乱れる世界が展開します。
参考人の記憶を追うと、彼が元犯罪者のジャンキーで、ナイトクラブで今のパートナーに出会ったこと、いろいろ問題はあったようですがそこそこ幸せな生活であったことなどがわかります。犯罪的振る舞いの部分は置いておくとして、どんなに生活が荒れていても帰る家があり、待っててくれる人がいるというのはちょっと羨ましいかも。
そこに突然襲い掛かる怪物。画像では少し見えづらいかもしれませんが、鋭い爪を生やした人型のバケモノが家を襲撃します。逃げろ!とパートナーに向かって叫ぶ参考人、大きく映像が乱れていきます。
途中で参考人が死亡してしまったため、強制的に追体験が終わり、現実世界に戻されました。やあダニエル!(2回目)ここから逃げ出したパートナーである女性を参考人として探す調査パートが再び始まり、。物語はさらに深くプレイヤーを引き込んでいきます。
おわりに
単純なホラーでもなく、かといってサイバーパンクの形だけ借りたわけでもない。未来技術と社会的な問題が織り成す息苦しい毎日をどうしたって生きなければならない世界観が見事に表現されている本作。オリジナル版から強化されたビジュアルがより世界を魅力的に彩ります。
演出上グロとホラー部分は避けられませんが……何度か繰り返しているように引き込むストーリー展開とSF部分が合わさって、ホラーが大の苦手なのにぐいぐいプレイしている自分がいました。
本作を初めて知った方、そして既にオリジナル版をプレイした方も、もし進化した本作に少しでも興味を持たれたら、是非プレイすることをお勧めします。
対応機種:PC(Steam/Epic Gamesストア)/Xbox Series X|S/海外PS5
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2020年11月11日
記事執筆時の著者プレイ時間:1.8時間
通常版価格:通常3,000円、セール価格 2,781円(2020年11月18日まで)
デラックスエディション価格:通常3,600円、セール価格3,240円(2020年11月18日まで)