今回で同じ筆者による『Fallout 76』レビュー第3回目となりますが、今回の「Steel Dawn」アップデートでは「B.O.S.」がアパラチアの地にやってきて、前回の「Wastelanders」よりさらなる人間NPCを招き入れ世界の拡張を図るものとなっています。本アップデートでの大きな特色はB.O.S.が絡むメインクエストに「C.A.M.P.シェルター」機能でしょう。また本稿ではレジェンダリーPERKについての評価も行います。
今回のメインクエストは今後を期待させる
このたびのB.O.S.絡みのクエストではラジオを聴くことがトリガーになっています。彼らは民を最終戦争後の危険から解放するという使命をうたっており、またB.O.S.を助けたい人を募っていてそこからB.O.S.に与することになります。場所は「ATLAS砦」なる場所でB.O.S.の拠点となっています。
今回のメインクエストでは戦前の遺物からアパラチア各地に散ったB.O.S.の武器の回収などのものが楽しめますが、期待させるのは「今後のシナリオ追加での分岐による展開」がありそうだという点です。選択肢でその場にて結果が得られず、ひょっとしたら今後展開が変わるかもといった半ばエピソード形式になっているような印象さえあります。この点は非常に期待を持たせてくれますし、今後も楽しみに出来るという「プレイヤーとの約束」を果たしてくれているようにも感じられて好印象でした。
習慣となれるかが鍵のオンラインゲームにおけるデイリー
今回のアップデート前にあったパッチ22で追加された「デイリーオプス」も非常に楽しめます。これはクリア時間に応じてデイリー報酬がもらえるレイドコンテンツで、レイドでありながらそこまでのガチ感はない比較的カジュアルな内容となっています。
ただし、このデイリーオプスでは敵に追加されるバフがランダムに設けられ(1回ごとにランダムではなく日替わり)場合によっては「とどめの一撃は近接攻撃でしか倒せなくなる」ものもあり、また敵の種類もロボットやスーパーミュータントなどランダムですので苦労することもしばしば。
とはいえ基本的にデスペナルティは軽く気軽に楽しめるものとなっています。なによりクリア後の報酬がレジェンダリーがもらえることがあるので、非常においしく毎日取り組めます。これは習慣化できるので魅力的といえます。
なにより先だってのアップデートで「野良で目的別かつカジュアルにチームを組めるシステム」が導入されたので、デイリーオプス目的のフラグを立ててチーム募集を開く事も可能となり、よりデイリーオプスが楽しめます。
新しい「C.A.M.P.シェルター」機能は少し物足りない
今回のアップデートで自分のVaultのようなものを作れるシェルター機能が追加されましたが、サイドクエストをこなすとアンロックされます。されますが、現時点ではディスプレイ機能などは使えずにまだまだ物足りない印象を残しています。ハウジングを楽しむ分にはいいのでしょうが、それにしてはまだ限定的といわざるを得ません。
レジェンダリーランはデイリーチャレンジに意欲を持たせる
習慣づけについて前述しましたが、これもまた先だってのアップデートで追加された「レジェンダリーラン」と「S.C.O.R.E.システム」があります。既存のデイリーチャレンジで得られるのが「S.C.O.R.E.」というポイントに変わり、このポイントを使ってランクを上げレジェンダリーランというボードゲームを進めると、スキンやアイテムなどさまざまなものがアンロックされる仕組みになっています。デイリーチャレンジは優先してプレイする必要性も薄かったですが、これにより優先度もあがり習慣づけの強化が行われています。
また「レジェンダリーPerk」も先だってのアップデートで追加されたものです。これはレベルが50刻みで最大300まで、つまり6スロットまで増やせる特別なPerkスロットに差して使う専用のPerkです。レジェンダリーPerkのランクアップには「ノーマルPerkカード解体」によって手に入るPerkコインが必要です。これで手持Perkカード一覧にあった不要なカードを処分できるし、それでいてレジェンダリーPerkを強化できるしおもしろみが大きいシステムとなっています。若干必要なPerkコイン数が多く(1ランク上げるのに50から100から150へと増えていく)少々厳しい道のりではありますが、レジェンダリーPerk自体が能力の底上げとなるので楽しく取り組めるでしょう。
新しい習慣になり得るアップデートを果たしている真っ最中
新しい習慣となれるかが鍵であるオンラインゲーム。生活に取り込めるかがポイントとなってくるはずです。本作は「アップデートの折に遊ぶ」といったゆるいプレイを許容するため気楽に遊べるようになりました。あらたに問い直される「ソフトコア・サバイバル」は、アップデートによって飢えと渇きの概念が「デバフをもたらすもの」から「バフをもたらすもの」へと大きく転換しました。
これにより食事をわずらわしく思うことなく遊べるようになり、しなければ損をします、というものから、すれば得をします、という風にかわり気楽になりました。メインクエストではかつてのWastelandersアップデートで追加された集落の再利用が行われており、Wastelandersから留守にしていたプレイヤーもふたたび戻ってくる価値はあるといえます。
良い点
・今後の分岐をにおわせるメインクエストの選択肢
・気楽に取り組めるデイリーオプス
・オンライン要素をより活かしはじめた点
悪い点
・「C.A.M.P.シェルター」機能が限定的すぎる
対応機種:PlayStation 4/Xbox One/Windows(Steam/ベセスダストア)
発売日:2020年4月15日
記事におけるプレイ機種:PC(Steam/ベセスダストア)
今回の記事執筆に限定したプレイ時間:28時間(※アップデート前のプレイ時間はチャレンジでみると473時間、総計501時間。ただしSteam版でのプレイは総計166時間)
価格:4,800円