個人インディゲームクリエイターのStochastic氏は、モンスター育成RPG『Anode Heart』をPC向けに2023年11月17日リリース開始しました。
本作は、プレイステーションの『デジモンワールド』シリーズに大きな影響を受けて制作された作品です。物語の舞台は、現実と仮想現実が密接に絡み合い、区別がつかなくなったような未来世界。記憶を失ったロボットの主人公・シークが、自らの記憶を取り戻し、世界の異変と迫りくる崩壊を止めるのが本作の目的です。
この世界には、さまざまな力を持つ不思議な生き物「Tama」が生息しています。プレイヤーは、このTamaを仲間にしながら世界を冒険していきます。ゲーム内には140種類以上のTamaや300以上のスキルが登場。Tama同士をかけあわせてより強い個体を生み出すなどの育成も可能です。
本稿では『Anode Heart』のプレイレポートをお届けしていきます。

世界に起こる異変の謎を解け!
本作のオープニングは、主人公のロボット・シークがなにかしらの使命を受けている場面からスタート。シークは舞台となる島の海岸に漂着、この島で「Tama」を研究しているメカニック・シシに救われて彼の研究所で目を覚まします。しかし、シークは自身の記憶が無いなど、多くの部分が不完全な状態のようです。
その後、主人公が研究室にある“卵”に触れたところ、今にも新たな「Tama」が生まれそうになります。シシはこれまで数ヶ月反応がなかったプロトタイプの“卵”が反応を示したことに驚きつつも、シークに3種類から孵化させる1匹を選ばせます。これがプレイヤーの最初の相棒「Tama」となるのです。





シシは元々ネット世界に生息していた「Tama」が、近年になって現実世界に現れ始めたことを調査していた人物。予定では“卵”から生まれた相棒の力を借りて島内の調査を行うつもりだったのですが、自分に変わって島の調査ミッションを行うことをシークに依頼します。
こうしてシークは、相棒とともに島内の冒険を行うことになります。その先には、自身の失われた記憶を取り戻す旅と、世界の存亡に関わる大事件が待ち受けているのです。





新たな「Tama」を捕まえて育てよう!
物語の舞台となる島内にはシシをはじめ多くのNPCが住んでいます。基本的な流れとしては、彼らの依頼を受けながら冒険する世界を広げていく、オーソドックススタイルのRPGです。もちろん島に住んでいるのはNPCだけでなく、野生の「Tama」も生息しており、彼らとぶつかると戦闘が発生します。
戦闘はターン制で、プレイヤーはTP(行動力)が尽きるまで攻撃などのアクションを選択可能。それぞれの技には使用コストや回数が決められています。回数制限を超えれば反動でダメージを受けるなどのデメリットがあるので、多数の敵との戦いになる際には技の回数を抑えたり、別の「Tama」に交代させなければなりません。

倒した相手は確率で起き上がって仲間になってくれます。戦闘中は相手の好物を与えることで確率アップするので、まだ仲間にしていない「Tama」を見つけたら色々と試してみることが重要です。ちなみに冒険に連れて行ける仲間は6体で、それ以上増えたら自動的に預けられます。
「Tama」はレベルが上がればステータスが上昇するほか、自分で割り振れるボーナスポイントも得られます。ステータスにはHPや力、マジックなどの項目があり、それぞれの個体によって性能は大幅に変わります。また、レベルが上がれば新たなスキルを覚えることもあります。



一定以上のレベルになれば進化したり、他の種族と組み合わせることもできます。組み合わせた「Tama」は両者のスキルを引き継げるほか、ボーナスポイントを割り振ってより強い個体にすることも可能です。組み合わせでは元となる「Tama」を選択できるので、好きな個体をベースに強化することもできますよ。
コストと使用回数のシステムは、強い仲間1匹で連戦させることを難しくしており、技の使い道やパーティー編成に悩む楽しさを生み出しています。もちろん属性などの相性システムもあるので、多くの「Tama」を捕まえながら鍛えることが大切です。





世界を冒険して拠点を強化しよう!
シークがシシから受けたミッションは島内の調査だけでなく、彼が住む研究所のある拠点に新たな住人を増やすというものがあります。島内にいるNPCの中には、クエストやイベントを通じて移住に賛同してくれる人もいて、彼らが加わることで拠点に店などの施設が増えたり、新機能がアンロックされていきます。
さらに特定のNPCが仲間になることで、島内の閉ざされていた新しいエリアに行けるようになります。こういった重要なキャラクターは、基本的にはクエストをこなすことで加入するので、ストーリー本編を進める上で悩むことはないと思います。そのほか、一定の住人が増えることで開くゲートなども用意されています。





特定の時間にしか出現しないイベントの近くには“時間を進めるイベントを持つNPC”がいたりと、イベント関連の管理は非常に丁寧です。一方で戦闘が絡むクエストの敵はそれなりに強く、テンポよくゲームを進めているとあっさり返り討ちに合うことも珍しくありません。
幸い全滅してもすぐに研究所から再開できるので、次回挑戦のためにより強い「Tama」を育成したり、島内を探索して強化アイテムなどを探し出したりしましょう。各種ステータスや相性、戦闘システムなど本作はそれなりに複雑ですが、チュートリアルやヘルプも多いので、じっくりと挑めば詰まることはありません。




ちなみに冒険以外にも、対戦カードゲームや釣りなどのミニゲームも用意されています。釣りはアイテム以外に海中の「Tama」を釣り上げて戦闘することもできます。特定条件下で戦闘できるパターンも多いので、世界を隅々まで探索することで冒険の頼れる仲間が増えていくのです。





ここまで紹介してきた『Anode Heart』。モンスターテイム作品としての面白さはもちろん、探索や冒険などのRPG部分も丁寧な作りで楽しく、とてもテンポよくプレイすることができます。育成の自由度も高く、じっくり遊べば遊ぶほど自分なりのスタイルを見つけ出せます。
主人公のシークをはじめとしたキャラクター、色々な種族がいる「Tama」などのドット絵のデザインも魅力的。明かされていく世界の危機や秘密などのストーリーはもちろん、それぞれのキャラクターの会話などの雰囲気も良好です。

ただ、探索することの意味が大きい作品なのですが、マップ内のオブジェクトの配置が少し分かりづらという点も。通れそうな隙間が実際は何もなく、再POPした敵に挟まれてしまうようなこともあります。慣れてくればある程度ゲームの「癖」はわかるのですが、序盤は探索で少し悩むかもしれません。そういう点でもじっくり遊ぶことがおすすめの作品です。
とても丁寧に作られたモンスターテイムRPG!探索や育成の楽しさもばっちりスパ!
タイトル:Anode Heart
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC(Steam)
発売日:2023年11月17日
価格:2,000円