今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2024年4月10日に正式リリースされたテラフォーミングサバイバル『The Planet Crafter』です。

たった一人の惑星開拓
『The Planet Crafter』は、フランスのインディーデベロッパーMiju Gamesが手がける作品。同社は2019年にBrice氏とAmélie氏のカップルによって設立され、同年にitch.ioにて『Wild Child』を発表。2020年にはローカル協力ゲーム『Abracadabrew』をSteamでリリースしています。
2021年に『The Planet Crafter』のプロジェクトをスタートし、2022年3月25日にはSteam早期アクセスをスタート。リリース時点から非常に高い評価を受け、早期アクセス期間中の7つのメジャーアップデートを経て、2024年4月10日に正式リリースされました。2023年にはスタッフを4人増やし、6人体制で開発しています。

本作の舞台は、まるで居住に適さないような荒野が広がる惑星。プレイヤーはこの惑星をテラフォーミングするために送り込まれた人物となり、物資を集め、さまざまな施設をクラフトして、惑星を緑あふれる世界へと作り変えていかなければなりません。
惑星の開拓には、気圧や熱、酸素などを作り出していきます。テラフォーミングが進むと、最初は何もなかった惑星に水が生まれ、やがて生命たちも活動するようになります。ゲームは最大10人までのマルチプレイにも対応し、フレンドと協力して惑星を開拓することもできます。


記事執筆時点(2025/03/01)でSteamユーザーレビューで“圧倒的に好評”を獲得。2024年10月には初の拡張コンテンツとなる「Planet Humble」をリリースしています。本DLCでは、まったく新たな世界を舞台にしたプレイが楽しめます。
眼前に広がるは荒野のみ
ゲームはまずワールド設定からスタートします。設定項目はゲーム難易度のほか、サバイバル項目の緩和、イベントの発生、そしてテラフォーミングの進行速度などを細かく設定可能です。世界を生成後、主人公がミニポッドで惑星に突入するシーンが始まります。
ここから壮大なテラフォーミング物語が始まるのですが、ポッドの出口の前に広がるのは、水も酸素もろくにないような真っ赤な荒野。ポッドに届いている受信メールには「惑星開拓してね、まずは大気を作ろうね」といった指示があるのみで、コンテナには多少の物資が入っています。つまり、何もしなければ死ぬだけです。



序盤は最低限の装備や居住区などを作るミッションがあるので、それを進めていきましょう。幸いこの惑星は鉱物が豊富で、地表には鉄やマグネシウム、シリコンなどが存在しています。手に持つツールガンで物資を集めてクラフトや建築を行っていきましょう。
『The Planet Crafter』のサバイバル項目は、体力・水・酸素の3種類。大気の状態が悪い惑星では、スーツの酸素はすぐ無くなりますが、ポッドや居住エリアに入れば回復していきます。また、水と酸素カプセルは比較的簡単に作成可能。周囲を探検する際には複数持っておくことで事故は防げます。



こうして、絶望的な状況からの惑星開拓が始まります。生き残るためには、環境を変えていく以外に道はないのです。


テラフォーミングで惑星を変えろ!
本作のメインであるテラフォーミングを進めるためには、さまざまな施設を建築していかなければなりません。ドリルで地中のガスを放出して気圧を生み出し、カプセルで植物を育てて酸素を生み出し、ヒーターを設営して惑星の気温を高めていかなければなりません。
テラフォーミングの進捗状況は、メイン画面上の「テラフォーミング指数」という形で表示されます。また、専用のモニターを作れば、それぞれの施設が生み出している細かな状況も確認可能です。ただし、施設の稼働には電力が必要なので、発電装置もしっかり用意しなければなりません。



主人公に開拓を命じた相手は、しっかりとその成果を見ています。ある程度惑星の開拓が進んでいくことで新しいレシピが送られてくるので、どんどん作れる施設やアイテムも増えていきます。基本的に高性能なものが圧倒的にテラフォーミング速度を押し上げるので、電力や素材に余裕があればどんどん作っていきましょう。
もちろん、新しい素材を集めるためには探索も欠かせません。惑星内には前の担当者達が残したと思われる残骸やチェストなどもあり、探索することで新しいレシピ用アイテムなども入手できます。場所によってはログなども確認できるので、こちらも是非ともチェックしてほしいところです。




目に見える「変化」がやる気に繋がる
『The Planet Crafter』では、最初は水と酸素を確保するだけでも苦労します。それでも懸命にサバイバルし、少しずつテラフォーミングを進めていくことで、やがて惑星には驚くべき変化が現れます。
まず最初に大気が出来ることで、真っ赤だった空の色が鮮やかな青へと変わっていきます。そして、ひび割れすら起きていた地面からは水が湧き出し、やがて大きな湖が生まれていきます。水が湧けば地面には草が生え、さらにそこから生物も生まれていくでしょう。



本作の最大の魅力として「惑星の変化が目に見えてわかること」があります。惑星はいきなり変化するわけでなく、赤かった空がじょじょに青く、水も少しずつ地面から溜まっていく様子が見えるのです。最初に青々とする美しい空を見たときは、誰もが感動するのではないかと思います。
もちろん水場ができれば新しい施設を置けるようになりますし、そこから派生する開拓方法も登場します。段階を踏んで進化していくサバイバルクラフトの基本的な要素を、しっかりとテラフォーミングによる「変化」に落とし込んでいるのは本作の特筆すべき点です。





技術が進めば、ドローンを使った輸送や自動化装置を作ったり、遺伝子改造技術に手を出すことも可能です。とにかくゲームが進むごとにやれることが雪だるま式に増えていくゲームなので、じっくりと「変化」を楽しみながら理想を惑星づくりをしていきましょう!



『The Planet Crafter』は、テラフォーミングを題材にしたクラフトサバイバルジャンルの中でも、かなり遊びやすい作品です。最初は絶望的なほど何もない状態から始まり、少しずつ惑星を開拓し、その成果がしっかりと目に見えることで、プレイの達成感とやる気の継続に大きく貢献しています。最初の大きな目的である「青空」は、本当に多くのゲーマーに体験してほしいものです。
テラフォーミングも最初は順調でも、少しずつ規模が大きくなっていくので、長い時間じっくりと遊べる作品でもあります。その中で安定した生活を目指したり、自動化や輸送を活かした自分だけの施設を作ったり、さまざまな遊び方が用意されています。惑星内の探索や隠し要素探しなど、アドベンチャー部分も楽しめるのも嬉しいところです。


じっくり系のサバイバルを楽しみたい人、自動化などの技術的プレイを楽しみたい人、変わりゆく世界を楽しみたい人、色々なプレイスタイルを求める人に勧めやすい、とても懐の広い作品です。もちろん、フレンドを誘ってみんなで開拓することもできますよ!