ドイツで8月21日から24日かけて開催された大型ゲームイベント「gamescom 2024」。今年も多くのゲーマーが待ち焦がれる季節がやってまいりました。
欧州最大のゲームイベント「gamescom 2024」関連記事をチェック!そんな中で、今回はユービーアイソフトが手掛ける『スター・ウォーズ 無法者たち(Star Wars Outlaws)』のクリエイティブディレクターであるJulian Gerighty氏にお話を伺うことが出来ましたので、本記事では同作についてのインタビューをお届けします。
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――本作の開発にあたり、ルーカスフィルムと意見交換をしつつ進められたとのことですが、実際どのようにして連携を取られたのでしょうか?
Julian Gerighty氏とにかくコミュニケーションを密にしました。私たちはゲーム開発のプロフェッショナルで、彼らは誰よりも「スター・ウォーズ」を知っています。何より私もシリーズの大ファンで、それはもう子どもの頃から人生の一部として組み込まれているほどです。
そんな私たちがルーカスフィルムと協力することで、本作の開発には、どれだけの作業量があるのか、原則に基づきつつもデザインはどこまでが許容ラインなのか、といったものを理解することができました。学習の旅路と言いますか……その道のりは果てしなかったですね。ともあれまずMassive Entertainmentなどで最初に学んだことは、「スター・ウォーズという世界を構成する要素は何か」というものでした。
例えば「おっしゃ、スター・ウォーズのゲーム作っちゃるぞ!」と意気込んで机に向かうものの、その後「いや待てよ……どうやって……?」と途方に暮れる。言うは易しとはまさにこのことで、ファンであるからこそ、実際に作るとなるとアプローチがとても難しい。
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そこで私たち開発チームはどのようなアプローチを取ったのか……それは「少人数の開発者でテーブルを囲んでとにかく話し合うこと」でした。「スター・ウォーズを思い浮かべるとき、何が心を惹きつけるのか?」「子どもの頃、映画館やVHSテープで作品を見ていたときに何を感じたのか?」などがトピックですね。
そして物語だけでなく、当時遊んでいたスター・ウォーズのおもちゃについても話しました。「私たちが愛していたものが、なぜそれほどまで重要だったのか」について、とにかく掘り下げていったのです。
これだけ聞くとただのファン同士の会話かもしれませんが、私たちにとっては本当に重要なことでした。例えばお気に入りのキャラクターは?という話題になると、我々が挙げたのはグリーヴァス将軍でも、ルーク・スカイウォーカーでも無く、ハン・ソロと彼の親友チューバッカだったりまあ一筋縄ではいかない。
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ともあれ私たちはルーカスフィルムへ乗り込みました。「アウトローなスター・ウォーズゲームを作りたい!」と。そして開発の第1ステップとして、メインキャラクターは「ならず者(scoundrel)でなければならない!」と言い続けたのです。
開発の第2ステップとして掲げたのは「オープンワールドとして作る!」というものでした。これは開発に携わるのが、かつて『ディビジョン2』を手がけたチームでもあるので、オープンワールドゲームの開発に熟練しており、構造やデザインのアプローチの面でもまさにうってつけでした。ならず者(アウトロー)は、どこへ行くのも何をするのも自由……これこそが、本作の目指した大きな目標なのです。
――なるほど。まず開発チームの「こういう世界を作りたい!」と目標があって、開発の各段階で適宜ルーカスフィルムよりフィードバックを得ながら、整合性をとっていったということでしょうか?
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Julian Gerighty氏まさにその通り。結局のところ、宇宙を巻き込んだオープンワールドということで、本作は非常に野心的かつスケールの大きいものになっていきました。宇宙に行けるなら自分だけの宇宙船を持ちたいし、大気圏内外へのシームレスな移行からの飛行、そして着陸!オープンワールドをやりたい、都市も欲しい、美しい景観のロケーションも欲しい!
そうなってくると乗り物「スピーダー」も必要になってきますよね。それ以外にも戦闘用の3人乗りビークル、ステルス特化型……ともあれこれら様々なシステムを考えて整合性をとっていくと、それはもうあっという間にゲームの規模がとんでもないことになりました。
――そうなると、各要素のバランスをどう取るのかが重要になってきますよね。例えば、某有名な「荷物を運ぶことに特化したタイプのオープンワールドゲーム」は主に探索や移動といった要素に重心が寄っていると思います。本作の場合は、探索、移動、戦闘、ストーリーといった要素が満遍なくバランスされているのか、それともいずれかに重心を寄せているのでしょうか?
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Julian Gerighty氏素晴らしい質問です。本作における私たちの設計哲学は「プレイヤーが、このスター・ウォーズ世界の中で自由であること。つまり可能な限り多くの選択肢を持てると保証すること」に集約されます。しかし同時に、私たちは説得力のあるストーリーを伝えたい……物語は、ゲーム世界とその冒険に対する「固定点(Fixed Point)」であり、また様々なゲーム内要素をひとつに束ねるための「黄金の道標」でもあるのです。
――開発チームの掲げるバランスとは、単に各要素をフラットに並べるという意味ではなく「プレイヤーが得られる可能性を最大化すること」を目標にしているのですね。
Julian Gerighty氏その通り。そして、それはレベルデザインの観点からも言えます。マップを探索したり、施設に忍び込んだりといったアプローチを理解するための様々な学習機会が用意されています。特に帝国関連の施設への侵入方法については、プレイヤーは複数のルートを楽しむことができるでしょう。
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ともあれストーリー展開は、大まかには同じ方向へ向かって進行しますが、その内部には、プレイヤー各人の探検と決断があります。その意味において、破綻なく物語が進むためには、ゲームを構成する各要素のバランスに細心の注意を払う必要がありました。特に「敵のAI」という観点から見ると、これは非常に難しい作業でしたね。各都市、郊外、ミッション、さらには異なる5つの派閥など、ゲーム構成要素の隅々に至るまでこのバランスに基づいた調整が行われている必要があるのです。
――あえて似た質問を突っ込んでみるのですが、つまるところ本作においては探索、移動、戦闘、ストーリーのどれがゲーム構成要素を多く占めているのでしょうか?
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Julian Gerighty氏すべてはプレイヤーの選択に委ねられています。開発中に私が見かけたプレイスタイルを紹介すると、ある人はプレイ時間の殆どを宇宙空間で過ごし、徹底的に探索を行い、最終的には宇宙船のカスタマイズをコンプリートする人がいました。一方で私は、そのほとんどを戦闘に費やすタイプですね。このように「何をするか」で、プレイヤー毎の体験は大きく異なるのです。
――ああ、その意味においては……またしても他社さんのゲームを例に挙げて恐縮なのですが……『Elite Dangerous』というゲームにて僕は、探索でも戦闘でもなく、大型貨物船でひたすら運送業に勤しんでいました。
Julian Gerighty氏んふふ。『Elite Dangerous』は、私の人格形成に影響を与えたゲームのひとつです(ニヤリとした笑み)。そもそも『Elite』は30年以上の歴史を持つ非常に古いゲームで、本作の開発にあたってインスピレーションを得たタイトルのひとつでもあります。あそこには自由というものがあり、当時の私はあのスタイリッシュなコンテクストにすっかり惚れ込んでいたのです。
――最高ですよね……ともあれ改めて、本日は貴重なお話をありがとうございました!
『スター・ウォーズ 無法者たち』は、PC(Ubisoft Connect/ Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに8月30日発売予定。予約受け付けも開始されています。
今年も賑わいを見せた「gamescom 2024」、Game*Sparkでは引き続きインタビューやハンズオンなど様々な記事を掲載予定です。
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