飛行機と言われると読者の皆さんが真っ先に思い浮かべるのは何でしょうか?ミリタリーに興味がなくとも一度は聞いたことがある「ゼロ戦」か、はたまた「エンジンの音轟々と」という歌にもなった「一式戦 隼」でしょうか?他にも「銀河」に「流星」に「屠龍」「呑龍」、海外にも目を向けると「フォッケウルフ」に「メッサーシュミット」、「ポリカルポフ」に「ミグ」に「イリューシン」と歴史の中には名機が山ほど存在します。
「ADFX-01 モルガン」と答えたそこの貴方は、きっと『エースコンバット』シリーズのファン。「TSF-Type82/F-4J改 瑞鶴」って答えた人、ごめんなさい。それ戦術機という別物です。
何はともあれ飛行機ってロマンがありますよね。特に離陸の瞬間のふわりと浮くようなあの感覚。揚力だのジェットエンジンだのという現代人としての知識はあれど、やはりあの鉄の塊が空を飛びまわるのはなんとも落ち着かないもので。でも、雲の上からの眺めは飛行機以外ではなかなか体験できなかったりする訳です。

本日ご紹介するStonext Gamesの『Flyout』はそんな飛行機が主役のフライトシムです。でも、唯のフライトシムではありませんよ。なんと自分で飛行機を設計して自分で飛ばすことのできる、そんなフライトシムなのです。
人生で一度ぐらいは紙飛行機を飛ばした経験はあるにしても、航空力学を深く理解している人は多分少ないはず。まして「実際に飛行機を設計していました!」なんて人は…相当のレア人さんかと思います。でも、右も左もわからない初心者でもサンプル機体を弄り倒すぐらいは簡単にできますから心配無用。
翼を伸ばしたり縮めたり、エンジンを付け足したり色々工夫というより魔改造を重ねて、気が済むまで設計と飛行試験を楽しめます。

それに本作は本当に細かい部分まで設定が可能なのも特徴です。例えばプロペラ機ならプロペラの数からサイズ、ひねりなどを設定でき、ジェット機ならエンジンのバイパス比から圧縮機での圧縮比率、ノズルの3次元ベクター化といった機能面まで自在に設定可能なのです。こうした設定はシムモードでの機体の挙動に影響するので、時には直感による適当設定でも思いもよらない性能向上を見せることもしばしば。
最高速度を追求するもよし、旋回性能を競うもよし。はたまた設計の奇抜さを希求するもよしと非常に幅広い楽しみ方ができるフライトシムとなっています。
当然シムモードもリアル仕様で、Gによるレッドアウトやブラックアウトや構造限界による分解、気流や地面効果といった様々な要素が実装されていますから、安定した飛行ができるまでトライアンドエラーを繰り返すのはまるで本当の設計技師にでもなった気分です。
ああでもないこうでもない、揚力だの推力だの抗力だのを考えているとあっという間に時間が過ぎる。そんなフライトシムをご紹介していきます。
『Flyout』の実内容に迫る!






まずはオプション画面から。グラフィック設定から表示単位、キーマッピングまで一通り揃っています。加えてシミュレーション関連の設定も可能なのでマシンスペックに不安があれば適宜動作を見ながら調整してもいいでしょう。

では早速機体設計です。0からとなるとこんな感じでパイロットがぽつんと表示されます。これを中心に組み立てていくのですが、今回は時間や手間の面から割愛。サンプルデータを弄る方向で行こうと思います。

まずは練習がてらプロペラ機から。初期状態ではなんの苦もなく飛行できます。では早速翼をいじっていきます。

ウイングエディッタを開いてピンク色のポイントをクリック。3次元方向のそれぞれの矢印をドラッグアンドドロップすることで変形させることができます。

試しにこんな広い翼にして…あれあれ飛ばないですね。どうしてでしょう?なんだか推力不足のようですが。


なので更に改良。プロペラの枚数を増やしてさらに大型化、これで出力UPです。改良が功を奏して無事飛行成功です。


次に翼を長く伸ばしてみます。さっきの機体よりかは飛行機感が出ていますね。うん、スムーズに飛行しています、いい感じです。

では次はステップアップしてジェット機に挑戦です。カナードにデルタ翼、ファイル名こそグリフォンですがモデルは「SAAB39 グリペン」ですね。まずは初期状態で飛ばしてみます。至って普通の飛び心地。

次は翼周りを改造。かなりSFチックなカッコよさにはなりましたが、ちゃんと飛ぶのでしょうか…?




無事飛行成功…と思ったらやけに翼がたわむたわむ。試しにちょっと旋回してみるとなんと翼が脱落!どうやら強度不足だったようです。3回目の試験時には飛行前に翼が試験続行を拒否する一幕も。

なので翼を短くして再挑戦です。ちょっと寂しくなったのでラムジェットもいくつかトッピング。



おお、飛んだ!しかも早い!なにこれラムジェットすげーと感動することしきり。あまりに早すぎてちょっとした操作でレッドアウトやらブラックアウトが出てしまうぐらいの凄さ。ということでさらにラムジェットを増やしてみます。

…はい、機体が保たなかったようです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」ですね。
フライトシムは数ありますが、自分で色々設計できるという非常に珍しい部類の本作。ゲームで言うと『Kerbal Space Program』とかに近い作品となっています。
記事執筆時点で銃砲の発砲ぐらいはできるのですが、複数機体を読み込んでの戦闘といった要素は未実装なので今後のアップデートによる追加が楽しみです。
またレーダー反射断面積によるステルス性能判定といった機能もあるので、索敵や兵器にもレーダーが多用される現代戦にも対応可能。この辺りも遊びの幅が広がりそうで期待大です。
旋回性能を活かした巴戦からレーダーとミサイルを駆使した視程外戦闘まで、自身の設計した機体で競う。想像するだけで実に面白そうです。今後の機能拡充が待ち遠しい、そんな作品だと思います。
スパくんのひとこと
自身で設計して自身で飛ばす、なかなか珍しいスタイルのフライトシムスパ!試行錯誤を繰り返して思いがけない高性能機が完成したときは感動すること間違いなしスパ!うん、やっぱり空は良いスパね。飛ばないスパくんはただのスパくんスパ。
タイトル:Flyout
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2023年11月18日
記事執筆時の著者プレイ時間:4時間
価格:2,300円