目まぐるしく移り変わる世の中、ゲーム業界も光の速さで進歩し、どれが自分に合うゲームなのか見極めるのは誰にとっても悩みどころです。懐の予算や遊ぶ時間と向き合いながら、いますぐ新作ゲームの情報が知りたい。そんなときのための「爆速プレイレポ」でございます。
今回は、LoomiartsとFehorama Filmesが開発し、9月21日から配信中の『Squad 51 vs. the Flying Saucers』をプレイして気になる内容を紹介します。
『Squad 51 vs. the Flying Saucers』とは

本作は、全編にわたって、1950年代風のモノクロタッチで描かれる横スクロール平面シューティングゲーム。人類に繁栄をもたらすという建前で地球にやってきたザログ大帝とエイリアンたちは、ベガ・コーポレーションを作り上げて着々と根を張り、ついには恐るべき野望を進めている事実が明らかになります。

抵抗する人類が結成した「Squadron 51(第51戦隊)」のカヤ中尉として、プレイヤーは当時のレシプロ式や初期型ジェットなどの小振りな戦闘機、大型の飛空艇も含めた4種類の機体を駆使して容赦ない弾幕を展開するエイリアン軍と戦います。

ブラジルの映像会社Fehorama Filmesの共同開発もあり、あえて古風な表現法や実写のカットシーン、ステレオタイプの宇宙人やUFOといったB級映画っぷりも必見です。


なお、本作は一部に翻訳漏れも見られますが、日本語をはじめ複数言語に対応。シューティングには欠かせないパッド操作にも完全対応しています。その他、ローカルでの2人協力プレイも可能です。
家族で観られるカジュアルSFストーリー

テレビ黎明期でもある50年代の雰囲気そのままに、白黒ながら、現代技術によって綺麗に整えられた映像で物語が展開します。



ある日、宇宙の彼方から現れたザログ大帝と配下のエイリアンたちは、友好的な存在として人類の前に降り立ちました。進歩と調和を謳い文句にして地球社会に溶け込み、巨大な工場を建設するなど大盤振る舞いでしたが、その裏に陰謀があると確信して行動を起こしたのが主人公のカヤ中尉が所属する「第51戦隊」です。
ラマルカ元帥が指揮する51戦隊は優秀なパイロットが寄り集まり、ザログ大帝によって過酷な労働に服されている人々を開放すべく、今日も戦い続けています。


しかし、ザログ大帝はメディアや世論を巧みに操作し、人類のために蜂起した51戦隊をテロリストとして弾圧。反対する人々を社会的、時に物理的に排除し、ゆくゆくは地球を乗っ取るという企みを密かに進めていました。




オープニングやステージの合間に流れるカットシーンは全て実写で構成され、海外の本場仕込みの皮肉や戦闘シーン、潔いほどに隠さない古典的展開や露骨な合成映像などもあって気持ち良く楽しめました。レトロな作風に思い入れのある制作者たちの強いこだわりが感じられる作品です。
必要なものは全て備えた本格シューティング

“一騎当千”というSteamのタグが示す通り、プレイ中は自機のみを操作して、UFOの大群と戦うことになります。背景として味方が混じることもありますが、僚機に指示するといった要素はなく、自分の腕とカスタムした機体だけが頼りです。
全部で4種類の機体が用意されていますが、ステージで使えるものは決まっていて、カスタム部分だけが共有されます。はじめは爆弾や主砲のレート上昇といった基本的なアップグレードしかなく、スロットも3つしかありませんが、ゲーム中に稼いだスコアの累計によって少しずつ解放される仕組みです。



戦闘機は機体が小さく回避しやすい半面、武装は主砲1門のみ。大型機は2倍近いサイズになりますが、複数の銃座を備え、後方攻撃ができるうえに主砲が3門となって圧倒的な攻撃力を発揮します。
それでも一筋縄ではいかない本作の難しさは、正統派シューティングとも言える、凝りに凝った敵の性能やステージギミックの構成にあります。伝統的な平面スタイルでありながら、グラフィック自体は精巧な3Dで奥行きのある地形も相まって、画面外に思わぬルートが見つかることもありました。




本作では主砲の他にスペシャル兵器の枠が存在し、ここぞというときに、爆弾やミサイルを使って力任せに強敵を突破して道を切り開くことも可能です。
後半になるにつれ、敵の弾幕も激しくなってパズルのような展開となり、特撮風の効果エフェクトが画面いっぱいに広がります。爽快感と臨場感をお腹いっぱいに得られるのは間違いないでしょう。



自分だけのカスタムで自分だけの攻略法

本作の機体カスタムはかなり強力で、その組み合わせ次第で難易度が変わってしまうかもしれません。敵の種類や特徴も様々であり、筆者も全てを試したわけではありませんが、スペシャル攻撃のために必要なゲージをスペシャル攻撃で溜められる点が大きいです。
最初は爆弾のみですが、スペシャル兵器は2種類まで搭載することができ、敵機の撃墜などでゲージを満たすと使用可能に。それを交互に使用することで必要なポイントを補い合うことができ、アップグレードにはスペシャルそのものだけでなく、各種兵器の能力強化や体力回復といったものまで存在します。


スペシャル兵器と主砲は全て同時に発射することもできます。ある程度アンロックが進んで装備が充実すると、大型の敵やボスに対して3武装による合計瞬間火力に物を言わせた攻撃であっという間に粉砕するのも不可能ではありません。
そもそも、スペシャルのチャージ自体が速いので、道中で襲い来る雑魚敵の群れを薙ぎ払ってもおつりがきます。弾幕を避けるのも正しいプレイだと思いますが、その弾幕を生み出す敵を早急に倒すこともシューティングであり、少しでも邪魔だと思ったら遠慮なくスペシャルで一掃してしまいましょう。



各ステージのクリア時の成績は最大三つ星で評価され、より完璧なクリアを求めるプレイとなれば、このスペシャルの使い方がタイムやスコアを大きく左右するでしょう。

本作は全11ステージとストーリー自体は短め。装備が揃ってくると、敵の対処など余裕が出るのもあり、3時間ほどでクリアできました。
モノクロと特撮風の仕上がりが斬新で目立ちますが、50年代物としては、プレイヤーが操縦する航空機も古い型式のものが揃えられていることに注目。あんまり新しい兵器が好きではない筆者は、カタリナやセイバーの面影がある懐かしの年代物など、そういうちょっとした部分も本作のポイントだと思っています。
シューティングとしても、かなりしっかりした作りになっているので、そちらに期待して待っていたという方もきっと満足できることでしょう。
『Squad 51 vs. the Flying Saucers』は、Steamにて配信中。リリース記念で15%オフとなっており、コンソール版も2022年末に発売が予定されています。
タイトル:Squad 51 vs. the Flying Saucers
対応機種:筆者がプレイした機種:PC(Steam)
発売日:2022年9月21日
記事執筆時の著者プレイ時間:3時間
価格:1,688円