アニメやゲームの定番ジャンルのひとつに「ロボット」があります。創作物のロボットは巨大な搭乗型、意志を持つような自立型、マスコットのような可愛いタイプなど多彩な種類があり、いずれも違った魅力を持っているものです。
ゲーマーのみなさんが現行機で遊べる素敵なロボットゲームを紹介する企画、それが【ゲムスパロボゲーカタログ】です。今回紹介するのは、2019年6月26日にPC向けにリリースされたハイスピードメカアクション『Project Nimbus』のリマスター版である『Project Nimbus: Complete Edition』です。

タイ発の高速戦闘ロボットアクション
『Project Nimbus』は、タイのインディーデベロッパーGameCrafterTeamが開発を手がける作品。元々は2007年にゲームを開発する高校生グループとしてスタートし、メンバーの大学卒業後に2012年に会社を設立しています。
本プロジェクトは2014年にSteam早期アクセスでスタートしました。同作は2013年12月にKickstarterキャンペーンを開催して目標額の約3倍の支援を達成。ゲームはストーリー完結に伴い、2017年に正式リリースされています。『Project Nimbus』はそこから新たな展開を見せます。
同社はその後東京を拠点とするGameTomoと協力し、2017年にPS4向けリマスター作品『プロジェクト・ニンバス:Code Mirai』を、翌年にはDLC「RISE MIRAI」をリリース。同作は全4章のストーリーを前後編に分けたもので、Unreal Engine4による向上したグラフィックが楽しめる作品です。
このリマスター版はゲーム本編&DLCがセットになった『Project Nimbus: Complete Edition』としても登場。PS4版リリースからおよそ1年後にはPC(Steam/DMM)/ニンテンドースイッチ版も配信され、さまざまなプラットフォームでゲームを楽しめるようになっています。さらに、2023年には、シリーズ後継作『Nimbus INFINITY』も正式リリースされています。
混乱する世界の中で描かれるそれぞれの英雄譚
本作の舞台は2078年。戦争の傷跡で人々は空中都市に逃れ、世界はアメリカを中心とする「CFN」、東側諸国による「UCN」という2つの組織が均衡を保っている状態です。しかし、空に逃れた人々を恨む地上の人間によるテロ組織「亡国の民」の策謀によって世界のバランスは大きく崩れていきます。
ゲームのメインキャンペーンでは、強大な力を持った2つの組織による衝突、そして「亡国の民」による謀略に巻き込まれる若きパイロットたちの物語を体験していきます。ストーリーは全4章で、それぞれのミッションで、さまざまなキャラクターと人型汎用兵器「バトルフレーム」を操作するのも特徴です。



チュートリアルでは、基本的な移動方法や射撃、敵をロックオンする方法などを学びながら、本作のハイスピードバトルを体験します。バトルフレームは機体ごとに異なる武装を持ち、強力なレールガンや遠隔兵器などを搭載した最新機体から量産機まで、さまざまな機体でミッションへと挑みます。
ミッションは基本的に、マップ内に次々と現れる敵の機体を倒していくことが目的です。その中で特定の目標を破壊したり、一定時間オブジェクトを護ったり、現れるエース機体を倒したりと、さまざまな目的を達成していきます。戦闘中もキャラクターの会話があり、もちろん日本語フルボイスで楽しめます。





ストーリーの中で、世界の様子は次々と変化していきます。その中で、さまざまな勢力のキャラクターが何を思い、何を為すのか。展開や雰囲気などのお約束とも言える部分を含め、開発チームが「本当に日本のロボット作品が好きなんだな」というのを感じます。





高速戦闘は駆け引きも大切
プレイヤーが使用できるバトルフレームは、たとえ量産機であってもロックオン可能なミサイルなどの強力な兵器を使用可能です。しかし、それは逆に言えばどんな敵機体を相手にしても、油断すれば強烈な一撃を受けて落とされてしまう危険性があるのです。
ゲーム内で重要なのが、敵に囲まれないことです。本作のロックオンはかなり優秀で、レールガンなどの高速で長射程な武器であれば目標に安定したダメージが与えられます。しかし、射程の短いマシンガンなどの武器を当てるためには敵に近づかなければならず、当然ながら相手にも狙われやすくなってしまいます。



ミッションでは基本的に敵軍のほうが圧倒的に数が多いので、囲まれてしまえば集中砲火で落とされてしまうことも。また、多段ミサイルなどもしっかり回避することを考えなくてはなりません。頼りのブースターにも使用ゲージがあるので、もし敵陣の中で切れてしまったら、再稼働までは逃げ出すこともできません。
戦闘中はミサイルを避けるための「フレア」を使用したり、機体ごとに搭載されている「バリア」「ダミー」といった装備を扱うことが重要です。もちろん、最適なのは先に敵の数を減らすことで、危険な装備を持つ相手を優先的に破壊するような戦略を練ることで生存率もアップします。





高速機動で動き、ミサイルやファンネル(作中でそう呼びます)を発射し、戦艦には巨大なビームを叩き込む。使用できるバトルフレームによって戦略は異なりますが、それぞれの駆け引きが楽しめます。




量産機を愛せるモードも充実!
『Project Nimbus: Complete Edition』にはメインキャンペーンのほか、サバイバルモードとウォーフロントモードの2つのゲームモードが用意されています。サバイバルモードはWave制の耐久モードで、好きな機体を選んで次々と現れる敵を倒しながらハイスコアを目指します。
ウォーフロントモードは、いわゆるキャリアモードのようなもので、プレイヤーが「CFN」「UCN」どちらかの勢力の新兵としてスタートし、さまざまなミッションに挑んで昇進し、伝説のパイロットを目指すという内容です。このモードでは、昇進とともに新しい機体がアンロックされていきます。



このモードの最大の特徴は、使用できるすべての機体をアップグレードできることです。耐久力や連射性能、リロード速度、ブースター性能や回復力などの項目があり、ミッションで獲得したポイントを消費して強化できます。
それぞれの機体には強化上限があるので、正直すべての機体を思うままに扱えるというわけではありません。しかし、キャンペーンで何度も戦った量産機や一般機を強化して自分専用機として使えるというのは魅力そのもの。一方で、作中のエース機体ってやっぱりすごいんだな……と思えるのもひとつの楽しみですね!



『Project Nimbus: Complete Edition』は、2014年に発売されたオリジナル版をベースに、さまざまな要素を強化した作品です。多彩なキャラクターや機体が活躍するキャンペーンモードだけでなく、カジュアルに遊べるモードやキャリアモードも用意されているので、色々な遊び方も楽しめます。
キャンペーンモードはあくまでストーリー体験なので“機体選択がほとんどありません(一部シナリオでは選択可能)。また、せっかくの特別な機体でも一部の武器があまり機能しないシナリオがあるなど、少しもったいなく感じる部分もあります。


ハイスピードバトルは本作の大きな特徴で、たとえ旧世代の機体であってもしっかりと高速戦闘を楽しめます。慣れるまでは戦闘は決して簡単とは言えませんが、難易度選択などもあるので、思う存分「かっこいい!」ロボット戦闘を楽しめる作品です。